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  4. 住民の命を預かる避難所運営にこそ、デジタル変革が必要
先進事例2023.03.14
避難所運営の効率化

住民の命を預かる避難所運営にこそ、デジタル変革が必要

住民の命を預かる避難所運営にこそ、デジタル変革が必要

宮崎県都城市の取り組み

避難所運営の効率化

住民の命を預かる避難所運営にこそ、デジタル変革が必要

都城市
総合政策部デジタル統括課 副主幹 佐藤 泰格
総務部危機管理課 主事 原田 愛也
[提供] Gcomホールディングス株式会社

災害発生時に住民の命を預かる避難所の運営は、自治体のもっとも重要な役割の一つだ。一方で、混乱のさなかでの運営には解決すべき課題も多く、コロナ禍の到来で、自治体だけでなく住民への負担も増している。そうしたなか、都城市(宮崎県)では、デジタル技術の活用によって、ITベンダーと共同で避難所運営を効率化させる新たなシステムを開発。このほど導入に目途をつけたという。どのようなシステムか、同市担当者に詳しく聞いた。

[都城市] ■人口:15万9,226人(令和4年3月1日現在) ■世帯数:7万1,202世帯(令和4年3月1日現在) ■予算規模:1,461億4,538万6,000円(令和4年度当初案) ■面積:653.36km2 ■概要:宮崎県の南西端に位置し、県内第2位の人口規模を擁する。豊かな自然によって育まれた畜産品が豊富で、全国有数の焼酎産地としても有名であり、マイナンバーカード交付率は市区別で日本一(総務省調べ、令和4年3月1日時点)。
都城市
総合政策部デジタル統括課 副主幹
佐藤 泰格 さとう ひろのり
都城市
総務部危機管理課 主事
原田 愛也 はらだ よしや

不安な避難者を、いかにスムーズに誘導するか

―これまで避難所運営に際して、どのような課題がありましたか。

佐藤 避難者の動線をいかにスムーズに確保するかが最大の課題でした。従来は、受付で紙の避難者カードに名前や住所などを書いてもらうため、不安な避難者を迅速に誘導できませんでしたし、特に高齢の避難者に負担が生じていました。災害が大規模化すれば、入口に長蛇の列ができることもあります。コロナ禍では、検温や消毒などの作業もくわわるので、受付の混雑解消は重要なテーマでした。

原田 また、集めた避難者情報は、これまでは災害対策本部に電話や無線で報告していました。この業務が職員の負担になると同時に、避難状況をリアルタイムに把握できない理由となっていました。こうした状況は、避難所定員を超えた混雑や物資の不足を招きかねません。そのため、避難者情報の管理も同じく重要な課題でした。

―都城市では、どのような解決を図ったのでしょう。

佐藤 一連の業務のデジタル化で解決を図ろうと考えたのですが、そのようなシステムが存在せず、頭を悩ませていました。そんな折、行政用システムの導入で付き合いのあったGcomホールディングスが、当市との共同開発を提案してくれたのです。多くの自治体での活用を前提に、両者で機能を見極めながら開発を進め、このほど導入に目途がつきました。

60~80%の時間短縮効果

―どのようなシステムですか。

原田 受付の迅速化を図るため、3つの方法で避難者情報を登録する仕組みを導入しています。1つ目は、避難者が事前登録した際に発行される二次元コードを読み込む方式。2つ目として、事前登録が難しい高齢者などには、健康保険証といった身分証明書をOCRで読み込む方式も用意。3つ目は、マイナンバーカードのICチップから読み取る方法です。いずれの方法に対応できない場合でも、職員がタブレット端末で入力する仕組みとし、受付のデジタル化を図ります。この結果、当市のシミュレーションでは、60~80%の時間短縮効果が見込めると算定しています。

佐藤 各種情報は避難所と本部がリアルタイムで共有できるため、各避難所の混雑状況を即座に発信し、住民を空いている避難所へ誘導できます。また、国のシステムと連携し、救援物資の迅速な補給や避難所間での融通も可能となります。

 現在、複数の自治体と連携して実証を進めており、導入に向けた最終調整を行っているところです。

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支援企業の視点

自治体の「リアル」を盛り込んだ、真に必要とされるシステムの導入を

Gcomホールディングス株式会社
地方行政経営研究所 リーダー 池戸 祐樹
[提供] Gcomホールディングス株式会社
Gcomホールディングス株式会社
地方行政経営研究所 リーダー
池戸 祐樹 いけど ゆうき

―避難所運営をめぐる現在の自治体の課題はなんでしょう。

 避難所の開設、避難データの収集、閉所にいたるまでの一連の事務に多くの時間を要していることです。全国的に災害が頻発化、激甚化している近年、避難所運営の効率化について重要性が高まっています。そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナ感染症対策という新たな課題です。コロナ禍で自治体の業務はひっ迫し、非常時の対応まで手が回っていない状況に、避難所管理を担当する現場職員もジレンマを抱えています。この状況をデジタル技術で改革したい。そのため、都城市とシステムの共同開発を進めました。

―システムの強みはなんでしょうか。

 官民共創による開発の成果として、自治体のリアルな防災減災ノウハウを注入しており、真に必要な機能を実装できていることです。現在、都城市のほか6自治体でシステムを使い実証実験を行っていますが、そこでの評価も開発にフィードバックされています。単に既存の業務フローをデジタル化するだけでなく、避難所運営の効率化に資するプロセス改善のアイデアを提供できるところも強みですね。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 開発したシステムは、多くの自治体が活用できるよう、まずは短期避難用に機能が最適化されています。今後は、登録情報がさらに増える長期避難に対応した機能強化も進めます。さらに、令和4年4月より無料トライアルの受付を開始しました。ぜひお問い合わせください。

池戸 祐樹 (いけど ゆうき) プロフィール
昭和52年、東京都生まれ。平成12年に文教大学を卒業してから一貫してIT業界に従事する。平成27年、沖縄行政システム株式会社に入社、令和2年にGcomホールディングス株式会社へ転籍し、地方行政経営研究所に配属され、自治体DXの研究開発業務を担当。
Gcomホールディングス株式会社
創立 昭和46年5月
資本金 1億円
従業員数 587人(令和4年1月現在)
事業内容 自治体DX製品の企画・開発(避難所管理システム、EBPM支援ツール、サイバー窓口システム、議会DXシステムなど)、地方自治体向けソフトウェアの開発・販売
URL https://www.gyoseiq.co.jp/

「避難所管理システム」の詳細はこちら
https://www.gyoseiq.co.jp/cyber_autonomous/
お問い合わせ電話番号 080-8589-9632 (担当直通、平日 8:30~17:30)
お問い合わせメールアドレス kenkyuujo@gyoseiq.co.jp
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