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内外から高評価を集める、さいたま市政の将来ビジョン

「量から質」への転換で市政を充実させ、「理想の都市像」の実現へと邁進する

「量から質」への転換で市政を充実させ、「理想の都市像」の実現へと邁進する

※下記は自治体通信 Vol.73(2026年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「自治体DX推進度ランキング全国1位」*、「全国市区・SDGs先進度調査1位」*、「全国学力・学習状況 政令指定都市1位」*―。国やメディアなど外部の客観的な調査で数々の高評価を集めている、さいたま市(埼玉県)。市民アンケートでも「住みやすい」「住み続けたい」と答えた割合が6年連続で85%以上に達するなど、市政に対する市民からの支持も厚い。この市政運営をけん引しているのが、令和7年5月から5期目に突入した市長の清水氏である。ここでは、長く市政を率いる同氏に、今後の市政運営ビジョンなどを聞いた。

*「自治体DX推進度ランキング全国1位」:時事総合研究所「全国自治体DX推進度ランキング2023」
*「全国市区・SDGs先進度調査1位」:日本経済新聞社「全国市区・SDGs先進度調査」令和2年度、令和4年度
*「全国学力・学習状況 政令指定都市1位」:文部科学省 令和4年度調査

インタビュー
清水 勇人
さいたま市長
清水 勇人しみず はやと
昭和37年、埼玉県生まれ。昭和61年に日本大学法学部政治経済学科を卒業。昭和63年に松下政経塾を卒塾(第7期生)。平成15年、埼玉県議会議員選挙に当選し、2期務める。平成21年、さいたま市長に就任。現在、5期目。共栄大学客員教授も兼務。

「住みやすい」86.1%、「住み続けたい」は86.9%

―令和7年5月から5期目に入っています。これまでの成果をどのように振り返りますか。

 平成21年5月の就任以来、一貫して市民一人ひとりが「しあわせ」を実感できるまちづくりに力を入れてきました。その背景には、合併で誕生した経緯や、転入者が多いという特徴から、地域コミュニティや絆を築きにくい当市の状況がありました。そのため、地域としての一体感をもったまちづくりを意識してきた経緯があり、各種政策を推進するなかでも、一人ひとりの「しあわせ」はつねに意識してきたキーワードでした。

 その結果として、我々が一番重視している市民意識調査では昨年、「住みやすい」と答えた割合が86.1%、「住み続けたい」は86.9%と6年連続で85%を超える高水準を記録したことは、一つの大きな成果だと感じています。

―さいたま市が住民に選ばれる理由はなんなのでしょう。

 私がまちづくり戦略を構想してきた際にも、徹底的に活かそうと考えていた強みが当市には5つあると思っています。まずは、東日本地域の玄関口として新幹線6路線が通り、高速道路網のアクセスも充実している「交通の要衝」としての強みです。また、大宮台地の非常に硬い地盤にあり、地震に強く、風水害が少ない「災害への強靭性」という強み。さらに、「環境」「教育」「健康・スポーツ」の3つは、合併前からそれぞれの地域が大変熱心に取り組んできた強みでもあります。

―詳しく聞かせてください。

 たとえば、「環境」では、自然環境を活かした田んぼや公園などのグリーンインフラの整備を各所で進めており、緑豊かで環境にやさしいまちづくりを進めてきました。太陽光発電の普及によるエネルギーの地産地消にも力を入れており、2050年のゼロカーボンシティ実現に向けて、当市は「環境未来都市」としての性格を強めてきました。

 また「教育」分野では、「英語教育実施状況調査」で、中学3年生の英語力が6回連続で全国1位になるなど、独自の教育プログラムが成果を出していることも、当市の強みになっています。

 さらに、「健康・スポーツ」に関しては、週1回以上スポーツをする市民の割合が令和6年の調査で71.8%を記録しています。昨年実施された民間企業の「スポーツ都市ランキング」調査では、国内106都市で1位に輝いていることも、スポーツが市民に深く根づいていることを物語っています。

さいたま市がめざす、2つの将来都市像

―今後の施策についてお聞きしますが、令和7年度に「総合振興計画」を改定しています。今回の改定のポイントを教えてください。

 昨今のテクノロジーの進展や、気候変動問題、人口減少問題などの社会情勢の変化といったトレンドを踏まえ、こうした大きな変化に対応していくための計画の修正が、今回の改定のポイントになります。それだけではなく、今回の改定の背景には、過去の施策で成果が積み上がったことで、その先を描く段階に入ったという現実もあると考えています。

―どういうことでしょう。

 これまで当市は、紹介した5つの強みを徹底的に強化する取り組みを進めてきたなかで、私は3期目までは「しあわせ倍増」というスローガンを掲げて行政プランを策定してきました。しかし、4期目からはこれを、「しあわせシンカ」という表現に変えてきました。

 この「シンカ」には3つの含意があります。1つは「進化」で、時代の流れに適応して施策を変化させていくことです。もう1つは「深化」で、地域の魅力を深掘りし、施策を深めていく意図を表現しています。そして3つ目が「真価」であり、「進化」と「深化」をかけ合わせて地域資源に磨きをかけ、当市の真の価値を高めていきたいという想いを込めています。

―「倍増」から「シンカ」への変化は、「量から質へ」という志向の転換を感じさせます。

 まさにその通りです。これまでは、強みを活かした施策から得られる「しあわせ」を量的に拡大させることを意識してきました。そして各種の指標からもその目標は一定程度達成できていると思います。その成果の上に立ち、これからは「誰一人取り残さない」という視点で各施策の改善を図っていかなければなりません。令和3年度からの総合振興計画では、「上質な生活都市」と「東日本の中枢都市」という当市がめざす2つの将来都市像を定めています。これらは、「しあわせ」の質を高めるステージに上がって初めて実現される都市の姿にほかなりません。

自治体広域連携のハブとなり、東日本全体を活性化させる

―135万を超える人口を擁し、東日本の玄関口にも位置するさいたま市の取り組みは、周辺への影響力も大きいのではないですか。

 そこは当市も強く意識するところで、総合振興計画で「東日本の中枢都市」という将来像を定めているのも、そのためです。「交通の要衝」として多くのヒト・モノ・情報が往来する当市には、各地域の自治体との広域連携のハブとなって東日本全体を活性化させていく役割が求められていると考えています。「東日本連携・創生フォーラム」の発足を私が呼びかけた理由もそこにあります。このフォーラムは昨年、設立10年の節目を迎え、現在38自治体まで加盟が広がるなかで、さまざまな自治体連携事業を展開しています。

―具体的に、どのような取り組みが行われているのですか。

 大宮駅東口に設置された「東日本連携センター(愛称・まるまるひがしにほん)」はその好例で、東日本各地の「食」や「地域産業」を中心に、交流・発信・活性化を促す地方創生の場として親しまれています。ここ2年の来館者数はいずれも100万人を突破し、大変賑わっています。今後も、東日本地域の回遊性向上をめざす「デジタルスタンプラリー」を実施し観光促進と交流人口拡大を図るなど成功事例を積み上げることで、東日本全体の活性化に貢献し、当市の発展にもつなげていきます。

選ばれ続けるために

―まだまだ、さいたま市の発展のポテンシャルは大きいと。

 そう思っています。これからも「選ばれる都市」であり続けるために、信条である「責任と共感・共汗」に則り、主役である市民や企業、団体のみなさんと手を携えて、市の魅力づくりに「共に汗」をかいていきます。そして、いずれ訪れる人口減少局面においても当市が夢にあふれ、持続可能な成長を遂げられるように導く。それこそが、私の責務だと考えています。

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