
※下記は自治体通信 Vol.75(2026年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
大規模災害時の避難生活において、被災者の健康と尊厳を守るための「衛生環境の維持」は、自治体にとって重要な課題である。そうしたなか、交野市(大阪府)では令和7年3月から「ランドリートラック導入事業」に取り組んでおり、令和8年3月、実車両の納入にいたった。同市によると、自治体による導入は全国初だという。
同市では、令和6年1月に発生した能登半島地震を受け、災害時においても可能な限り日常に近い生活習慣を確保し、市民が安心して避難生活を送れる体制をこれまでも整えてきた。具体的には、トイレトラック、トイレカー2台、AI循環式シャワートラック*、給水車2台を順次導入してきた。こうした「トイレ」や「入浴」などの環境整備にメドがついたため、続いて「洗濯機会の創出」に着目した形だ。同市危機管理室の担当者によると、「能登半島地震の発災後、民間企業などが洗濯乾燥機を搭載したトラックを被災地に派遣し、現地で非常に重宝された実績が、自治体として自前で所有すべきだという大きな後押しになった」という。
導入したランドリートラックは、車両の荷室がランドリー室と設備室の2区画に分かれている。1人あたりの1日の洗濯物を1.5kgとした場合、1時間で約6人分×3台の処理が可能。24時間フル稼働させれば、計算上は1日で最大432人分の洗濯・乾燥ができる。ランドリー室には全自動洗濯乾燥機を3台設置し、設備室には発電機、ガスボンベおよび水を積載していることから、停電や断水が発生している状況下であっても、避難所などへ到着後、速やかに使用を開始することができる。
また、自走式であることから、同市の避難所だけでなく、広域的な災害支援として被災地への派遣にも対応でき、今後発生が懸念される大規模災害時において、大きな役割を果たすことも同市は想定している。「当市の防災車両整備の取り組みを広く発信することで、全国の自治体における防災事業推進のきっかけとなり、防災事業への機運醸成や防災意識の向上につながることを期待しています」(同市担当者)。
*AI循環式シャワートラック:使用した水の98%をAI制御でろ過して再利用する、水道設備が不要の移動式シャワーのこと


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