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宮崎県都城市 の取り組み

「都城フィロソフィ」を策定し、個人と組織のさらなる強化を図る

「コンセプト」「戦略」を固めて「結果」を出す。それが“都城市流”政策推進の根幹

都城市長 池田 宜永

平成27、28年度で、ふるさと納税寄附金額2年連続日本一となった都城市(宮崎県)。その取り組みが注目され、同市の名は一躍全国に広まることになった。その旗振り役となったのが、市長の池田氏だ。今年の4月には、新たに都城市の職員向けに、求められる価値観や行動をまとめた「都城フィロソフィ」を策定。同氏に、結果を出すための要諦や「都城フィロソフィ」の詳細について聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.19(2019年8月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

目的を達成するためには「タブー」も恐れない

―都城市では、「ふるさと納税寄附金額が2年連続日本一」で知名度がアップしました。なぜそのような成果が出せたのでしょうか。

 当市ならではの政策推進にあると考えています。私がいまも職員に話しているのは、なにか政策をやる際には、まずはコンセプトをつくり、それに対してどのように取り組んでいくかの戦略を練る。このふたつをしっかりと行ったうえで、結果を出すということです。

 これをふるさと納税にあてはめると、まずコンセプトとして、ふるさと納税を「PRツール」に活用しようと。そのために、なにをウリにしようかと検討した際、私は返礼品を肉と焼酎に特化しようと戦略的に考えました。肉と焼酎は組み合わせの相性もよく、当市を知ってもらういいコンテンツになるのでは、と。

 そして、おかげさまで平成27、28年度において、ふるさと納税寄附金額が2年連続で日本一という結果になり、そのことが当市のふるさと納税の目的であるPRに大きく寄与してくれました。

―言葉にすると簡単ですが、実行するのは難しかったと思います。

 そうですね。まず、肉と焼酎に「特化」すること自体がある意味タブーだったと思います。当市にはほかにも特産品はたくさんあるし、平等ではないと。ただ、コンセプトが「都城市を知ってもらう」ためのPRです。そのためにはアイテムを絞らないと、あれもこれもではメッセージは弱くなります。職員にもとまどいはあったでしょうし、地元業者の方からの意見も少なからず職員のほうにきていたと思います。ただ、「PRには特化戦略しかない」と思っていたので、職員には「市長が決めた」と、私のせいにして地元業者の方に説明してもらいました(笑)。

―ほかに苦労はありましたか。

 やはり、職員には負担をかけたと思います。そもそも「結果を出す」のは民間では当たり前ですが、自治体では必ずしもそうではありません。そんななか、私が「結果が出るまでがんばるぞ」と旗を振っている。職員からすると、地元業者の方からの意見も含め、相当なプレッシャーがあったと思います。それでも職員のがんばりと寄附者の方などのご協力もあり、結果を出すことができたのです。

取り組みの原点となった「自治体経営」の方針

―結果を出すことでなにか変化はありましたか。

 結果が職員の喜びと自信になるとともに、「チャレンジをしていいんだ」と各職員の意識が前向きになり、職員自らが積極的にアイデアを提案する機会が増加。結果、市役所全体が前向きな文化になることにつながっています。

 そもそも行政は、市民の税金で運営しているため、失敗しないよう守りの施策になりがち。ただ、それが市民にとってプラスかというと、必ずしもそうではありません。チャレンジをして結果を出すということは、市民のみなさんに対するサービスのさらなる向上や、市の発展に当然つながりますし、それが第一の目的。そういった意味で、職員がチャレンジする意識と結果に対するモチベーションをもてるようになったのは、大きな収穫でしたね。

 また、こうした一連の取り組みは、私が行政で重視していることにもつながっています。

―それはなんでしょう。

 自治体にも、経営感覚が必要だということです。私が考える「自治体経営」とは、ヒト・モノ・カネという経営資源を最大限活用し、都城市の発展および市民の安心・安全の確保などを図るということ。なかでも重要なのはヒト、すなわち職員です。職員一人ひとりがやる気と熱意をもって成長すれば、組織もよくなり、よい政策が生まれて、市民の幸せにつながる。まさに、それにつながる結果だったと思っています。

稲盛和夫名誉会長の経営哲学を行政に取り込む

―そうしたなか、今年の4月に、「都城フィロソフィ」を策定しました。どんな取り組みですか。

 先ほど話した取り組みを含めて、都城市の行政にかかわるものとして、どういった思考や価値観をもち、行動をするべきか。それを私も含め、全職員が同じベクトルをもてるよう、「一人ひとりが都城市役所」「自治体の常識・殻を打ち破る」「本気で挑戦する」といった“哲学"を言語化し、30項目にまとめたものです。

 今年の7月に、ひとつの手帳にして、全職員に配りました。つねに携帯して必要なときにペラペラめくり、フィロソフィを再確認して学んでもらうのが目的です。

―どのようにして作成していったのでしょう。

 京セラの稲盛和夫名誉会長が提唱した、「京セラフィロソフィ」という経営哲学がベースになっています。かつてJALが厳しい経営環境にあった際、稲盛氏がJALで「JALフィロソフィ」を策定。全職員の意識改革をうながし、V字回復を果たしたのを知り、「自治体でも適用できるのでは」と以前から考えていたのです。

 そこで2年前、京セラの関連会社である京セラコミュニケーションシステムの方に、幹部職員向けの勉強会を開催してもらいました。好評だったため、翌年は、全職員向けに勉強会を開催するとともに、同時並行して有志職員で構成した策定委員会を設置。京セラコミュニケーションシステムやJALの担当者にも意見を聞きつつ、職員からも「どういった言葉を入れたらいいか」と公募しました。当然私も、積極的に参加させていただきましたね。そして策定委員会主体のもと、1年かけて30の言葉をつくっていったのです。

策定して間もないが、市役所内外からの反応は上々

―職員の反応はいかがですか。

 聞いた話では、「初心にかえれる」「仕事に困ったり迷ったとき、ひとつの判断材料になる」など、前向きにとらえている職員が多いようです。

 ちなみに「都城フィロソフィ」を読んだ経営者の方から、「ぜひウチの会社でも使いたい」といった反応をいただいています。

 いずれにせよ、4月に策定したばかりですので、市役所内外に浸透させていくのはまだまだこれから。ただ、せっかくつくったので、多くの人に知っていただきたいという思いはあります。講演会などで市民の方に直接説明させていただきたいですし、職員にも研修を開催することで、さらなる学びの機会を提供したいですね。

池田 宜永(いけだ たかひさ)プロフィール

昭和46年、宮崎県生まれ。平成6年に九州大学経済学部を卒業後、大蔵省(現:財務省)に入省。平成11年、東京大学大学院経済学研究科修士課程を修了。同年に大蔵省主税局調査課内国調査係長、平成14年に金融庁監督局銀行第一課課長補佐、平成17年に外務省在オーストラリア日本国大使館一等書記官を経て、平成19年に宮崎県都城市副市長(総括担当)に就任。平成22年に財務省主計局主査(農林水産係)を経て、平成24年に都城市長に就任。現在2期目。

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