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東京都世田谷区の取り組み
先進事例2026.07.28
学校施設の熱中症対策

【熱中症予防・省エネ】「放射冷却素材」による放熱効果が、学校施設の熱中症対策に有効と実感
SPACECOOL / SPACECOOL

[提供] SPACECOOL株式会社
【熱中症予防・省エネ】「放射冷却素材」による放熱効果が、学校施設の熱中症対策に有効と実感(SPACECOOL / SPACECOOL)
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SPACECOOL株式会社
SPACECOOL株式会社

※下記は自治体通信 Vol.75(2026年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

教育現場における熱中症対策としていま、全国の公立小中学校で体育館へのエアコンの設置などが進んでいる。こうしたなか、世田谷区(東京都)では「既存の冷房設備だけでは十分な効果が得られない」という課題を見据え、新たな暑さ対策を模索。自然現象である「放射冷却」の仕組みを応用した対策を導入し、効果を実感しているという。その取り組みの詳細について、同区教育委員会事務局の船田氏と金子氏に聞いた。

[世田谷区] ■人口:93万1,922人(令和8年6月1日現在) ■世帯数:51万2,169世帯(令和8年6月1日現在) ■一般会計予算:4,313億5,300万円(令和8年度当初) ■面積:58.05km² ■概要:東京都区部の南西部に位置する。区の東西方向を貫く交通として、新宿を起点とする京王線、小田急線、渋谷を起点とする東急田園都市線などの鉄道が走るほか、甲州街道、国道246号など幹線街路が7本ある。羽根木、砧、祖師谷といった総合公園も整備されている。区の南部を流れる多摩川に沿って、国分寺崖線と呼ばれる連続した崖がある。
インタビュー
船田 桂子
世田谷区
教育委員会事務局 教育政策・生涯学習部 施設整備課長
船田 桂子ふなだ けいこ
インタビュー
金子 広宣
世田谷区
教育委員会事務局 施設整備課 施設整備担当係長
金子 広宣かねこ ひろのぶ

WBGTを31未満に保つには、エアコン能力が10倍必要に

―これまで世田谷区の学校施設では、どのような熱中症対策に取り組んできましたか。

船田 区立小中学校の90校すべての体育館に、令和元年から2年にかけて40kWのエアコンを設置しました。しかし、昨今の気温上昇の影響もあり、広い体育館を冷却するには不十分でした。実際、体調を崩す児童・生徒もいると報告され、子どもたちの健康を守るため、さらなる対策が必要でした。

金子 熱中症の危険度を示す「暑さ指数(WBGT)」を、運動の「原則中止」基準である31未満に保つには、エアコンだけに頼ると莫大なコストがかかります。体育館全体を冷やすためには、現在の10倍のエアコン能力が必要という試算もありました。そこで窓用遮熱フィルムや遮熱カーテン、屋根散水などを試験的に導入したほか、さまざまな断熱・遮熱対策手法を調査・検討しました。そうしたなか、「放射冷却素材」という光学フィルムが開発されていると知り、関心を持ちました。

―どのような素材なのですか。

船田 地表の熱が赤外線として宇宙へ放出されて周囲の温度が下がる自然現象「放射冷却」の原理を活かした素材です。直射日光下で、太陽光の熱を反射しつつ、室内気温を外気より下げる効果が見込めるとのことでした。

金子 そこで当課より、開発元であるSPACECOOL社に問い合わせ、サーモグラフィーで比較するデモを見せてもらいました。また実際に、放射冷却素材を貼ったシートと貼られていないシートにライトで熱を照射して手を当ててみると、明確な温度差がありました。その後、こうした放射冷却機能を条件に入札を実施し、建材メーカーのロンシール工業が同素材を組み合わせて開発した防水シートを選定しました。令和7年8月、屋根面が老朽化し、防水改修のタイミングを迎えていた小学校の体育館に導入しました。

導入後の冷却効果を、数値でも体感でも確認

―導入効果を教えてください。

金子 ロンシール工業の計測データによると、8月の日中にエアコンを稼働させずに温度を測定したところ、施工前と比べて室温が3.4℃低下していました。また、室温は外気温より平均1.6℃低くなっています。サーモグラフィーでの計測では、屋根の表面温度が約20℃、屋根裏の温度は約10℃の低下が認められています。

船田 体感でも効果が得られ、導入した学校の副校長からは「劇的に変わった」との感想が聞かれました。今後は防水改修工事の時期を迎える学校などを対象に導入を検討していきます。令和7年度に2校、8年度に1校で採用され、うち1校は校舎屋上に施工しました。教育現場の環境改善に有効活用できると期待しています。

支援企業の視点
「遮熱+放熱」による冷却効果で、コストを抑えた熱中症対策を
インタビュー
長谷川 裕
ロンシール工業株式会社
建材・防水本部 東京支店 建材・防水グループ リーダー
長谷川 裕はせがわ ゆたか
昭和47年、長野県生まれ。平成9年に大学を卒業、ロンシール工業株式会社に入社。研究開発部・品質保証部を経て平成21年より防水材の担当となり、おもに自治体を対象とした営業活動に従事する。
インタビュー
篗田 祥幸
SPACECOOL株式会社
ブランドマネジメント室 室長
篗田 祥幸わくた よしゆき
現在は、SPACECOOL株式会社ブランドマネジメント室の室長として、おもに放射冷却素材「SPACECOOL」のマーケティングおよび広報・PRを担う。

―熱中症対策をめぐる自治体の取り組みをどう見ていますか。

長谷川 エアコンの設置・増設など、空調設備による対策が進んでいますが、それだけで十分な冷却効果を得るのは難しく、ランニングコストの増大も課題となっています。そこで当社では、電気代のかからない「プラスアルファ」の熱中症対策として、放射冷却素材を取り入れた防水シート『イノベーションプルーフRR』を提案しています。

―詳しく聞かせてください。

篗田 当社独自の光学制御技術を組み込んだ放射冷却素材『SPACECOOL』を用いているのが特徴です。これにより、太陽光からの熱を最大95%反射して熱吸収を抑える「遮熱」と、吸収した熱を大気に吸収されにくい波長域の赤外線に変えて放射する「放熱」を実現し、ゼロエネルギーで室温を外気より低めることができます。

―自治体への今後の支援方針を聞かせてください。

長谷川 防水処理と同時施工でき、イニシャルコストも抑えられる熱中症対策として、展開を全国で拡大していきます。

篗田 今後は、学校が災害時の避難場所になることも考慮し、住民の健康を守るための製品を増やしていきます。また、病院やスポーツ施設などの公共施設に活用できるテントなどの展開も検討しています。

ロンシール工業株式会社

設立/昭和18年12月 資本金/50億791万円 事業内容/プラスチック製品の製造・販売 URL/https://www.lonseal.co.jp/

▼お問い合わせ先

電話番号 : 03-6452-8914(平日 9:00〜17:40)
アドレス : bousui@lonseal.co.jp

SPACECOOL株式会社
SPACECOOL株式会社
設立

令和3年4月

資本金

1億円

事業内容

放射冷却素材『SPACECOOL』の開発・販売

URL

https://spacecool.jp/

お問い合わせ先
info@spacecool.jp
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