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先進事例2020.02.26

太陽光発電で再生可能エネルギーを地域に浸透【自治体(高槻市)の取組事例】

太陽光発電で再生可能エネルギーを地域に浸透【自治体(高槻市)の取組事例】

大阪府高槻市 の取り組み

太陽光発電で再生可能エネルギーを地域に浸透【自治体(高槻市)の取組事例】

産業環境部 環境緑政課 課長 小柳 泰之

各自治体が再生可能エネルギーの普及に向け、さまざまなエネルギー施策に取り組んでいる。そんななか、高槻市(大阪府)において、複数の民間企業と協働して“日本初”となる新たな試みがスタートした。同市の担当課長である小柳氏に、エネルギー施策の方針や新しい取り組みの詳細、今後のエネルギー戦略などを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.11(2018年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

大阪府高槻市データ

人口: 35万3,537人(平成29年11月末現在) 世帯数: 15万9,504世帯(平成29年11月末現在)  予算規模: 2,388億255万円(平成29年度当初予算) 面積: 105.29km² 概要: 大阪平野の北東にあって、京都と大阪の中間に位置し、北摂のベッドタウンとして発展してきた。市街地を南北に二分してJR東海道本線と阪急電鉄京都線が並行して走る一方で、北部丘陵地を名神高速道路が、中心地南部を東海道新幹線が東西に横断。また、市域の3分の1は山林で占められており、 桜や紅葉の名所・摂津峡など豊かな自然に恵まれている。これらの良好な自然環境を保全する、新たな担い手育成にも力をいれている。

「創エネ」「省エネ」でめざす、安全・安心・安定した暮らし

―高槻市におけるエネルギー施策の方針を教えてください。

 本市域内における再生可能エネルギーの導入・普及を積極的かつ戦略的に推進していくため、平成24年に「たかつき新エネルギー戦略」を策定しました。具体的には、新たなエネルギーを生み出す「創エネ」と家庭や事業所におけるエネルギーの効率改善による「省エネ」により、安全・安心・安定した市民生活や社会活動の確保をめざしていきます。

 その一環として、平成25年から公共施設の屋上に太陽光パネルを設置する、いわゆる屋根貸し」事業を開始しました。「創エネ」だけでなく、本市が所有する公共施設の有効活用、代替エネルギーの活用促進による市民の再生可能エネルギーに対する意識向上、などといったことが望めるのも狙いです。

 現在、市内の小中学校9校で稼働中です。

―今回、太陽光発電で新たな取り組みを始めるそうですね。

 ええ。小中学校の在校生や卒業生、市民をメイン対象に電力を提供する『学校応援でんき』という取り組みです。消費者が電気の購入先を選択する際に、「ゆかりのある場所でつくられた電力を選択して応援する」という新しいコンセプトで、太陽光発電設備施工を行う柴田工業と小売電力事業者であるみんな電力、プラットフォームを提供するNTTスマイルエナジーと協働しました。

 高槻市立第六中学校、高槻市立芥川小学校、高槻市立柳川小学校の3校の屋上に太陽光パネルを新たに設置し、平成30年2月からスタートします。

「屋根貸し」事業にくわえ、新事業にも取り組みたい

―どのような効果を期待していますか。

 まず、太陽光発電自体における価値として「災害時における自立電源の確保」という点において、重要性は高いです。そして今回のスキームでは、再生可能エネルギーの普及促進はもちろん、「屋根貸し」の公募案件に対して事業者が応募しやすくなることを期待します。近年は売電単価が低下し、「事業者も手をあげるのが難しいのでは」と感じていました。『学校応援でんき』では事業者にとって売電収入以外の付加価値がクローズアップされることで、「応募のハードルも下がるのでは」と。

 また、この取り組みは販売した電気代の一部が「応援金」として本市に寄付される仕組み。「屋根貸し」の賃料以外に歳入が見込めるのはメリットだと感じています。

 さらに、この取り組みをきっかけに市民の方々が再生可能エネルギーへ関心をもつきっかけとなることを期待しています。

―エネルギー施策における今後の戦略を教えてください。

 引き続き「屋根貸し」事業を進めていきます。提供できる場所があれば、屋上にかかわらず確保していきたいですね。ただ、都市部である本市ではなかなか大規模のスペースを確保するのは難しい。公共施設の活用という点においては、やはり小規模の太陽光発電が適しているのではと感じています。

 また、今回に限らず新しい取り組みを積極的に行っていきたいですね。そうすることで地域に再生可能エネルギーが普及するとともに、市民が関心をもつことで、CO2削減による地球温暖化対策につながれば、と考えています。

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