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北海道積丹町の取り組み
先進事例2023.09.15
民間事業者への包括業務委託

人材難にある直営業務を包括委託し、住民サービスの持続可能性を高めた

[提供] シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
人材難にある直営業務を包括委託し、住民サービスの持続可能性を高めた
この記事の配信元
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社

※下記は自治体通信 Vol.52(2023年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

業務の多様化・複雑化は進む一方で、財政事情の悪化や人口減少などによって、公共サービスを維持するための人員確保に苦慮する自治体が増えている。そうしたなか、公共サービスの持続可能性を担保するための一策として、多様な業務を一括して民間事業者に委託する「包括業務委託」が注目されている。ここでは、導入自治体のひとつである積丹町(北海道)を取材。同町総務課長の下山氏に、導入の経緯やその効果などを聞いた。

[積丹町] ■人口:1,797人(令和5年7月末現在) ■世帯数:1,022世帯(令和5年7月末現在) ■予算規模:36億1,063万3,000円(令和5年度当初) ■面積:238.13km² ■概要:北海道西海岸の中央部、北西に突出している積丹半島の頭部に位置する。明治から昭和初めにかけてニシンの大漁場として発達した。産業の中心である漁業の中でも特にウニは同町の名物であり、6月のウニ漁、秋のサケ漁、冬季のタラ漁と四季を通して水揚げがある。積丹半島はニセコ積丹小樽海岸国定公園に含まれており、積丹の海は北海道で唯一、海域公園に指定されている。
インタビュー
下山 達也
積丹町
総務課長
下山 達也しもやま たつや

業務を町直営で行うことに、限界を感じていた

―積丹町が包括業務委託を導入した経緯を教えてください。

 平成29年の地方自治法と地方公務員法の改正により、令和2年度からの会計年度任用職員制度の実施が決まったことで、当時臨時職員で運用していた業務における人件費の増加が予想されました。折しも、当町では人口減少もあいまって、専門的な資格を必要とする特殊業務を中心に人材確保の難しさにも直面しており、業務を町直営で行うことに限界を感じていたところでもありました。当町では、これまでも各部署が管轄業務を個別に民間事業者へ委託しており、その効果も実感していましたので、外部委託は有力な選択肢でした。ただし、病欠などでシフトに穴があくような場合、役所の縦割組織にあっては管轄が異なる業務間で人を融通しあうといったことは難しい事情があります。そこで、複数の業務をまとめて委託する「包括業務委託」に注目したのです。

―委託する業務の選定は、どのように進めたのでしょう。

 庁内議論の結果、学校給食調理といったこれまで各部署が民間事業者へ個別に委託していた7業務に加え、医療事務やスクールバス運行など臨時職員で対応していた6業務も新たに対象とすることを決めました。そのうえで、事業者選定にあたっては、この多岐にわたる13業務を請け負える実績や実力が備わっていること、さらに、当時業務に就いていた臨時職員は継続雇用することを条件としました。プロポーザルの結果、シダックス大新東ヒューマンサービスを事業者に選定し、令和2年度から包括業務委託を実施しています。

安定供給が実現したうえで、全体のサービス品質は向上

―効果はいかがでしたか。

 業務間での人員配置の調整や、時にはエリア外からの人材調達も可能になった結果、人材確保への不安がなくなり、各種サービスの安定供給が実現しています。この間、運営コストの上昇を抑えながら、全体のサービス品質は向上しており、住民の評判も良くなりました。事業者との窓口を総務課に一本化でき、各部署の業務管理負担が大きく軽減されたのも、包括業務委託の効果だと考えています。

 これらの成果を受け、13業務のうち12業務については継続して包括業務委託を行うことを決めました。改めて事業者選定を行い、再びシダックス大新東ヒューマンサービスと新たに令和5年度から3ヵ年の契約を締結したところです。

―今後の方針を聞かせてください。

 今後も人口減少は進むと予想されるなか、行政の責任が減ることはありません。効果を実感した庁内においては、住民サービスを維持するうえで包括業務委託は欠かせないスキームであるとの認識が広がっています。今後もこのスキームを積極的に活用し、住民サービスの持続可能性を担保していきます。

支援企業の視点
包括業務委託を成功させるカギは、課題解決に資する適切な事業者選定
インタビュー
及川 孝英
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
営業開発本部 副本部長
及川 孝英おいかわ たかひで
昭和49年、宮城県生まれ。平成15年5月にシダックス株式会社に入社。シダックスグループ内の事業会社、支店長を経て、令和4年4月よりシダックス大新東ヒューマンサービス株式会社にて現職に。

―自治体における包括業務委託への関心はいかがですか。

 近年、高まりつつあると感じています。そこには、人口減少に伴う人材確保の難しさや財政事情の悪化、職員の人員不足といった共通の背景があるようです。そのなかで業務が複雑化、多様化しており、住民サービスレベルの向上を図るうえで、人口規模の小さな自治体ほど、直営で事業を存続させるのは難しいと判断する例が増えているのです。

―包括業務委託を導入する際のポイントはなんでしょう。

 最適な事業者を選ぶことです。その際の判断基準は、第一に豊富な実績を持っていること。第二に、自治体が抱えるさまざまな課題に対応できる多様な実績と目線を持っていること。第三に、多様な業務を請け負うなかでも、個々の事業においてしっかりとした強みを持っていること。たとえば当社では、学校給食調理に関していえば、全国で600ヵ所以上の施設を運営しており、自校式ではトップシェア*を有しています。また、図書館や観光関連施設、学童保育の運営でも、業界有数の受託実績があります。

*自社調べ

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 想定されていなかった突発的な事象にも対応できるのが、当社への包括業務委託のメリットです。実際に積丹町では、隣町のワクチン接種会場への送迎バスを急遽運行させた実績がありました。現在、全国11自治体で包括業務委託を請け負う当社では、それらの経験・ノウハウを活かし、各自治体に最適な解決策を提案していきます。

シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
設立

昭和61年11月

資本金

1億円

売上高

431億6,900万円(令和5年3月期)

従業員数

2万519人(令和5年3月現在)

事業内容

社会サービス事業、学童保育事業、学校給食事業

URL

https://www.shidax.co.jp/corporate/group/shidax-daishinto-human-service/

お問い合わせ先
03-6731-9111(平日 9:00〜18:00、年末年始を除く)
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