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京都府の取り組み
先進事例2025.07.21
地域における子育て支援情報の発信

【子育て支援・デジタル化】口コミが集まるマップアプリで、子育て支援の輪を地域で広げる
iiba / iiba

[提供] 株式会社iiba
【子育て支援・デジタル化】口コミが集まるマップアプリで、子育て支援の輪を地域で広げる(iiba / iiba)
この記事の配信元
株式会社iiba
株式会社iiba

※下記は自治体通信 Vol.67(2025年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

地域全体で住民の子育てを応援するため、多くの自治体が地域の店舗や施設と連携し、子育て世帯へ独自サービスを提供するといった支援事業を展開している。しかしそこでは、取り組みの認知が高まらず協賛店舗が増えないなど、情報発信の面で課題を感じているケースも少なくない。そうしたなか、京都府は、オンラインでの情報発信で民間企業との連携を模索し、事業の認知拡大に取り組んでいるという。取り組みの詳細や成果について、同府こども・子育て総合支援室の2人に聞いた。

[京都府] ■人口:251万395人(令和7年6月1日現在) ■世帯数:122万9,538世帯(令和7年6月1日現在) ■予算規模:1兆298億円(令和7年度当初) ■面積:4,612.21km² ■概要:1,000年以上にわたり日本の都として栄え、文化、芸術の中心として発展。数多くの世界遺産や国宝が点在し、歴史的な景観が残ることから、国内外から多くの人々が訪れる。近年では、交通分散や手ぶら観光の推進、AIを活用した混雑情報の発信など、持続可能な観光地づくりへの取り組みを強化している。宇治茶、京野菜、京菓子などの特産品が豊富で、京友禅、京焼・清水焼などの伝統工芸も盛ん。
インタビュー
釆尾 真友美
京都府
健康福祉部 こども・子育て総合支援室 参事
釆尾 真友美うねお まゆみ
インタビュー
山田 恵子
京都府
健康福祉部 こども・子育て総合支援室 課長補佐
山田 恵子やまだ けいこ

従来の情報発信手段では、日常利用を促しきれなかった

―子育て支援の情報発信に民間企業と連携して取り組むことになった経緯を聞かせてください。

釆尾 私たちは、子どもや子育て世帯をはじめ、すべての人にとって暮らしやすい「子育て環境日本一」の京都の実現を目指しています。社会全体で子育て世帯を応援する「きょうと子育て応援パスポート事業」は平成19年から展開しており、平成27年度からは、同事業に関連したアプリ&Webサイト「まもっぷ」の運用を開始しました。ただ、「まもっぷ」は夏場のプールの入場料割引など特定の時期の利用は多いものの、日常的な利用を促しきれずにいました。また、アプリ開発から年月が経過し、民間事業者の地図アプリなどの機能やサービスが充実するなか、「まもっぷ」の認知度も、協賛店舗の新規加入も伸び悩んでいました。そこで私たちは、「まもっぷ」の認知度をさらに高めるために民間との連携を模索。京都府と地域活性化包括連携協定を結んでいる企業からiiba社の紹介を受け、口コミ機能付きのマップアプリ『iiba』との連携を始めました。

―アプリのどのような点を評価したのですか。

山田 ユーザー目線に立った、子育て世帯のリアルな声を活かせる点です。『iiba』はすでに多くの子育て世帯が日常的に使っているうえ、「子育て系インフルエンサー」も、おでかけ情報やお店の紹介に活用しています。そのため、『iiba』に、京都府内の「キッズフレンドリー施設*」の情報を掲載することで、より多くの子育て世帯に広められると期待したのです。また、『iiba』上に掲載された「キッズフレンドリー施設」を巡る「まち歩きイベント」を、令和6年10月から11月にかけて実施しました。

*キッズフレンドリー施設:「おむつ交換台の提供」や「きょうと子育て応援パスポートの提示を受けた際の割引サービスの提供」など、子育てにやさしい取り組みを進めている店舗・施設

アプリと連動したイベントで、商店街の協賛施設が倍増

―成果はいかがでしたか。

山田 『iiba』を活用するインフルエンサーによるSNSでの情報発信などを通じ、多くの子育て世帯に「キッズフレンドリー施設」や「まもっぷ」を知ってもらう機会をつくれました。また、商店街と連携したキックオフイベントでは、当商店街の協力に加え、iibaスタッフによる熱心な働きかけにより、その商店街内の「キッズフレンドリー施設」の数が26店舗から52店舗へと倍増しました。

釆尾 iiba社とは、今秋にも第2弾の企画を検討中です。今後も『iiba』と連携しながら、キッズフレンドリー施設の情報をはじめ、子育て世帯に必要とされる情報を届け、地域全体で子育てを応援するまちづくりを進めていきます。

支援企業の視点
口コミの拡散力を活用した仕組みで、子育て支援情報の「見える化」を
インタビュー
逢澤 奈菜
株式会社iiba
代表取締役 CEO
逢澤 奈菜あいざわ なな
平成6年、京都府生まれ。新卒でブライダル会社に就職し、営業職に。その後、人事の仕事を経て直近は株式会社リクルートでの営業職に従事。子育てにおける課題意識から令和4年、株式会社iibaを設立し、代表取締役CEOに就任。

―子育て支援情報の発信をめぐる自治体の課題はなんですか。

 多くの自治体が「子育て支援パスポート事業」や「子育てマップ」といった支援に取り組むなか、その情報が住民に届きづらいと課題に感じているケースが少なくありません。その原因は、情報発信手段が紙やPDFで、現代の子育て世帯のニーズに合っていないことがあげられます。そこで当社では、スマホアプリ『iiba』を提供し、課題の解決を支援します。

―特徴を教えてください。

 子育て世帯の主要な情報収集源である「インスタグラム」の地域インフルエンサーとのネットワークを活用し、高い拡散力を通じて多くのユーザーをアプリに誘導できる点です。口コミ機能によりユーザー自身がおすすめ情報をマップ上に投稿することも可能ですので、ここに事業の協賛店舗情報を掲載すれば、ユーザーの口コミにより情報がさらに多くの子育て世帯に広がる効果が期待できるのです。『iiba』で利用するマップ情報はオープンデータで、初期費用を抑えて導入できる点も自治体から評価されています。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 『iiba』は、母親としての私の実体験に基づいて開発したアプリで、子育て中の親の孤独感を軽減し、まちが子育て世帯にウェルカムであることをきちんと「見える化」したいという想いを込めています。地域の店舗も巻き込みながら、全国の子育て世帯が安心して外出できるまちを、自治体のみなさんと一緒につくっていきます。

株式会社iiba
株式会社iiba
設立

令和4年5月

資本金

1億円

従業員数

5人(令和7年6月現在)

事業内容

子育てマップ型アプリ『iiba』の開発・運営

URL

https://corporate.iiba.space/

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