自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 先進事例
  3. 「包括業務委託」で同時に実現した、職員の負担軽減と行政サービス向上
福岡県築上町
先進事例2023.12.08
民間事業者への包括業務委託

「包括業務委託」で同時に実現した、職員の負担軽減と行政サービス向上

[提供] シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
「包括業務委託」で同時に実現した、職員の負担軽減と行政サービス向上
この記事の配信元
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社

※下記は自治体通信 Vol.54(2023年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

業務の多様化・複雑化に伴い、職員の業務負担は増すなか、自治体自らが運営する公共サービスを現状のまま維持することが難しくなっている例は多い。築上町(福岡県)もそうした自治体の1つで、一部の公共サービスを民間事業者に委託。その際、複数の事業を一括して委託する「包括業務委託」のスキームを採用している。ここでは、町長の新川氏に包括業務委託導入の経緯やその効果などを聞いた。

[築上町] ■人口:1万6,849人(令和5年9月末現在) ■世帯数:8,595世帯(令和5年9月末現在) ■予算規模:140億5,628万円(令和5年度当初) ■面積:119.61km² ■概要:福岡県の東部、周防灘に面して位置し、北は行橋市、西はみやこ町、東は豊前市、南は大分県に接している。南はほとんど山林で占められており、そこを源とする多くの河川が北部の平野を潤し、周防灘に注ぐ。平成18年1月10日に、椎田町と築城町が合併し新町「築上町」が誕生した。
インタビュー
新川 久三
築上町
町長
新川 久三あらかわ ひさみ

直営での行政サービス提供は、職員の業務負担が大きい

―築上町が包括業務委託を活用した経緯を教えてください。

 当町では、15年以上前に私が町長に就任した当初から、視察先の欧州の事例を参考に積極的な民間活用を進めており、一部業務については第三セクターからの人材派遣によって運営していました。しかし、労働者派遣法による規制を受け、それらの業務を町の直営に戻した経緯がありました。その後は、臨時職員を登用して業務を運営してきましたが、雇用期間が1年と定められているため、採用業務や労務管理といった業務が各部署で毎年発生していました。さらに、行政サービスとしての品質を維持・向上させるための運営・管理など、職員の業務負担は依然として大きい状態でした。そこで、規制緩和によって近年実用化されるようになった包括業務委託のスキームに注目し、令和2年度から3年間で採用することを決めました。

―効果はいかがでしたか。

 労務管理をはじめとする職員の業務負担は明らかに軽減されたほか、業務にあたる人材の雇用も長期安定化させることができ、包括業務委託の効果は十分に確認できました。一方で、直営から委託への過渡期であったこともあり、お互いに手探りで業務を運営してきた部分もありました。そこで、令和5年度からの新たな契約締結に際しては、3年間の業務運営で生じた課題の改善を図るとともに、町の方針として貫いている自校式の学校給食調理業務も継続運営に向け、新たに包括委託の業務に加えることとし、事業者選定を行いました。その結果、シダックス大新東ヒューマンサービスを委託先に選定し、5年間の委託を決めました。

サービスレベルは向上

―選定理由を教えてください。

 1つは、マルチタスク化による人材の効率的な配置により、業務運営の改善を提案してくれたことです。さらに、営業所には統括管理責任者のほかに、3人のトレーナーを配置し、現場での課題解決にあたる体制も敷いてくれるとのことでした。ほかにも、学校給食調理の受託では、全国で広く手がけている点も評価のポイントでした。

―実際の成果はどうでしたか。

 委託業務のサービスレベルは向上しました。特に学校給食調理に関しては、同社の衛生管理基準が非常に高く、町内のほかの学校における衛生管理レベル向上にも貢献してくれていると聞きます。学校関係者の一部からは、民間委託によって「味が落ちないか」といった懸念が寄せられましたが、委託後にはそうした声は聞いていません。

 今後、町内の小中学校再編も計画されており、学校給食の供給体制も変わることになります。また、財政事情や人材確保の問題で、行政サービスの維持が難しくなる場面も想定されます。その際には、包括業務委託を有力な選択肢として、活用を検討していきます。

支援企業の視点
行政サービスの満足度を高めるには、包括業務委託が有力な選択肢に
インタビュー
山田 智治
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
代表取締役社長
山田 智治やまだ ともはる
平成11年3月に大新東株式会社に入社。関西支店長、社会サービス事業本部長などを経て、令和3年6月より現職。

―自治体の行政サービスを取り巻く状況を、どう見ていますか。

 多くの自治体が、財政難や人材確保の難しさを抱えています。行政サービスの維持と向上を図るために、我々民間事業者の業務運営や人材育成のノウハウを活用することは有力な選択肢となります。その際、築上町のような包括業務委託なら、大きなメリットが得られます。

―具体的に、自治体はどのようなメリットを得られますか。

 地域の人材を採用し、そこに当社の仕組みや教育を適用することで、きめ細かなサービスを提供できるようになるため、住民の満足度を高められます。地域雇用も安定し、地域経済の活性化にもつながります。また、業務の枠を越えてマルチタスクによる少人数での効率的な業務運営が可能になるので、個々人の収入が上がり、行政コストの低減も図れます。シダックスグループでは、「500の仕事」を展開していますが、その約9割を当社が提供しており、学童保育や学校給食、図書館運営といった業界有数の受託実績を誇る自治体関連業務も多くあります。優れた専門性を有する業務の集合体として、包括業務委託を展開できるのが当社の強みです。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 今後は自治体DXの推進にも支援を広げ、複数業務でDXを支援する「デジタル包括業務委託」も展開していく計画です。それにより、人によるきめ細やかなサービスとDX推進をあわせて提供できる包括業務委託を目指し、行政サービスの向上と地域の活性化に貢献していきます。

シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
設立

昭和61年11月

資本金

1億円

売上高

431億6,900万円(令和5年3月期) 

従業員数

2万519人(令和5年3月現在)

事業内容

社会サービス事業、学校給食事業、学童保育事業など

URL

https://www.shidax.co.jp/corporate/group/shidax-daishinto-human-service/

お問い合わせ先
03-6731-9111(平日 9:00〜18:00)、年末年始を除く
電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します
自治体通信 事例ライブラリー