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高知県の取り組み
先進事例2025.06.02
糖尿病予防事業でのICT活用

【重症化予防・リブレ】血糖変動を可視化した保健指導で、糖尿病予備群の5割が行動を改善
リブレを使った重症化予防・保健指導サービス / メディブレーン

[提供] 株式会社メディブレーン
【重症化予防・リブレ】血糖変動を可視化した保健指導で、糖尿病予備群の5割が行動を改善(リブレを使った重症化予防・保健指導サービス / メディブレーン)
この記事の配信元
株式会社メディブレーン
株式会社メディブレーン

※下記は自治体通信 Vol.66(2025年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

各自治体では、住民の健康寿命延伸や医療費適正化を目的に糖尿病の重症化予防事業を推進している。高知県でも糖尿病性腎症の重症化予防プログラムを策定して取り組んできたが、「糖尿病予備群および有病者」の割合は増加傾向を辿っていた。そこで、同県では事業のさらなる拡充に向け、その一部を民間に委託。ICTを活用した遠隔での保健指導に手応えを感じているという。事業委託に至った経緯と効果を、同県健康政策部の濱﨑氏に聞いた。

[高知県] ■人口:64万8,313人(令和7年4月1日現在) ■世帯数:30万9,145世帯(令和7年4月1日現在) ■予算規模:7,863億1,711万7,000円(令和7年度当初) ■面積:7,102.28km² ■概要:北は四国山地、南は太平洋に接し、亜熱帯植物が自生するほどの温暖多湿な気候が特徴で、平野部では早場米が収穫される。日本神話の時代から「とさ」の呼称で親しまれ、幕末には坂本龍馬など多くの志士を輩出。明治期には、板垣退助をはじめ、岩崎弥太郎や幸徳秋水、寺田寅彦など、歴史に名を残す偉人を数多く輩出した。
インタビュー
濱﨑 絹子
高知県
健康政策部 保健政策課 よさこい健康プラン21推進室 チーフ(血管病対策担当)
濱﨑 絹子はまさき きぬこ

糖尿病予備群への介入は、人員不足で不十分だった

―糖尿病の重症化予防事業を委託した経緯を教えてください。

 当県では、「日本一の健康長寿県構想」のもと、平成30年に糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、健診の結果、「糖尿病が重症化するリスクが高い」「治療を中断した」県民を医療機関につなぐことに取り組みました。しかし糖尿病予備軍および有病者は増加傾向を辿り、その割合は全国平均を大きく上回っていました。そこで、血糖値が5.8~6.4%の糖尿病予備群を対象とした予防介入が必要だと考え、民間への事業委託も視野に施策の検討に入りました。

―なぜ当初から事業委託を視野に入れていたのでしょう。

 市町村の保健師などは、すでに特定健診、特定保健指導や糖尿病性腎症重症化予防の取り組みなど、多くの業務を限られた人員でこなしている状況です。そのうえ、当県は東西に長く、地域内での移動にも時間がかかるため、人員不足が懸念されたからです。この課題を解決するには、遠隔地からでも保健指導を行えるICTが有効だと考え、「ICTを活用した保健指導により利用者の行動変容促進」を仕様に組み込んで入札を行い、令和5年度からメディブレーン社に委託しました。

―委託の効果はいかがでしたか。

 まずは、本県の人員不足の課題に対し、効果的だと感じました。同社に委託した令和6年度は、16市町村、のべ1,400人に利用勧奨のための通知書を送付し、さらに、意向確認の返送のない対象者には、同社が架電による利用勧奨を行ったことで、55人が保健指導を利用することにつながりました。当県の人員だけでは、これほどのフォローの架電を行うことは困難でした。また、もう一つのポイントであるICTの活用は、「利用者の行動変容」に期待以上の効果をもたらしました。

約5割が自発的に行動を変容

―詳しく聞かせてください。

 本事業は、遠隔で保健指導を行う際、血糖値の日内変動をグラフで可視化する『FreeStyleリブレ2』というツールを利用者に装着してもらい、民間の管理栄養士と利用者が血糖変動のデータを双方で共有する方式で実施しました。利用者自身が血糖変動を理解したうえで、客観的な根拠に基づいた指導を行うので、利用者の納得感が高まります。その結果、生活習慣改善の指標である「行動変容ステージ*」において、自発的に改善行動をしていることを意味する「実行期」に進展した割合が、約5割にもおよびました。

―本事業の成果を今後どのように活かしていきますか。

 今回、ICTによる遠隔の保健指導でも生活習慣の改善を促せると実感でき、効果的な介入方法の選択肢が増えました。この成果を市町村などに情報提供しながら、引き続き関係機関と連携して、糖尿病の発症予防から重症化予防まで、切れ目ない支援に取り組んでいきます。

*行動変容ステージ : 人が行動を習慣化し、長期的に維持するために必要な行動変容を段階的に示した指標のこと

支援企業の視点
管理栄養士の「寄り添う支援」が、生活習慣改善の動機づけになり得る
インタビュー
田辺 幸子
株式会社メディブレーン
経営企画室 管理栄養士
田辺 幸子たなべ さちこ
令和2年、株式会社メディブレーンに入社。健康戦略室(現:ウェルネスイノベーション部)の立ち上げメンバーとして、保健指導および管理業務に従事。令和5年より現職。おもに保健指導事業の案件獲得、企画提案を担う。

―自治体による糖尿病予防事業の現状をどう捉えていますか。

 多くの自治体で、同事業を担う職員と、地域医療資源が不足しており、近年はICTなどを活用して事業の効率化を目指す例が増えています。特に、医師の診察や健診を受けなくても血糖値を計測できるツールが次々と開発されたことから、導入を検討する自治体も多いようです。そうしたツールのなかでも、当社は『FreeStyleリブレ2』の活用を推奨しています。

―なぜ、そのツールを推奨しているのでしょう。

 二の腕に専用の装置をつけるだけで血糖変動を24時間測定できるうえ、そのデータを利用者自身が確認できるからです。これにより、食前・食後などの血糖変動がリアルタイムで可視化され、自身の健康状態を自覚しやすくなります。さらに当社では、ツールで得られた客観的なエビデンスに基づき、管理栄養士が効果的に利用者を動機づけし、行動変容を促しています。

―詳しく教えてください。

 各利用者に対し、一人の管理栄養士が担当となり、日頃の悩みや細かな体調の変化なども傾聴して対象者との信頼関係を構築します。そのうえで、無理なく続けられる方法を個別に提案して、生活習慣改善を継続できるように利用者の意識と行動の変容を促しています。過去の導入事例では、この「寄り添う支援」で多くの方々の行動変容を実現してきました。また当社では、ICTツールはもとより、AIやチャットを活用した支援を整備し、より良い保健指導事業の実施を目指しておりますので、ぜひお声がけくだ

株式会社メディブレーン
株式会社メディブレーン
設立

昭和61年4月

資本金

1,100万円

売上高

10億円(令和7年3月期)

従業員数

260人

事業内容

医療費適正化のコンサルティングサービス、各種医療適正化サービス

URL

https://medi-brain.com/

お問い合わせ先
06-6946-1128(平日 9:00〜17:00)
eigyo@medi-brain.com
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