《「住民からの感謝状」22通目》病気の子を持つ悲しみと不安に、寄り添ってくれて救われました

※下記は自治体通信 Vol.72(2026年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体の職員は日々、住民生活の維持・向上を図るべく、業務に取り組んでいる。そうした日常でもらう住民からの「感謝の言葉」は、職員にとって励みとなり、ときには、業務の本質に改めて気づかせてくれるヒントにもなる。とはいえ、実際に住民から感謝の言葉をもらえる機会はそう多くはないに違いない。そこで本連載では、住民から感謝の言葉を受けた自治体職員をクローズアップ。エピソードを通じて、職員たちの誇るべき仕事ぶりを紹介する。

―感謝の言葉を受け取った経緯を教えてください。
私は、重い病気などで自宅での医療ケアが必要な子がいる家庭の支援に携わっています。感謝の言葉は、先天性の心疾患がある乳児のお母さんから受け取りました。初めてお会いしたとき、お母さんはわが子の現実を受け入れられず、面談で涙が止まらないほどでした。それでも夜は4時間おきに乳児に鼻からチューブで栄養補給しなければならないのです。心身ともに疲弊しきっていることがわかりました。その様子を目の当たりにして「少しでも力になりたい」と考え、ご自宅への訪問を重ねていました。そして、ある日「おかげで救われました」と伝えられたのです。
―感謝の言葉の背景には、松岡さんの保護者へのどのようなかかわり方があったと思いますか。
お母さんの悲しみと不安に寄り添うために、まずは話を聞くことに徹したからではないでしょうか。こうしたかかわり方をした背景には、じつは私自身の経験があります。身内が亡くなって悲嘆する毎日を過ごすなか、役所の職員にかけられた言葉に慰められたのです。職員との面談理由は、身内の死別に伴う保険の変更や、遺族の生活支援に関する手続きのためでしたが、まずはじっくり話を聞いてもらえました。そして「つらかったですね」という労いの言葉とともに「これからについて、一緒に考えていきましょう」と言われ、立ち直るきっかけになりました。そして、相手の気持ちを理解したうえで支援を考えることの大切さに気づいたのです。
―感謝の言葉を受けて、どのように感じましたか。
自分の気づきが間違っていなかったと感じました。そして、これからどのように支援できるか、それを一緒に考えていかなければと身が引き締まる思いがしました。金銭的な支援、お子さんの預け先、仕事との両立など、専門職としての知識を活かした、お悩みに対する具体的な情報提供が、行政職員の務めです。信頼関係を築いて、そのうえで、お困りの状況をどうやって変えていくか。決められた支援メニューの提案を一方的に押し付けるのではなく、相手に寄り添って支援することの大切さを、このお母さんとのやりとりを通じて再認識しました。


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