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静岡県の取り組み
先進事例2025.11.24
盛土管理のシステム化

【自治体DX・盛土管理】業務の実情に合ったシステム導入で、盛土の管理体制をさらに強化できた
盛土等情報管理システム / 有限会社アーク

[提供] 有限会社アーク
【自治体DX・盛土管理】業務の実情に合ったシステム導入で、盛土の管理体制をさらに強化できた(盛土等情報管理システム / 有限会社アーク)
この記事の配信元
有限会社アーク

※下記は自治体通信 Vol.70(2025年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

令和3年7月に、熱海市(静岡県)で発生した土石流災害。これを機に、盛土などを原因とする災害の防止を目的として、国が従来の法律を改正し、令和5年に「宅地造成及び特定盛土等規制法(以下、盛土規制法)」を施行した。これにより、全国的に盛土規制の強化が求められている。実際に被害を受けた静岡県では、盛土規制法に合わせ、新たに盛土管理システムを導入したという。盛土対策課の原木氏に、導入の経緯と得られた効果などを聞いた。

[静岡県] ■人口:349万1,925人(令和7年10月1日現在) ■世帯数:153万6,490世帯(令和7年10月1日現在) ■一般会計予算:1兆3,723億円(令和7年度当初) ■面積:7,777.00km² ■概要:日本のほぼ中央に位置し、遠州灘、駿河湾、相模灘に沿った約500kmの海岸線を南側に、北側は富士山など3,000m級の山々からなる北部山岳地帯が、東西に長い地形を囲んでいる。富士山に加えて、近代史のモニュメントとも言える韮山反射炉も世界文化遺産に登録されているほか、熱海温泉や伊東温泉、修善寺温泉など、日本屈指の温泉地が多く、観光地として人気。
インタビュー
原木 崇
静岡県
くらし・環境部 環境局 盛土対策課 盛土対策班 主査
原木 崇はらき たかし

盛土の情報を、一元化するために導入を検討

―盛土管理システムの導入を検討した経緯を教えてください。

 当県では先の災害を受け、盛土規制の強化が急務となりました。そこで、令和4年度から盛土対策課を新設し、盛土に関する業務を集約化しました。そして、県独自の条例を施行し、県内の一定規模以上の盛土に対する許可を義務づけるほか、違法な盛土に関する情報提供を県民から受けつける「盛り土110番」を設置するなど、盛土の規制および監視、指導の強化に取り組んできました。その後、令和5年に盛土規制法が施行され、規制対象の範囲が広がり、審査件数の増加が見込まれました。そのうえ、審査事項もさらに細かくなり、職員の対応も煩雑になると予測されました。それらの許可情報と、違法な盛土に関する情報などを集約し、一元管理するためにシステム導入を検討したのです。

―どのように検討を進めていったのでしょう。

 システムの構築は、地元のシステムベンダーのアーク社に依頼しました。すでに同社で制作した違法盛土に関する情報を管理する盛土監視システムがあり、それをベースにすれば開発にかかる時間やコストなどを抑えられると考えたからです。また、当県のほかのシステム構築を複数手がけており、当県独自のシステム環境の知見もあり、開発もスムーズだと期待しました。令和7年5月、盛土規制法に基づいた規制を開始したタイミングでシステムを導入しました。

―システムを導入して、得られた効果はありましたか。

 盛土の全情報を一元化して、抜け漏れのない管理体制を構築できたことに加え、盛土管理業務の実情に合ったシステムだと感じています。たとえば、事業者からの申請は出先機関で受付し、それを本庁で審査するのですが、出先では紙の申請書の情報を手作業で入力していました。それが自動で取り込んで入力できるようになり、出先と本庁間で迅速に情報共有ができています。また、当県独自の盛土管理と連動した工夫もされています。

―どのような工夫ですか。

 以前から当県のHPのGIS*で盛土条例の許可情報を住民に公開していたのですが、それも手作業で、更新は月1回程度でした。システムではこの作業も自動化しており、許可の翌日には更新情報が公開され、入力ミスも防げています。現在は、GIS上にて盛土許可情報をすべて紐づけて管理できており、情報の共有と発信に加え、その正確性の向上も実感しています。

*GIS: Geographic Information Systemの略で、「地理情報システム」と訳され、位置情報とさまざまな属性データをコンピュータ上で重ね合わせて管理・分析・可視化するシステムのこと

伴走支援を受けながら、ブラッシュアップを図る

―今後のシステムの運営方針を教えてください。

 アーク社の伴走支援を受けながら、盛土管理システムのブラッシュアップを図っていきたいと考えています。たとえば、許可した案件の工事中の管理として、事業者から当県に工事着手届、定期報告書、完了検査申請などの提出業務が発生します。それらの提出期日が近づくと、アラート機能で事前通知される仕組みを構築して、提出の見逃し防止や事前の督促をスムーズに行えるようにする予定です。県民を災害から守るためにも、盛土管理を強化していきます。

支援企業の視点
自治体に知見のあるベンダー活用で、「情報一元化」以上の盛土管理が可能
インタビュー
前田 和人
有限会社アーク
代表取締役
前田 和人まえだ かずと
昭和61年、静岡県生まれ。平成21年に静岡英和学院大学を卒業後、株式会社静岡中央銀行に入行し、融資業務を担当。平成25年、有限会社アークに入社。技術営業業務を経て、令和4年に代表取締役に就任する。

―盛土管理においてシステム導入を検討する自治体は増えているのでしょうか。

 増えています。盛土規制法により、一定規模以上の盛土の許可が義務づけられたことで、審査件数が増加したほか、審査項目も細かくなりました。加えて、許可申請の認定後も、事業者から定期的に進捗状況を自治体に報告することが義務化されたことで、盛土の管理業務が複雑化・煩雑化するようになりました。多くの自治体では、そうした業務を紙やExcelなどで管理しているため、「情報を一元化して業務効率を図りたい」というニーズが増えているのです。

―システムを検討する際のポイントはなんでしょう。

 システムを開発・導入するだけでなく、自治体の業務に理解があるベンダーを選定すれば、情報の一元化だけにとどまらず、情報管理の強化にもつなげられます。当社の場合、静岡県をはじめ、県内の自治体に対し、約30年にわたって、土木管理や危機管理におけるシステム開発に携わってきました。そうした知見を活かし、事業者からの申請書の自動入力機能など、各種機能を搭載して開発したのが、今回静岡県に導入した『盛土等情報管理システム』なのです。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 このシステムをほかの自治体に横展開していくことで、盛土に関する管理体制の強化に貢献していきたいですね。これを活用すれば、開発コストが抑えられますし、各自治体の業務ごとのカスタマイズも可能です。ぜひお問い合わせください。

有限会社アーク
設立

平成5年7月

資本金

300万円

事業内容

防災業務支援システム・ネットワークの構築・運用、観測機器(センサー)の提案・運用など

URL

https://ark.co.jp/

お問い合わせ先
055-929-8000(平日 8:30〜17:30)
ark.sales@ark.jp
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