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群馬県安中市の取り組み
先進事例2023.06.25
音声筆談を活用した窓口業務改善

「人にやさしい」デジタルの力で、「誰一人取り残さない」窓口を実現

「人にやさしい」デジタルの力で、「誰一人取り残さない」窓口を実現

※下記は自治体通信 Vol.50(2023年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

昨今の外国人住民の増加や、「障害者差別解消法」の施行などを背景に、住民との接点となる窓口の対応品質を高め、業務を効率化しようとする自治体が増えている。そうしたなか、安中市(群馬県)では、多言語対応の「音声筆談システム」を導入し、窓口コミュニケーションの改善を図ったという。導入を主導した同市担当者の大溝氏に、取り組みの経緯やその効果について聞いた。

[安中市] ■人口:5万5,012人(令和5年4月30日現在) ■世帯数:2万4,906世帯(令和5年4月30日現在) ■予算規模:478億6,708万2,000円(令和5年度当初) ■面積:276.31km² ■概要:群馬県の西部に位置し、西は長野県軽井沢町と接する。古くは東山道、近世には中山道の宿場、関所が置かれるなど交通の要衝であり、現在も新幹線駅1駅、高速道路IC2ヵ所と立地条件に恵まれ、交通・輸送の要所として栄えている。交通の便を利点とした商・工業の充実のほか、磯部温泉や旧碓氷峠など恵まれた環境を活かした観光事業の発展などのために、さまざまな施策が進められている。
インタビュー
大溝 泰彦
安中市
企画政策部 政策・デジタル推進課 課長
大溝 泰彦おおみぞ やすひこ

難聴や聴覚障がいの住民は、職員の声が聞き取りにくい

―デジタルツールの導入で窓口対応を改善したと聞きます。その経緯を教えてください。

 当市では長らく、難聴や聴覚障がいの方々が窓口で職員の声を聞き取りにくいという課題を感じていました。こうした事態は、コロナ禍でのマスク着用やパーテーション設置によって顕著になりましたが、そのような感染症対策が緩和されたとしても解決すべき課題と捉えていました。そこで当市はこの課題を解決するため、会話を文字にして画面表示させることの有効性を検証していました。そして、画面表示システムの本格導入を検討していたところ、ほかの業務システムで付き合いのあったコニカミノルタから『KOTOBAL』というサービスの提案を受けたので興味を持ち、令和3年12月から改めて実証実験を行いました。

―サービスのどこに興味を持ったのでしょう。

 まず、AIによる文字起こし機能により、会話がリアルタイムでタブレット端末上に表示される点です。この「音声筆談」により、窓口での「聞き取りにくい」という課題は解消できると期待しました。また、『KOTOBAL』には31言語対応の機械通訳機能も実装されており、窓口での外国人対応に活用できるほか、持ち運び可能なタブレット端末を介したサービスのため窓口対応以外のシーンにも活用できそうだとの期待もありました。

―実験の結果はいかがでしたか。

 音声の文字起こし精度が高いうえ、文字が瞬時に表示されるので、コミュニケーションを円滑に行える効果を実感できました。当初は、デジタルツールを介することで人と人の会話の温もりが希薄化されてしまうとの心配もありましたが、実際はデジタルの新鮮さもあり、むしろ会話がはずむといった効果がありました。また、直感的で簡単に扱える操作性の良さも高く評価し、令和4年から導入しました。

シンプルなUIも、職員や市民から好評

―導入後、現場ではどういった活用がなされていますか。

 住民福祉課や高齢者支援課をはじめ、複数の部署における窓口対応で活用されています。また、タブレット端末を庁外に持ち出して外国人市民への対応に活用された例もあります。UIがシンプルなため、初見の職員や市民が操作に戸惑うことはなく、運用に支障がないうえ、利用した市民や応対した職員から好評を得ています。また、この取り組みは庁外でも注目を集め、昨年度は「夏のDigi田甲子園*」で群馬県代表に選ばれました。市民と職員のコミュニケーションを改善する『KOTOBAL』は、まさに「人にやさしいデジタル」ツールだと感じています。今後も、「誰一人取り残さない」窓口対応の基盤として活用を広げていきます。

*Digi田甲子園: デジタルの力を地域の課題解決や魅力向上などにつなげる「デジタル田園都市国家構想」の一環として、特に優れた取り組みやアイデアを総理大臣が表彰する制度

支援企業の視点
デジタルによる窓口対応の改善は、住民にわかりやすいDX事例に
インタビュー
鈴木 茉帆
コニカミノルタジャパン株式会社
KOTOBAL プロダクトプランナー DXソリューション事業部 ICW事業統括部 コミュニケーションDX 事業開発部
鈴木 茉帆すずき まほ
東京都生まれ。平成29年に慶應義塾大学商学部を卒業後、ソフトバンク株式会社に入社し、ITサービスの法人直販営業に従事。令和3年、コニカミノルタ株式会社に入社後、現職に。『KOTOBAL』の企画営業や商品企画を担う。

―窓口対応の改善に関心を持つ自治体は増えていますか。

 増えています。外国人住民や聴覚障がい者への意思疎通支援の強化、DX推進などを背景に、特にデジタルを活用したコミュニケーション支援への関心は高まっています。当社では、そうした自治体に対して『KOTOBAL』を提案しています。AIによる「音声筆談」「機械通訳」のほか、手話通訳者や外国語通訳者による「遠隔通訳」を利用できるのが最大の特徴です。タブレット端末1台にインストールするだけで、簡単な会話から複雑な相談まで、コミュニケーションの円滑化を図れるのです。

―今後、自治体の窓口対応をどのように支援していきますか。

 『KOTOBAL』は、出先機関や教育現場など100以上の自治体施設で幅広く活用されています。それらの実績を活かした多様な活用法を提案することで、職員と住民のコミュニケーションの円滑化をお手伝いします。たとえば、「透明ディスプレイ」と接続する活用法は、身ぶりと字幕を一緒に見せながら会話ができ、デジタル技術の活用による行政サービス向上を住民へわかりやすく表現できるため、DX先進事例として注目する自治体が多いです。ぜひご連絡ください。

設立

昭和11年12月

資本金

375億1,900万円

売上高

1兆1,303億9,700万円(令和5年3月期)

従業員数

3万9,121人(令和4年3月現在)

事業内容

複合機(MFP)・プリンター、印刷用機器、ヘルスケア用機器、産業用計測機器などの販売、並びにそれらの関連消耗品、ソリューション・サービスなど

URL

https://www.konicaminolta.com/

お問い合わせ先
050-3188-1086(平日 9:30~17:30)
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