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福島県相馬市の取り組み
先進事例2023.10.18
民間事業者への業務委託

民間の手で生まれ変わった「道の駅」を、地域活性化施策の中核拠点に

[提供] シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
民間の手で生まれ変わった「道の駅」を、地域活性化施策の中核拠点に
この記事の配信元
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社

※下記は自治体通信 Vol.53(2023年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

財政事情が厳しさを増す一方、業務の多様化・複雑化は進み、持続的な行政運営に課題を感じている自治体は多い。なかでも、観光関連施設の運営業務は、地域活性化や情報発信といった事業目的を満たしながら一定の収益も確保しなければならない難しさがある。そうしたなか、相馬市(福島県)では、地域の顔となるべき「道の駅」の運営を民間事業者に委託し、事業の改善を図っている。市長の立谷氏に、取り組みの経緯とその成果を聞いた。

[相馬市] ■人口:3万2,993人(令和5年8月末現在) ■世帯数:1万4,318世帯(令和5年8月末現在) ■予算規模:293億8,733万円(令和5年度当初) ■面積:197.79km² ■概要:福島県の沿岸地域、浜通りの北部に位置する。市の名称は、平将門を祖とする相馬氏に由来する。鎌倉時代から明治維新まで、約700年もの間勢力を振るい、全国的に知られる国の重要無形民俗文化財・相馬野馬追が誕生した。
インタビュー
立谷 秀清
相馬市長
立谷 秀清たちや ひできよ

原発事故による影響などで、「道の駅」の売上高は激減

―「道の駅」の運営において、どのような課題がありましたか。

 国道6号線の沿線に立つ当市の「道の駅そうま」は、平成15年の開業以来、地元の商工会議所に運営を委託してきたなか、最盛期の平成22年度には入込客数が60万人を超え、売上高も2億円を上回るなど一定の成功を収めてきました。しかし、平成23年の東日本大震災による被災と原子力発電所事故で国道6号線が分断されたうえ、それに代わる常磐自動車道が開通したことで国道6号線の交通量は激減することになりました。その後も令和元年の東日本台風、相次ぐ震度6強の地震、さらには今般のコロナ禍の影響が続き、入込客数、売上高はともに最盛期の4割程度にまで落ち込んでしまいました。その結果、商工会議所が運営から撤退することになり、市としても施設のリニューアルとともに抜本的な経営の見直しを図るべく、指定管理者制度を導入し、新たな民間事業者を募ったのです。

―事業者はどのように選定したのでしょう。

 応募してくれた2社のなかから、全国で「道の駅」を運営してきた実績を評価し、シダックス大新東ヒューマンサービスを選定しました。観光関連施設の運営実績も多く、そのノウハウをもって「道の駅そうま」のイメージを刷新してくれると期待したのです。震度6強の地震による施設の一部損壊で、当初予定の令和4年4月新装開店は10月にずれ込みましたが、「自治体の顔」となる施設として優先的に復旧を進め、不測の事態に対応してくれた同社の協力もあり、無事開店にこぎつけました。

地域おこしの頼もしいパートナー

―委託後の運営状況をどのように評価していますか。

 まずは、施設全体のイメージが明るく変わったことを評価しています。以前は「店内が暗い」といった声があり、「雑多な商品が乱雑に置かれている」といった指摘もありました。今では、ニーズの高い野菜などの地場産品の品揃えも充実し、地域産業の活性化にも一役買ってくれています。また、集客イベントの開催や情報発信も盛んになりました。地元住民の間にも「道の駅に行けば、なにかやっている」との印象を植えつけているのは、驚くべき変化だと思います。その結果、入込客数、売上高ともに最盛期にはまだ届きませんが、委託前の状況に比べていずれも増加基調を示しています。

 現在、当市の戦略として、道の駅とほかの観光施設、商店街などが連携した地域活性化施策を展開していますが、そこでも集客ノウハウをもったシダックス大新東ヒューマンサービスがイニシアティブを発揮してくれています。当市にとって、いまや地域おこしの頼もしいパートナーです。

支援企業の視点
地域活性につながる「道の駅」運営は、民間の事業ノウハウを活用できる
インタビュー
山田 智治
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
代表取締役社長
山田 智治やまだ ともはる
平成11年3月に大新東株式会社に入社。関西支店長、社会サービス事業本部長などを経て、令和3年6月より現職。

―「道の駅」などの観光関連施設の運営をめぐり自治体が抱える課題はなんですか。

 「道の駅」をはじめとする観光関連施設の運営は、さまざまな要因により集客状況が変動することです。安定した運営を実現するためには地域連携・地域貢献の視点はもとより、BtoC事業の業務経験やノウハウが必要とされます。そこでは、民間事業者の知見が最大限に活用できるため、委託することを推奨しています。

―具体的に、どのようなサービスを提供していますか。

 当社では、「500の仕事」と表現するほど多様なサービス業務の受託実績を誇り、「道の駅」に関しても全国10ヵ所を運営しています。これらの実績をもとに、それぞれの「道の駅」を「地元住民特化型」「観光客特化型」「ハイブリッド型」の3類型に分類し、マーケティング戦略を展開しています。たとえば、今回の「道の駅そうま」では、地元住民向けに当社の強みである「食」の観点から地元食材を使ったスイーツを開発し、商品ラインナップも変更。さらには販売コーナーを新設し、利用者のみなさまから好評を得ており、自治体からも高い評価を受けています。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 当社では、これまで全国各地で築いてきたノウハウと高い専門性を背景に、その地域の事情や特性を考慮した施設運営を提案できます。地域の顔ともいえる「道の駅」や観光関連施設の運営を活性化させ、地域に貢献していきたいと考えています。

シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
設立

昭和61年11月

資本金

1億円

売上高

431億6,900万円(令和5年3月期)

事業内容

社会サービス事業、学童保育事業、学校給食事業

URL

https://www.shidax.co.jp/corporate/group/shidax-daishinto-human-service/

お問い合わせ先
03-6731-9111(平日 9:00〜18:00、年末年始を除く)
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