

越谷市 都市整備部 建築住宅課
埼玉県南東部に位置する越谷市は、人口約34万人を擁する自治体です。東京都心へのアクセスの良さから、首都圏のベッドタウンとして発展を続けています。都市整備部 建築住宅課では、市営住宅やマンション管理などを管轄する住宅部門、空き家の管理や指導を行う空き家部門、建築基準法関連の指導や審査などを行う建築部門に分かれ、それぞれの所管業務を担っています。
https://www.city.koshigaya.saitama.jp/toiawase/sosiki2/toshisebi/kenchikujutaku

越谷市 都市整備部 建築住宅課 右から目黒氏、佐原氏、森本氏
国土交通省による建築確認申請のオンライン化推進を受け、越谷市ではオンラインでの申請受付だけでなく、図面確認、修正指示、決裁といった建築関連業務全体の電子化に取り組んでいます。液晶ペンタブレットと手書き入力ソフトを活用することで、紙図面に近い操作性を維持しながら業務効率化とペーパーレス化を推進しています。
紙図面中心の業務が抱える課題、確認作業の負担と保管スペースの確保
建築部門の業務は多岐にわたりますが、その中には長期優良住宅認定*や建築確認審査*に関連する書類確認業務があります。
越谷市では年間約400件※の長期優良住宅認定業務を行っているほか、民間の指定確認検査機関から提出される建築確認審査の報告書類についても年間約1,400件※を受け付けています。これらの業務では、申請書や配置図、各階の平面図・立面図など、さまざまな書類や図面を見比べながら、記載内容の整合性や基準への適合性を確認します。取り扱う書類や図面の量が多く、複数の資料を照らし合わせながら確認を進めるため、多くの時間と労力を要します。(26年10月時点)
*長期優良住宅認定とは:長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅を認定する制度です。耐震性、省エネ性、劣化対策などの基準を満たした住宅に対して認定通知書が交付されます。
*建築確認審査とは:建物の新築・増築・改築、大規模修繕や大規模模様替の際に、建築基準法や関係法令に適合しているかを確認する手続きです。

従来の紙書類による運用にはいくつかの課題がありました。
建築部門は、申請書や設計図面類を窓口で受け付け、その場で必要書類の有無を確認します。書類が不足している場合は受理できないため、慎重な確認作業が欠かせません。
「全部そろっていないと受理できないため、まず必要書類がすべてあるかを確認します。1枚でも足りなければ再提出してもらわなければならないので、慎重にチェックします。」
と目黒氏は説明します。
特に建築確認申請等における大規模建築物の案件となると構造計算書だけで1,000ページを超え、提出書類が10センチ以上の厚さになることもあります。提出書類の確認には時間を要する場合が多く、窓口対応における職員・申請者双方の負担が課題となっていました。
森本氏は、大きな図面を広げる作業が悩みの種だったと明かします。
「窓口でA3・A2サイズの図面を1枚ずつ開いて確認しなければならないので、机上での確認やスペースの確保が大変でした。分厚い紙の束から目当ての書類や図面を探し出すのも一苦労でしたね。」
審査で不備があれば、再提出を依頼する必要があります。佐原氏は、その後、再提出された書類を確認し直す作業が非効率的だと感じていました。「指摘した箇所だけ直してくださればよいのですが、他の部分も併せて変更される場合もあるので、一からすべてをチェックし直さなければなりません。変更箇所が分かればもっと短時間で確認できるのに、と思っていました。」

書類の保管スペースの確保の課題もありました。そんな中で2023年、国土交通省から建築確認申請のオンライン化を推進する方針が示されました。これが液晶ペンタブレット導入を検討するきっかけになりました。
「義務ではなく推奨でしたが、いずれは対応しなければならない課題だと考えていました。紙ベースの業務フローにも課題を感じていたことから、この機に電子化に向けて動かなければと考えました。」と目黒氏は振り返ります。
先行事例との出会いが導入の後押しに
オンライン受付の先行事例を参考にするため、2024年6月に先行して導入されている自治体を視察しました。そこでワコムの製品を知り、国内メーカーであることや、公共分野での導入実績も多いことなどから、有力な候補として検討を進めました。ペンによる直感的な書き込みと、マルチタッチによる拡大・縮小操作により、紙図面への書き込みに近い感覚で業務を進められると考えて導入を決めました。
「当初は、電子化によって業務がやりにくくなるのではないかという不安がありました。一般的なタブレットやモニターで図面を確認するのは難しいと思っていました。視察先で、A3図面を等倍表示できる大型の液晶ペンタブレットを活用した運用を見て考えが変わりました。紙書類と同じ感覚で書き込みながらスムーズに作業する様子を目の当たりにし、『これなら自部署でも運用できる』という確信を持つことができました。」

2024年11月に実機を用いたデモンストレーションで使用感を確認し、2025年4月に予算計上。システム部門との連携など庁内での調整を経て、2026年3月、液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq 24 touch 法人モデル(DTH246EK4C)」7台(担当者用5台、管理職用2台)を導入しました。併せて、「PenPlus for Business」を導入し、以前から庁内で利用していた「DocuWorks」と組み合わせながら、3月から電子データの申請・確認を始めました。
*PenPlus for Business(ペンプラス フォー ビジネス)とは
PDF図面上にペンで直接書き込みができる手書き入力ソフトウェアです。ワコムの液晶ペンタブレットと組み合わせることで、紙図面への赤入れに近い操作感を実現し、確認業務や審査業務における図面確認の電子化を支援します。さらに、新旧図面を比較しながら変更箇所を確認できる差分チェック機能により、再提出時の確認負担を軽減し、確認漏れの防止にも貢献します。
紙図面に近い感覚で使える、業務効率向上とペーパーレス化への手応え
元々使っていたノートPCに液晶ペンタブレットをつないでダブルモニターにし、ノートPCに申請書を表示させ、液晶ペンタブレットには「PenPlus for Business」で開いたPDF図面を表示し、修正指示やコメントを書き込みます。「DocuWorks」のトレイ機能*を活用し、担当者から上長へと電子的に書類を回付しながら決裁を進めています。建築確認審査と長期優良住宅認定のいずれも、申請書や図面の整合性を確認する業務が中心となるため、同様の運用が可能です。現時点では、長期優良住宅認定業務で活用しながら、電子化に向けた運用ノウハウを蓄積しています。
*DocuWorksトレイ機能:電子文書を関係者間で受け渡しながら確認・承認できる機能。紙の回覧や決裁文書の受け渡しを電子化できる。
「例えば、ノートPCに申請書や法規情報を表示し、液晶ペンタブレット側では配置図や平面図を並べて表示することもあります。申請内容と図面、図面同士の整合性を効率よく確認できるためです。画面が大きいので2分割にしても見やすいです。図面確認では全体図と詳細図を頻繁に行き来しますが、マルチタッチですぐに拡大・縮小できるので、見たい箇所をスムーズに確認できます。また、ペンで直接図面に修正指示やコメントを書き込みながら作業できるため、紙図面を扱う感覚に近い運用が可能です。ペンのさらさらとした書き心地も好評で、作業負担の軽減につながっていると感じています。」と目黒氏は、紙図面に近い操作性や視認性の高さを評価しています。

非効率的な業務にストレスを感じていた佐原氏も、「PenPlus for Businessの差分チェック機能を使いこなして変更箇所が分かるようになれば、再提出書類の確認作業は確実に早くなると思います。また、電子申請により申請者の来庁タイミングに左右されず、自分たちの業務状況に合わせて確認作業を進められるようになったことも、業務効率化につながると考えています。」と話します。
大きな紙図面の取り扱いに苦労していた森本氏は、
「以前は保管棚から案件ファイルを取り出し、分厚い書類や図面の束をめくりながら目的の資料を探していましたが、現在はPC上で必要なファイルをすぐに検索し、高精細の大画面で確認できます。資料を探す時間が減ったことで、本来の確認業務に集中できるようになりました。A2の図面を広げる場所に困ることもなくなりましたし、書類の保管スペースも不要になりました。図面の細かい数字や寸法も簡単に拡大できるため、見間違いや見落としの低減につながっていると感じています。」
と、業務効率の向上に加え、確認作業のしやすさも実感しています。
また森本氏は、電子化によって業務環境は大きく変わったものの、確認業務そのものの進め方はこれまでと変わっていない点も評価しています。
「建築確認審査も長期優良住宅認定も、まずは担当者が書類を確認した後に他の職員もチェックし、最終的に建築主事が確認をします。そのため担当者ごとに使うペンの色を決め、誰の修正指示やコメントか一目で分かるように工夫しています。これは、紙図面に手書きでコメントや修正指示を記入しながら確認していた頃から続く運用です。電子化によって『大きい図面を広げて確認するのが大変』『目的の書類を探しにくい』といった課題は解消されました。一方で、色分けによるチェック方法など、これまでの確認フローは変える必要がありませんでした。紙図面に近い運用を維持したまま電子化を進められる点も、大きなメリットだと感じています。」

森本氏は、液晶ペンタブレットの表示性能も高く評価し、審査業務以外でも活用しているといいます。
「反射が少なく見やすいのでメインモニターとしても使っています。ちょっとした事務作業も液晶ペンタブレットに表示させて行っています。画面が大きいので、2分割してPDFファイルを見ながらExcelに入力するような作業も無理なくできます。これならさまざまな書類を画面上で確認できると思います。図面の作成や差し替えが多い業務では重宝すると思います。」
建築確認関連書類のさらなる電子化へ
また、越谷市では、民間の指定確認検査機関*から提出される建築確認審査の報告書を年間約1,400件受け付けています。現在、多くの建築確認審査は民間の指定確認検査機関が担っていますが、審査結果に関する報告書類は特定行政庁である越谷市にも提出されるため、その受付や保管・管理も重要な業務の一つです。提出される報告書類は、1件あたりA4サイズで10枚以上になることが多く、その書類を保管・管理する負担は決して小さくありません。
さらなる電子化を見据える目黒氏は、以下のように語ります。
「受付システムとの兼ね合いでまだ実現できていませんが、こうした報告書類も電子化できれば、保管スペースの削減だけでなく、書類検索や管理の効率化にもつながると考えています。」
建築確認業務のデジタル化など、ペーパーレス図面審査に関する詳しい資料は、以下から無料でダウンロードいただけます。

| 設立 | 1983年7月12日 |
|---|---|
| 資本金 | 42億347万円 |
| 代表者名 | 井出 信孝 |
| 本社所在地 | 東京支社 |
| 事業内容 | ワコムは、40年近くにわたって業界をリードしてきたデジタルペンテクノロジーに基づき、 対面でのやり取りが必要なワークフローのデジタル化をサポートしております。 まるでペンで紙に書くような自然な書き心地で定評のあるワコムのハードウェアに、デジタルインクの情報を保存、および表示する当社のソフトウェアを使用することで、その機能を最大限に利用することができます。 これにより、 使い慣れたペンと紙の感覚を残したまま業務のデジタル化とペーパーレス化を実現することができます。 デジタルでありながら人間に寄り添った体験をお客様に提供します。 |
| URL | https://tablet.wacom.co.jp/enterprise_education/industries/public/ |
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