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人口・職員減少を見すえて投資する、データ分析を行うための基盤づくり

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東京都渋谷区の取り組み

データ利活用の推進

人口・職員減少を見すえて投資する、データ分析を行うための基盤づくり

渋谷区
経営企画部 ICTセンター ICT第一係 係長 夏賀 圭
経営企画部 ICTセンター ICT第一係 後藤 友彰
[提供] 株式会社エーティーエルシステムズ

※下記は自治体通信 Vol.33(2021年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


行政資源に限りがあるなか、多様化する住民ニーズに応え続けていくには、統計や各種指標などの客観的データにもとづいた政策立案を行っていくことが自治体には求められている。そんななか、渋谷区(東京都)では、セルフサービスBI*1ツールを活用するための分析基盤を構築し、データの利活用に取り組んでいる。担当者2人に、取り組みの詳細を聞いた。

[渋谷区] ■人口:23万50人(令和3年8月1日現在) ■世帯数:14万322世帯(令和3年8月1日現在) ■予算規模:1,450億800万円(令和3年度当初) ■面積:15.11km2 ■概要:東京都23区の西南に位置している。昭和30年頃を境にして高層ビルが続々と建設され、商業地区にくわえて業務地区といわれるオフィス街が生まれ、副都心化が進んだ。渋谷駅周辺や原宿界隈は、ファッション関係の店舗や百貨店などの新しいビルが次々につくられ、多くの人々が集まり、若者のまちとして賑わいを見せている。
渋谷区
経営企画部 ICTセンター ICT第一係 係長
夏賀 圭 なつが けい
渋谷区
経営企画部 ICTセンター ICT第一係
後藤 友彰 ごとう ともあき

誰でも分析を行える、環境づくりが必要に

―渋谷区がデータの利活用に取り組んでいる理由はなんですか。

夏賀 当区では、以前からデータ分析にもとづいた政策立案を行っていました。ただそれは、スキルのある個人が業務に必要なデータ分析をAccessやExcelを使って行っている状況でした。そのため、「誰でもデータ分析を行えるような基盤が必要では」という話は以前からありました。

 そうしたなか、庁舎の建て替えにともない庁内システムを刷新することになり、あわせて分析基盤を導入しようと考えたのです。

―どのようにして導入を進めていったのでしょう。

夏賀 まずBIツールは、各職員が問題意識をもって使ってほしいという観点から、職員自ら分析やレポート作成ができるセルフサービスBIツールを使うことに。選定では、ICT基盤で契約をしている『Microsoft365』のライセンスで利用が可能な『Microsoft Power BI』を採用しました。また、職員が分析をしやすくするための分析基盤構築は、エーティーエルシステムズの協力を得て行いました。同社は、マイクロソフトから紹介され、以前から相談にのってもらっていたのです。さらに、自治体への豊富な導入実績が決め手に。そして、実際に構築したのが『行政情報分析基盤 for セルフBI』、通称『Shibuya BI』です。令和元年度から活用しています。

―どう活用しているのですか。

後藤 あらかじめ分析基盤のなかに、データの集計値や切り口が用意されているため、職員自らが時間をかけてデータを抽出する必要がなく、さまざまな分析に活用できています。さらに、既存データの分析にとどまらず、昨年は画期的とも言える実証実験を行いました。

―詳しく教えてください。

後藤 『Shibuya BI』とAI技術、防犯カメラをかけ合わせた実証実験です。目視やIoTセンサーなどを使った交通量調査がありますが、それを公共施設に設置された防犯カメラを使ってできないかと。具体的には、防犯カメラの動画ファイルをAIが分析し、人の通過時刻や性別、年齢などをAIが自動で検知。それを、エリアや想定利用者などの施設情報をデータベース化した『Shibuya BI』とかけ合わせ、施設が適正に利用されているのかを可視化する試みです。たとえば、ある出張所で区民が住民票を一通発行するのに、相対的なコストが、かりに1万円かかっているとするならば、施設のあり方を見直す必要性が出てきます。IoTセンサーによる分析のほか、さまざまな方法を組み合わせたデータ化に取り組んでいきたいと考えています。

従来のやり方や感覚では、いずれ立ち行かなくなる

―今後の活用方針を聞かせてください。

夏賀 多くの職員に活用してもらうため、研修も含めて積極的な『Shibuya BI』の啓蒙を行っていきたいと考えています。今後、人口や税収、職員数が減っていくことが予想されるなか、従来のやり方や感覚で行政運営を行っていては、いずれ立ち行かなくなっていくのは明白です。そういう意味では、『Shibuya BI』は行政の未来に必要な先行投資と言えます。今後も、エーティーエルシステムズの協力を得ながら、データ分析基盤の利活用を進めていきます。

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支援企業の視点

全庁的にデータ分析を行うためには、事前準備のできる基盤が必要に

株式会社エーティーエルシステムズ
データソリューション事業部 データエンジニアリングユニット 小澤 嗣
データソリューション事業部 兼 ネットワークソリューション事業部 クラウドテクノロジーユニット 鍋島 千夏
[提供] 株式会社エーティーエルシステムズ
株式会社エーティーエルシステムズ
データソリューション事業部 データエンジニアリングユニット
小澤 嗣 おざわ ひろし
株式会社エーティーエルシステムズ
データソリューション事業部 兼 ネットワークソリューション事業部 クラウドテクノロジーユニット
鍋島 千夏 なべしま ちなつ

―自治体がデータの利活用に取り組むうえでのポイントはなんでしょう。

小澤 やはり、職員が時間と手間をかけずにデータ分析を行える環境を整えることですね。一般的に分析を行う作業のうち、準備8割、分析2割と言われるほど、分析に適したデータ加工を行う準備に時間がかかると言われています。これまでの自治体では、スキルのある職員が独力で行っていましたが、誰もがデータ分析を行えるようにするには、あらかじめデータ加工ができるような分析基盤の導入をおススメします。たとえば、当社が提供している『行政情報分析基盤 for セルフBI(以下、セルフBI)』では、分析に必要な集計値や切り口を数多く用意しているため、職員の自由な発想で分析を行えます。たとえば、「生まれも育ちも渋谷区」という住民データを独自で抽出しようとすれば大変ですが、セルフBIならすぐに出せます。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

鍋島 セルフBIで、職員がデータ分析に集中できる環境づくりを支援していきたいと考えています。「共働き世帯を支援したい」「ヤングケアラーを支援したい」など、分析のシナリオは時流によって変わります。今後は、全国の自治体にヒアリングしながら、そうしたシナリオに必要な選択肢に沿った、バージョンアップを行っていきます。

小澤 嗣 (おざわ ひろし) プロフィール
昭和49年、山梨県生まれ。令和元年、株式会社エーティーエルシステムズに入社。自治体データ利活用業務に従事し、自治体の分析要件ヒアリングから分析基盤の開発・運用保守を担当。
鍋島 千夏 (なべしま ちなつ) プロフィール
昭和56年、山梨県生まれ。山梨大学大学院を修了後、株式会社エーティーエルシステムズに入社。平成23年から、データ利活用業務に従事。機械学習や、Computer Visionを活用したシステムの開発も担当。
株式会社エーティーエルシステムズ
設立 平成20年11月
資本金 2,000万円
売上高 10億5,000万円(令和2年12月期)
従業員数 53人(令和2年7月時点)
事業内容 ITソリューションの企画・提案・コンサルティング、DX推進支援、アドバイザリー業務、電算業務システム全般のコンサル調査・調達支援、ネットワークおよびシステム設計・構築・運用保守、Webシステム全般の企画・構築・運用保守、データ利活用支援・行政情報分析基盤構築・販売
URL https://www.atl-systems.co.jp/
お問い合わせ電話番号 055-220-6456 (平日8:30~17:30)
お問い合わせメールアドレス lgwan-asp@atl-systems.co.jp
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*1:BI : Business Intelligenceの略。組織に蓄積される業務データを収集・分析してその結果を可視化し、業務や経営の意思決定に活用する仕組み