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長野県 の取り組み

「しあわせ信州創造プラン2.0」を掲げて地域づくりを推進

長野県がもつ「学びと自治の力」を活かし、人口減少などさまざまな課題に取り組む

長野県知事 阿部 守一

日本全国の自治体で、大きな課題となっている人口減少問題。平成30年度より、総合5ヵ年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」を推進している長野県でも、人口減少に歯止めをかける施策を積極的に行っている。具体的に、どのような取り組みを行っているのか。知事の阿部氏に、長野県の強みや今後の行政ビジョンなどを含めて聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.19(2019年8月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

結婚と子育てを支援し、出生率を上げていく

―「しあわせ信州創造プラン2.0」に盛り込まれている目標のなかに、「2025年に県民希望出生率1.84を実現」「人口の社会増を実現」があります。人口減少対策として、どのような取り組みを行っているのですか。

 まず、結婚・子育て支援を行っています。結婚したい方が、できるだけ結婚できるようにする。あるいは、「子どもを生んで育てたい」という方の希望を叶えられるようにする。そうすることで、出生率を1.84まで引き上げるという目標を立て、いろいろな取り組みを進めているのです。

 具体的にいうと、結婚支援では「長野県婚活支援センター」を開設。婚活イベントの開催や個別の相談対応などで、結婚したい人同士のマッチングを図っています。

―子育て支援はどのような取り組みを行っているのでしょう。

 たとえば、多子世帯を対象に、県有施設利用の無料化を行っています。じつは、昨年の選挙で子育て中のお母さんから「公共施設を利用する際、子どもが2人、3人になるとけっこうお金がかかっちゃう」というお話を聞き、まずは県有施設の利用を無料化しよう、と。

 また、子どもの医療費助成も行っています。長野県の場合、すべての市町村において中学校卒業まで、所得制限なしで医療費を助成しています。さらに、かなり多くの市町村で高校卒業までを対象としています。これは、ほかの都道府県と比較しても相当に手厚い支援だと自負していますね。

 このほか、11月19日を「いい育児の日」とし、育児に悩む母親の気持ちを和ませる勉強会などの取り組みを行っています。

 さらに、移住促進の一貫として「学びの支援」にもチカラを入れています。

学びを支援することで、人口の定着をめざす

―詳しく教えてください。

 たとえば、自然のなかで行う保育「信州やまほいく」。いわゆる「森のようちえん」ですね。こちらを「信州やまほいく認定制度」という独自の制度により、数多く認定しています。「長野県の自然のなかで、子どもを育てたい」と、移住をされる方はたくさんいらっしゃいます。そのような希望を叶えるためにも、こうした取り組みを積極的に行っています。

―そのほかに「学びの支援」で行っていることはありますか。

 平成30年4月に、新しく長野県立大学が開学しました。1年次は全寮制、2年次に全員参加の海外プログラムがあるなどの特徴があります。もともと長野県では大学が少なく、高校を卒業するといったん県外に進学するケースが多いんです。そういった意味では、県内の若者に定着してもらう、あるいは県外から若者を呼び込むといった観点で大きな役目を果たすと期待しています。

 また、平成31年4月、佐久穂町に日本初の「イエナプラン教育(※)」を掲げる私立の大日向小学校が開校しました。こちらにうかがった際、県外から「学ばせたい」とわざわざ移住されてきたご家族が何組もいらっしゃいました。

 これまでは、「働く場所があるから人が集まってくる」という考えがあったと思います。もちろん雇用問題は移住者を受け入れるうえで課題のひとつですが、長野県では学ぶ環境の魅力を高めることによって、人口が定着するようにしていきたいと考えているのです。

※イエナプラン教育:ドイツで生まれ、オランダで普及している教育モデル。子どもたちを『根幹グループ』と呼ばれる異年齢のグループにしてクラスを編制するのが特徴

基本目標で打ち出した、学びと自治の力で拓く新時代

―阿部さんが考える、長野県の強みはなんでしょう。

 先ほどもいいました「学び」、そして「自治」ですね。じつは「しあわせ信州創造プラン2.0」でも、「学びと自治の力で拓く新時代」を大きく打ち出しているのです。

 長野県は昔から「教育県」といわれてきましたし、私が他県に行くと「ああ、教育県ですね」と多くの方におっしゃっていただけます。これは背景として、幕末における寺子屋の普及率が日本一だったり、明治維新直後に新しい学制ができた際も、就学率が日本でいちばん高かった、というのがあります。私自身も、人づくりや教育にかんして、熱心な県民性であるのは間違いないと感じています。

 また、長野県は小さな自治体が多く、村の数は35と日本で1位。そのぶん、各自治体の団結力が強く、「消防団員の取り組みが活発である」など、自治の力がとても強いと感じています。

 こうした長野県の「学びと自治の力」をいま一度再認識して、そこからいろんな地域づくりを行っていきたいと考えているのです。

3つのキーワードで、世界とも連携した取り組みを

―今後の行政ビジョンを教えてください。

「創造的」「持続可能」「共生社会」。この3つがキーワードだと思っています。

 ひとつは、社会が大きく変化するなかで、行政はもちろん、地域社会もポジティブに変化していかないといけません。そのためには、創造性の高い県でありつづけたい、ということで「創造的」です。

 そして現在、地球環境の持続という世界規模の問題から、財政面の持続といった国内の問題など、いろんな側面から持続可能性が問われています。そんななか、行政を行う際には短期的な視点ではなく、孫の世代も視野に入れた持続可能な社会を見すえていかなければならない。ということで、「持続可能」です。

―「共生社会」はどうでしょう。

 昨今、虐待や貧困にまつわる悲しい事件や事故が報道されています。私は、このままでは格差社会といわれるように社会が分断されかねない時代だと思っています。人間はひとりでは生きられません。だからこそ、みんなで支え合い、助け合うといった「共生社会」をつくっていきたいのです。

 長野県は、SDGs(※)達成に向けて優れた取り組みを実践する「SDGs未来都市」として、政府から昨年選出していただきました。こうした3つの考え方は、国連の持続可能な開発目標とも非常に合致しているんじゃないかと。

 先日、軽井沢町で開催された「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」に際し、持続可能な社会づくりに向けた協働を呼びかける「長野宣言」を発表しました。今後も、世界と連携しつつ、3つのキーワードにもとづいた取り組みを進めていきたいですね。

※SDGs:持続可能な開発目標。2015年の国連サミットで採択され、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、2016年から2030年までの国際目標

阿部 守一(あべ しゅいち)プロフィール

昭和35年、東京都生まれ。昭和59年、東京大学法学部を卒業後、自治省(現:総務省)に入省。平成13年に長野県企画局長を経て、同年、長野県副知事に就任。平成16年に総務省過疎対策室長、平成19年に横浜市副市長、平成21年に内閣府行政刷新会議事務局次長を経て、平成22年に長野県知事に就任。現在は、3期目。

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