【認定調査・業務効率化】要介護認定の調査システムを更新し、大切にできる「寄り添う対応」
(訪問調査モバイル / 富士通四国インフォテック)


※下記は自治体通信Vol.66(2025年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
高齢化の急速な進展を背景に、要介護認定者数は増加の一途をたどることが予想されており、自治体の要介護認定にかかる業務の効率化は、喫緊の課題となっている。そうしたなか、同業務の「入口部分」といえる訪問調査業務で、いち早くシステム化を図ったのが高松市(香川県)だ。さらに同市では昨年度、より一層の業務改善を目的にシステムの更新を行ったという。システム更新の経緯とその効果について、同市担当者の柳氏に聞いた。※担当者の所属・肩書は取材時のものです

申請件数が高水準で増加基調
―訪問調査業務のシステムを更新した経緯を聞かせてください。
当市では平成18年度から「介護認定支援システム」を導入し、最終的な要介護度認定までの業務をすべてデータ処理して効率化できるよう、「入口部分」の訪問調査業務も平成18年度からシステム化しました。紙による調査からの脱却を図ったもので、先進的な取り組みと評価されました。長年の運用のなかで、介護認定にかかる期間の短縮化につながる成果も生み出せたと自負しています。それでも、当市の要介護認定申請件数は高水準のうえ増加基調にあるため、訪問調査業務のさらなる改善策が必要だと感じていました。そうしたなか、富士通四国インフォテックから新たなシステム『訪問調査モバイルV2』の提案を受けました。
―どのようなシステムですか。
訪問調査業務では、調査員が対象者宅へ訪問し、心身の状態について聞き取った内容を記録して、介護認定審査会に提出する調査票を作成します。従来のシステムでも、聞き取り内容を調査員がパソコンなどから入力し、データを介護認定支援システムにアップロードすれば調査票が自動作成される仕組みを構築していました。そのなかで新たなシステムでは、従来と比べて聞き取り内容の入力作業を格段に効率化できる特徴があります。
―具体的に教えてください。
調査票の作成では、対象者の個々の状態を記す「特記事項」を、74の調査項目で一つひとつ作成する難しさがあります。たとえば「歩行」の場合、「どれくらい歩けるか」「なにかにつかまればできるのか」といった内容の詳細な記入が必要です。訪問件数の多い調査員にとって、キーボードで手入力する作業負担は大きなものでした。その点、『訪問調査モバイルV2』では専用のタブレット端末を活用し、「タッチパネル」と「音声」で入力できます。先ほどの「歩行」の例では、「動作の状況」「補助」といった項目のなかにあるタッチパネル形式の選択肢から選んで回答していけば、特記事項の文章が自動作成される仕組みです。また、移動の「隙間時間」を利用して自分の声で文章を入力し、あとから編集して特記事項を完成することもできます。
「心の余裕」につながる機能
―更新の効果はどうですか。
令和6年10月の更新からまだ5ヵ月程度ですが、調査員からは「効率的に入力でき、時間に余裕が生まれる」と好評です。タッチパネル機能については、文言調整に時間を要したこともあり、まだはっきりと効果が見えていませんが、入力内容は、各調査項目の「結果」の選択にも自動反映される仕組みです。そのため、たとえば特記事項では「歩行できない」という内容なのに、「できる」という結果が選択されることがありません。人為的ミスが起きないよう、調査の正確性を担保する機能が搭載されていることは、私たちの「心の余裕」にもつながります。今後申請件数が増加しても、調査票の「迅速かつ正確な作成」に寄与してくれる『訪問調査モバイルV2』を活用すれば、「対象者に寄り添った調査」の実現を図っていけるものと考えています。


―自治体では訪問調査業務の効率化の機運は高まっていますか。
はい。要介護認定の申請件数が増加基調にあるなか、認定までの期間が法律で定められていることもあり、どの自治体も調査業務の効率化の検討を本格化しています。1つの解決策にシステム化がありますが、選定の際に重視すべき点があります。
―どういったことでしょう。
「調査員の業務負担をどこまで軽減できるか」という点ですが、これを判断するには、入力の補助機能の充実度がポイントです。その点、「タッチパネル」と「音声」での入力機能を備えている『訪問調査モバイルV2』は、特記事項の作成にかかる調査員の負担を大きく軽減します。また、「調査項目の漏れ」や「調査項目間の整合性」のチェック機能もあり、調査の「手戻り」も抑えられます。現在約90の自治体が導入しており、介護認定までの期間が「平均3日短縮した」というアンケート結果を得ています。それは同システムに、調査員の負担を抑え、精度の高い調査票の作成に寄与する機能が備わっているからだととらえています。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社は、自治体の訪問調査業務に「寄り添う支援」をします。そのため、「調査員の空き状況から最適なスケジュール調整を行う機能」など、同システムには調査員だけでなく担当職員も支援する機能を搭載しています。同システムは補助金の活用も可能で、当社が申請のお手伝いもします。また、自治体情報システムの標準化作業と並行して導入できるので、ぜひご連絡ください。

設立 | 昭和43年4月 |
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資本金 | 5,000万円 |
従業員 | 343人(令和6年4月現在) |
事業内容 | システムインテグレーション、パッケージソフト、ICT機器・ソリューション販売、アウトソーシングサービス開発、ネットビジネスソリューション提供など |
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