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愛知県豊田市の取り組み
先進事例2024.10.23
職員の法務知識向上

検定制度による法務知識の底上げで、組織としての政策遂行能力を高めた

[提供] 第一法規株式会社
検定制度による法務知識の底上げで、組織としての政策遂行能力を高めた
この記事の配信元
第一法規株式会社
第一法規株式会社

※下記は自治体通信 Vol.61(2024年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

自治体職員の職務は元来、地方公務員法や地方自治法など、いくつもの法律に依拠して遂行される。とりわけ昨今は、社会課題の複雑化、多様化により、職員に現場で法律知識や法的思考が求められるケースが増えているとの声もある。これに対し、豊田市(愛知県)では、研修の一環としてある検定制度を導入し、職員の法務能力向上に努めているという。取り組みの経緯やその成果について、同市担当者と受検者の2人に話を聞いた。

[豊田市] ■人口:41万5,453人(令和6年9月1日現在) ■世帯数:18万8,167世帯(令和6年9月1日現在) ■予算規模:3,037億5,661万円(令和6年度当初) ■面積:918.32km² ■概要:愛知県のほぼ中央に位置し、愛知県全体の17.8%を占める広大な面積を持つ。全国有数の製造品出荷額を誇る「クルマのまち」として知られ、世界をリードするものづくり中枢都市としての顔を持つ一方、市域のおよそ7割を占める豊かな森林、市域を貫く矢作川、季節の野菜や果物を実らせる田園が広がる、恵み多き緑のまちとしての顔も併せ持っている。
インタビュー
北村 尭之
豊田市
総務部 法務課 主査
北村 尭之きたむら たかゆき
インタビュー
丹羽 大介
豊田市
市長公室 市政発信課 主査
丹羽 大介にわ だいすけ

現場の実情に応じて、各所管課が法解釈を行うべき

―かつて豊田市では、職員の法務能力をめぐり、どのような課題認識を持っていましたか。

北村 当市では過去、庁内において法的判断や法解釈が求められる問題は、事業や業務の内容にかかわらず、法務課に相談が寄せられる状況でした。しかし、法務課では法律運用の背景となる事業や業務の実情をすべて把握しているわけではなく、すべての法律に精通しているわけでもありません。本来は、当該事業や業務を熟知している各所管課が、現場の実情に応じて適切な法解釈を行うことが望ましい姿ではないかという課題認識がありました。また、昨今の地方分権の流れから、積極的に条例を活用して政策実現を図るべきとの考えもあり、職員の法務能力向上が必要との認識もありました。

―人材育成に向けては、どのような取り組みを行ったのでしょう。

北村 従来から実施している職員の「5年目研修」において、法務研修を盛り込み、さらにその成果の定着を図るため、令和3年度から第一法規が提供する『自治体法務検定』の政策法務編を導入しています。もともとこの検定は、自治体法務の運用を学ぶ庁内グループの職員が10年ほど前から自主的に受検していた経緯があり、一部の職員の間では知られていました。法令理解や現場での法運用の参考になり、政策法務の知識を介して業務上の連携も生まれると高い評価がありました。そこで、令和3年度から、市の正式な取り組みとして「団体受検」を導入したのです。

政策で法律を積極的に活用する姿勢を学んだ

―導入効果はいかがですか。

丹羽 私は昨年の5年目研修で『自治体法務検定』を受検し、政策上で法律を積極的に活用していく姿勢を学びました。それまで法律は、私にとって破ってはいけないもの、いわば制約以外の何ものでもありませんでした。業務では、SNSを通じて市政情報を発信しているのですが、法に照らして施策の可否を判断する力や、SNSの利用規約変更に伴う注意点を把握する力がついたと実感しています。

―今後、研修や検定の成果をどのように活かしていきますか。

丹羽 今後異動によって新しい業務にあたる際にも、研修や検定での学習内容やテキストを拠り所とし、法律を実践的に活用してきた経験を活かしていきたいです。

北村 近年は民間人材をはじめとする多様な人材の採用などにより、自治体法務にまつわる知識や経験を身につける機会がなかった職員も増えています。そのため今後もこの検定を活用し、庁内全体の法務能力を底上げし、法律を最大限に活用した住民サービスの向上に努めていきたいと考えています。

支援企業の視点
検定で法務知識をアップデートし、法を使いこなす習慣づくりを
インタビュー
菊地 未奈
第一法規株式会社
販売促進局 販売促進第二部
菊地 未奈きくち みな
令和3年、第一法規株式会社に入社。おもに自治体に向けたプロモーションを担当している。

―職員の法務知識をめぐる自治体の事情を教えてください。

 平成12年の地方分権一括法施行以来、地域行政における自治体の主体性が高まり、それに伴って職員が法律を積極的に運用する機会が増えています。また、昨今では個人情報保護法やデジタル改革関連法など法制度の改正が相次いでおり、つねに職員の法務知識のアップデートが必要になっています。多くの自治体では、法務研修を行っていますが、一方で「有効な研修ができていない」「効果測定ができない」といった声があります。そこで当社では、職員の法務知識の定着や効果測定を後押しすべく、『自治体法務検定』の活用を提案しています。

―どのような検定ですか。

 「基本法務」と「政策法務」の2科目から成り、前者は自治体職員が担当を問わず共通に備えるべき法務知識であり、後者は政策推進のために必要な法務知識です。いずれも、実務に役立つことを重視した内容になっているのが特徴です。豊田市が導入する自治体単位の「団体受検」のほか、個人の資格で受検できる「一般受検」があり、年間約2,000人が挑戦しています。一般受検は年2回、オンラインで実施されており、全国どこからでもご自身のパソコンで受検できます。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 法務知識は、業務遂行の助けになるだけではなく、自身を守る道具にもなります。『自治体法務検定』を活用して法務知識のアップデートを図るとともに、法を使いこなす習慣づくりをしていただければ幸いです。

第一法規株式会社
第一法規株式会社
設立

昭和18年2月

資本金

4億8,000万円

売上高

113億1,357万円(令和6年3月期)

従業員数

501人(令和6年3月現在)

事業内容

法関連の書籍(加除式書籍、実務書、雑誌、単行本)の出版・制作・販売、デジタル商品および教育研修ツールの制作・販売、データベースコンテンツの構築・提供

URL

https://www.daiichihoki.co.jp/

お問い合わせ先
03-3796-5477(平日 9:00〜17:30、年末年始を除く)
jichi_info@daiichihoki.com
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