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先進事例2021.09.10
自治体専用ツールの共同調達①

自治体専用チャットの「共同調達」が、域内自治体のDX推進を後押し

[提供] 株式会社トラストバンク
自治体専用チャットの「共同調達」が、域内自治体のDX推進を後押し
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大阪府・大阪府寝屋川市の取り組み

自治体専用ツールの共同調達①

自治体専用チャットの「共同調達」が、域内自治体のDX推進を後押し

大阪府 スマートシティ戦略部 戦略推進室地域戦略推進課 市町村DXグループ 主事 重親 歩実
寝屋川市 経営企画部 情報化推進課 平井 宏樹
[提供]株式会社トラストバンク

※下記は自治体通信 Vol.33(2021年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「行政のデジタル化」が自治体間における共通の課題とも言えるいま、いかにしてそれを進めるかに悩む自治体は少なくない。そうしたなか大阪府では、府内自治体と足並みをそろえてDXを推進すべく「共同調達」を通じたシステム化を進めており、このほど自治体専用のチャットツールやWeb申請サービスを導入した。そこで、大阪府とチャットツール導入自治体のひとつである寝屋川市の担当者に、導入の経緯や効果などを聞いた。

[大阪府] ■人口:882万914人(令和3年7月1日現在) ■世帯数:415万5,733世帯(令和3年7月1日現在) ■予算規模:6兆3,591億円(令和3年度当初)■面積:1,905.32km2 ■概要:本州の中心あたりに位置。府内には43の市町村があり、全国の人口の7%が集約している。交通量の多い瀬戸内海と内陸から大阪湾に向かって流れる川が合流する地点にあり、古来よりあらゆる地方から人が集まってくる場所として、経済の中心地として発展。アジア全域からの貿易商や旅人を迎える日本の玄関口となってきた。
[寝屋川市] ■人口:22万9,286人(令和3年8月1日現在) ■世帯数:11万1,200世帯(令和3年8月1日現在) ■予算規模:1,625億5,900万円(令和3年度当初)■面積:24.70km2 ■概要:大阪府の東北部、淀川左岸に位置し、大阪市域の中心から15km、京都市域の中心から35kmの距離にある。東部は交野市、西部は淀川を境にして高槻市、摂津市に接し、南部は守口市と門真市、大東市、四條畷市、北部は枚方市に隣接し、北河内地域の中心部に位置している。
大阪府
スマートシティ戦略部 戦略推進室地域戦略推進課 市町村DXグループ 主事
重親 歩実 おもそ あゆみ
寝屋川市
経営企画部 情報化推進課
平井 宏樹 ひらい ひろき

アンケートで高かった、チャットツール導入の希望

―今回、大阪府内でのDXに向けてチャットツールを「共同調達」した経緯を教えてください。

重親 大阪府では、令和2年度からスマートシティ戦略部を立ち上げ、DX推進による住民のQOL向上を目指しています。その活動にあたり、住民にもっとも近い基礎自治体との連携が不可欠と考え、「GovTech大阪」という連携組織を発足させています。

 ここでは、それぞれに財政事情を抱えながらも、スケールメリットを活かすことで財政負担を緩和しながら足並みをそろえてDXを推進できるよう、システムの共同調達を取り組み内容に掲げています。その最初の取り組みとして、チャットツールの導入を検討。多くのツールを比較検討した結果、自治体専用チャットツール『LoGoチャット』を選定し、今年5月から順次導入しています。

―最初にチャットツールの導入を決めた理由はなんですか。

重親 GovTech大阪では共同調達に先立ち、各自治体へのアンケートを実施し、導入したいシステムについての希望を聞きました。その結果、「行政手続きのオンライン化(電子申請システム)」と「チャットツール」に対する希望が突出して多かったのです(次ページ上図)。そこで、まずはこの2つのツールを優先的に導入することとして参加を募り、チャットツールに関しては22市町村と大阪府の計23自治体が共同で導入を決めました。

平井 コロナ禍の影響もあり、働く環境が多様化しているうえ、新型コロナ対応のように部署の枠を越えた新たな連携が必要になる場面も増えています。そのため、現場としても簡単にコミュニケーションがとれる仕組みは必要だと感じていました。それに対し、『LoGoチャット』は、LGWAN環境からもインターネット環境からも接続できるのが特徴なのにくわえ、モバイルアプリにも対応しているので、使用環境の制約を受けることなく使える点を高く評価しました。

追加の説明会を開催し、さらに13自治体も関心を

―導入効果はいかがですか。

平井 当市では導入後、徐々に浸透し、チャット数も1ヵ月で6万を超えるまで利用が進んでいます。職員間でトークルームをつくれば簡単にやり取りができるため、他部署の職員とも迅速に情報共有ができています。実際、新型コロナウイルスのワクチン接種事務においては多くの職員が連携し、方向性を共有しながらスピーディな体制構築が求められました。現在もですが、『LoGoチャット』による円滑なコミュニケーションがなければ、対応は難しいと感じています。

―チャットツールの今後の運用方針を聞かせてください。

重親 大阪府では、運用ノウハウや活用事例の共有を通じて、導入自治体での利活用が進むよう支援を続けていきます。同時に、まだ導入していない自治体に向けても追加の説明会を開いていきますが、ここにはすでに13自治体が参加し、導入に関心を示しています。まずは試験導入でツールを体感してもらい、ゆくゆくは共同調達のメリットをできるだけ多くの自治体に享受してもらいたいと考えています。

平井 『LoGoチャット』には、全国の自治体職員ユーザーが情報共有できる「ユーザーグループ機能」があり、ここで得られる有益な情報を現場でも活用できるよう検討し、GovTech大阪が目指す住民のQOL向上につなげていきたいですね。


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大阪府・大阪府茨木市の取り組み

自治体専用ツールの共同調達②

Web申請サービスの「共同調達」が、行政手続きのオンライン化を加速

大阪府 スマートシティ戦略部 戦略推進室地域戦略推進課 市町村DXグループ 総括主査 中井 章太
茨木市 企画財政部 DX推進チーム 中橋 晃季
[提供]株式会社トラストバンク

ここまでは、大阪府と府内自治体との「共同調達」によるDXの推進事例を見てきた。このスキームによって導入されたシステムとして、自治体専用チャットツールのほかに、自治体専用Web申請サービスがあった。「行政手続きのオンライン化」という、自治体現場のもっとも強い要望に対応するものだ。ここでは、大阪府と同サービス導入自治体のひとつである茨木市の担当者に、導入の経緯や効果などを聞いた。

[茨木市] ■人口:28万3,115人(令和3年7月末現在) ■世帯数:12万9,090世帯(令和3年7月末現在) ■予算規模:1,776億5,288万6,000円(令和3年度当初)■面積:76.49km2 ■概要:淀川北の大阪府北部に位置し、北は京都府亀岡市に、東は高槻市、南は摂津市、西は吹田市・箕面市・豊能郡豊能町に接している。北半分は丹波高原の老の坂山地の麓で、南半分には大阪平野の一部をなす三島平野が広がっている。南北に長く東西に短い形で、北から南に向かって安威川・佐保川・茨木川・勝尾寺川が流れている。
大阪府
スマートシティ戦略部 戦略推進室地域戦略推進課 市町村DXグループ 総括主査
中井 章太 なかい しょうた
茨木市
企画財政部 DX推進チーム
中橋 晃季 なかはし こうき

各自治体の声からまとめた、電子申請システムの3条件

―大阪府では、行政手続きのオンライン化に向けても、システムの共同調達を実施したそうですね。

中井 はい。GovTech大阪が実施した府内自治体へのアンケート結果にもあったとおり、「行政手続きのオンライン化はもっとも進めたいテーマ」との声は届いていました。特に昨年度は、コロナ禍のなかでマイナポイントがスタートし、窓口の混雑解消は喫緊の課題でした。そのなかで3密対策に資する「行政手続きのオンライン化」は、優先順位が大きく跳ね上がったと認識しています。

 一方で、電子申請システムを導入している自治体は令和2年度時点で府内43自治体のうち9つにとどまっていました。そこでGovTech大阪が旗振り役となり、各自治体の声を丹念に拾い、仕様書に落とし込む作業を丁寧に進めました。そのため、各自治体では調達や入札といった煩雑なプロセスを経る必要もなくなりました。

―ツールの選定はどのように進めたのですか。

中井 各自治体の声を丁寧に拾った結果、「各原課で使いこなせるローコードツール」「マイナンバーカード等による本人確認」「キャッシュレス決済」という3つの条件を定めて綿密な市場調査を行い、5社ほどのシステムを比較検討しました。その際、人口10万人以下の自治体からは、スモールスタートできるような導入プランに対する要望もありました。そこでGovTech大阪では、小規模自治体でも導入しやすい価格表を組んでいる自治体専用Web申請サービスの『LoGoフォーム』を含む2つのツールを選定。今年6月から順次導入を開始しています。

中橋 機能面でも『LoGoフォーム』に対する評価は高く、たとえばUI/UXが非常にわかりやすく、職員のみならず市民のみなさんも簡単に使いこなせると判断しました。また、地図上で場所を選択し、その場所の位置情報と紐づけて申請できる「位置情報送信機能」をはじめ、特有の機能が豊富で、道路損傷といった通報など多方面に活用できると感じました。

インターネット環境からも、LGWAN環境からも使える

―現在はどのように活用しているのでしょう。

中橋 当市では、市民からの申請、市民アンケート、庁内アンケートという、おもに3つの用途で活用しています。『LoGoフォーム』はインターネット環境からもLGWAN環境からも使えるため、庁内・庁外を問わず多くの用途において、多くの部署がこのツールひとつで対応できるのは、大きなメリットです。また、ローコードのツールなので、直感的に使いこなすことができ、期待通り各現場の職員が申請フォームを作成しています。先日、職員の家族のワクチン接種状況を調査する際に全庁職員を対象に『LoGoフォーム』を使ってアンケートを行ったのですが、調査実施の決定から全庁への配信までに要した時間は、わずか5時間弱。申請手続きのオンライン化による効果を実感しました。

―今後の方針を聞かせてください。

中井 行政手続きのオンライン化にあたっては、手続き自体の見直し、BPRも重要なプロセスになります。府内自治体でもかなり進んでいるので、これらの事例を共有することで、導入自治体が『LoGoフォーム』の活用範囲をより広げていけるよう支援していきます。

中橋 同時に、『LoGoフォーム』には、制作したフォームを自治体間で共有できる機能もありますので、ノウハウを共有することができ、BPRと合わせた業務の標準化も進めていけるのではないかと期待しています。


大阪府×民間企業の取り組み

自治体専用ツールの共同調達③

DX推進に有効なシステム共同調達、「大阪モデル」としてノウハウ提供も

大阪府 スマートシティ戦略部 戦略推進室地域戦略推進課 市町村DXグループ 課長補佐 松尾 浩
株式会社トラストバンク 取締役兼パブリテック事業部長 木澤 真澄
[提供]株式会社トラストバンク

今回、大阪府が府内自治体と共同調達した『LoGoチャット』と『LoGoフォーム』。この2つのツールを開発・提供しているのがトラストバンクだ。同社は、複数の自治体が足並みをそろえてDXを推進する大阪府の取り組みを支援してきた。ここでは、『LoGoチャット』『LoGoフォーム』両事業を統括する同社取締役の木澤氏と、共同調達をまとめた大阪府の松尾氏を取材。共同調達の効果や、DX推進の要諦などについて聞いた。

大阪府
スマートシティ戦略部 戦略推進室地域戦略推進課 市町村DXグループ 課長補佐
松尾 浩 まつお ひろし
株式会社トラストバンク
取締役兼パブリテック事業部長
木澤 真澄 きざわ ますみ

ツール導入のハードルを、引き下げた貢献度は大きい

―今回、大阪府が導入した2つのツールは、いま全国でどの程度普及しているのですか。

木澤 今年5月時点で、『LoGoチャット』は約650、『LoGoフォーム』は約200の自治体で導入されています。サービスの企画段階から、全国の自治体において、ビジネスチャットや電子申請に対する強いニーズを把握していました。しかし、いずれのツールでも、『LoGoチャット』や『LoGoフォーム』のようにLGWAN環境かインターネット環境かに関係なく、誰でも簡単に使えるというものはこれまでありませんでした。多くの自治体から評価されているのは、そうした理由からだと思います。

松尾 コロナ禍に直面したこの1年は、職員の働く環境が大きく多様化したため、ネットワーク環境の制約を受けない情報共有や電子申請の仕組みは、より重要になっています。その意味で、『LoGoチャット』や『LoGoフォーム』の登場は、現在の自治体ニーズにマッチしたものと感じています。しかも、『LoGoフォーム』は小規模自治体でも導入しやすい価格設計をしていることにくわえ、サポート体制も整っていました。これらの要素がDX推進に向けたツールの導入ハードルを引き下げた貢献度は非常に大きいと評価しています。

共同調達を支援すべく、無料トライアル特典を用意

―大阪府が実施した共同調達というスキームも、導入のハードルを下げるうえでポイントでしたね。

松尾 参画した各自治体が足並みをそろえてツールの活用度を高めることができたのは、共同調達の効果でした。システムは導入するだけでは意味がなく、いかに各自治体が現場で活用できるかが重要です。その点では、導入後もつねにトラストバンクが伴走してくれ、各自治体からの課題や機能改善要求などに手厚くスピーディに対応してもらっていました。ツールが活用され職員の利便性が高まってこそ、行政サービスが向上し、住民のQOL向上につながっていきます。その意味では、共同調達によって各自治体がこの手厚いサポートが受けられる体制を構築できたことはとても重要なポイントでしたね。

木澤 導入前の説明会や導入後の技術サポートも合同で行えたため、取り組み事例を自治体間で共有しながら現場での利活用を促進することができたのは、共同調達の大きな成果だと思います。

 DX推進における成功のカギは、国の方針や組織の戦略といったトップダウンの動きと、職員レベルの地道な利活用の促進というボトムアップの動きをいかに車の両輪としてかみ合わせるかにあります。ツールを提供する立場として、このボトムアップの動きを後押しすべく、小さな成功事例を積み上げていけるよう支援することが我々の役割と考えています。

―最後に、今後の取り組み方針を聞かせてください。

松尾 今回、共同調達ではひとつの成功事例をつくることができたと感じています。他府県からの問い合わせも増えていますが、我々としてもノウハウを積極的に共有したいと考えており、今回の「大阪モデル」が行政のDX推進に貢献できるならば、うれしいですね。

木澤 当社としても、行政DXを広く推進するうえで、共同調達というスキームは有効と考えており、積極的に支援していく考えです。導入にあたっては、実際に使っていただき、その効果を実感してもらえるよう、6ヵ月間の無料トライアル特典を用意しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

木澤 真澄 (きざわ ますみ) プロフィール
昭和53年、大阪府生まれ。大阪大学を卒業後、平成15年、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社(現:日本アイ・ビー・エム株式会社)に入社。システム開発や業務改革プロジェクトに従事した後、株式会社チェンジに入社。海外事業、自治体向け事業開発担当を経て、株式会社トラストバンクに出向。平成30年12月より現職。
株式会社トラストバンク
設立 平成24年4月
資本金 122,243,816円
事業内容 メディア事業、教育事業、パブリテック事業
URL https://www.trustbank.co.jp/
お問い合わせメールアドレス logo_support@trustbank.co.jp 担当:パブリテック事業本部 三成・井上
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