自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 自治体向けサービス最新情報
  3. 記録が残らない「窓口」から始める住民応対のAI実装 カスハラ対策の義務化も踏まえ、自治体がいま着手すべきこと【イベントレポート】

記録が残らない「窓口」から始める住民応対のAI実装 カスハラ対策の義務化も踏まえ、自治体がいま着手すべきこと【イベントレポート】

[提供] 株式会社エスプールグローカル
    記録が残らない「窓口」から始める住民応対のAI実装 カスハラ対策の義務化も踏まえ、自治体がいま着手すべきこと【イベントレポート】
    この記事の配信元
    株式会社エスプールグローカル
    株式会社エスプールグローカル

     自治体の窓口では、繁忙期になると定型的な案内や説明を繰り返す場面が増え、応対内容をその都度記録する時間を十分に確保できない場合があります。その結果、後日住民から「そのような説明は聞いていない」と問い合わせがあった際に、当時の応対内容を確認できる記録が残っておらず、事実確認や追加の対応に時間を要してしまうこともあります。

    また、業務効率化に向けてAI活用への関心が高まる一方で、「窓口業務のどの部分に活用できるのか」「具体的にどのような効果が期待できるのか」が分からず、導入の検討を進めにくいというお声もうかがいます。

    この記事は、株式会社エスプールグローカルが2026年9月10日(木)に開催したオンラインセミナー『住民コミュニケーションのナレッジ化~住民応対領域へのAI実装に向けて~』のセミナーイベントレポートです。当日投影したスライドとあわせて、講演の内容を順にご紹介します。

    登壇した牛山は、住民応対の領域でAIを活用していくためには、まず「情報を蓄積すること」が重要だと説明しました。特に、電話やAIチャットボットとは異なり、応対内容が記録として残りにくい「窓口」での会話を可視化・蓄積することが、AI活用に向けた第一歩になるとしています。

    また、2026年10月1日からカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務化されたこともあり、窓口での応対の内容を記録として残す重要性はさらに高まっています。記録を蓄積することで、職員を守るだけでなく、応対品質の平準化や、将来的なAI活用の基盤づくりにもつながります。

    本記事では、なぜ窓口応対の記録が重要なのか、そしてどのように取り組みを始めればよいのかをご紹介します。

    開催概要

    項目

    内容

    イベント名

    住民コミュニケーションのナレッジ化~住民応対領域へのAI実装に向けて~

    講演タイトル

    住民応対領域のAI実装に向けて~窓口接点にフォーカスした進め方とは~

    開催日時

    2026年9月10日(木)14:00〜14:50

    形式

    オンライン(参加無料)

    主催

    株式会社エスプールグローカル

    登壇者

    株式会社エスプールグローカル 執行役員 営業部長 牛山 貴友

    セミナーの構成

    住民の応対領域へのAI実装とは、AIを導入することそのものではなく、電話・チャットボット・窓口といった住民から入ってくる情報と、職員が持つ業務知識や制度などを掛け合わせ、組織の資産として蓄積していく取り組みを指します。その蓄積が、AIチャットボットやAIボイスボットといったAIを活かす土台になります。セミナーは「なぜ今、窓口なのか → 記録の蓄積による効果と始め方 → 次年度に向けた進め方」の順に、第1部〜第3部と質疑応答で構成されました。

    図1 本セミナーは、3つの構成でお話しします(登壇資料より)

    構成

    テーマ

    主な内容

    第1部

    なぜ今、電話改革なのか

    人口減少・職員不足という構造変化と、従来型の電話業務の限界

    第2部

    電話改革を推進するための解決策

    本質的な課題からの再設計、AIコンタクトセンター、「住民の声」のナレッジ化

    第3部

    奈良市の事例

    課題と目的、導入までの経緯、定量・定性の成果、今後の拡張

    第4部

    これから目指す未来

    「住民の声」を政策へ、段階的な導入の進め方

    質疑応答

    事前質問・当日質問への回答

    個人情報の扱い、FAQ作成、推進体制など

    本日の結論ーお持ち帰りいただきたい3つのこと

    講演の冒頭で、牛山はこの日に持ち帰ってほしいことを3つに絞ってお話しました。1つ目は、AIを活用する前提として「情報の蓄積」が大切であることです。2つ目は、その最初の一歩が「窓口」にあることです。3つ目は、大がかりな仕組みではなく、タブレット1台から始められることです。

    図2 本日、お持ち帰りいただきたいことは3つです(登壇資料より)

    AIという言葉が先に立つと、面倒そうだ、庁内に広げていくのは難しそうだ、と感じる方も多いはずです。牛山は、小さく始めて、その小さな効果が将来の大きな効果につながるよう、まずは効果を確かめるところから始めてほしいと話しました。

    第1部|なぜ今、「窓口」なのかー最も記録が残らない住民との接点

    第1部では、牛山が窓口の現場で聞かれる悩みを入り口に、窓口に焦点を当てる理由を整理しました。エスプールグローカルは約400の自治体※と取引があり、日々のやり取りのなかで窓口に関する悩みを多く聞いているといいます。(2026年10月時点)

    ■ 窓口の現場で聞かれる4つの悩み

    窓口で多く聞かれる悩みは、大きく4つに分けられます。1つ目は、繁忙期は様々な業務で手いっぱいになり、記録を残す余裕がないことです。2つ目は、記録がないため「言った」「言わない」の事実を確かめられず、対応が長引いてしまうことです。3つ目は、カスハラ対策が必要と言われながら、何から手をつければよいか定まらないことです。そして4つ目は、AIを使うように言われても、文書作成以外に窓口業務のどこで何ができるのか分からないことです。

    図3 窓口対応の現場から、こんなお声をよくいただきます(登壇資料より)

    一見すると別々の課題に見えますが、共通しているのは窓口での会話が記録として残っていない点だ、と牛山は指摘しました。

    ■ 電話やチャットボットと違い、窓口だけ記録が残らない

    同じ住民との接点でも、情報の残り方はまったく違います。電話は通話を録音でき、委託している場合は応対の履歴もシステムに蓄積されます。チャットボットは質問と回答のやり取りがすべて記録として残るため、そのまま分析や改善に使えます。一方、窓口での会話はその場で消えてしまい、職員のメモと記憶だけが頼りになっています。

    図4 住民との接点で最も記録を残しづらい「窓口」(登壇資料より)

    対応件数が多く、相談が集まりやすい窓口ほど、記録が残らない状態になっています。AIの活用を進めるうえでは、まずこの窓口の情報を残せる状態にすることがとても重要だ、と牛山は説明しました。

    ■ 応対内容も業務知識も、人に依存している

    もう一つの大きな課題が属人化、つまり業務の進め方や知識が特定の人に頼っている状態です。窓口での応対の内容も、職員が持つ業務の知識・経験や制度の理解も、その多くは個人の経験や記憶に頼っています。急な休みで担当者が不在になると業務に支障が出てしまうことがあり、担当者の異動や退職とともに、せっかく積み上げた知識や経験が失われてしまいます。

    図5 窓口での応対内容も職員の業務の知見も、いまは人に依存している(登壇資料より)

    ■ AI実装の土台は「情報の蓄積」

    そこで牛山が示したのが、「情報の蓄積」をし「組織の資産」にするということです。電話やチャットボットなど住民から入ってくる情報と、職員が持つ業務知識や制度の理解を、組織の情報としてつなげて蓄積していくことが、住民の応対領域でAIを活用するための土台になるといいます。

    図6 住民から得る情報と職員の知識をつなぐ「情報の蓄積」が、AI実装の土台になる(登壇資料より)

    牛山が実際に訪問した自治体も情報やナレッジがどこにも蓄積されずなくなってしまっていくことは組織の損失であると認識している自治体がとても多いとのことです。AIは明日からすぐに始められるものではありません。実装までの期間に、どれだけ情報を蓄積して資産に変えられるかが課題であり、何から始めればよいかが会議のたびに議題に上がっていたといいます。

    ■ 窓口が抱える3つの課題と、カスハラ対策の義務化

    牛山は、窓口が抱える課題を3つに整理しました。1つ目は、繁忙期や繁忙時間帯の職員の負担が大きいことです。2つ目は、応対の品質が担当者の経験に左右されることです。3つ目は、「言った」「言わない」のすれ違いが起きることです。これらも一見すると別々の課題ですが、共通しているのは窓口の会話が記録として残っていないことだといいます。

    図7 記録が残らないことが、負担・品質・リスクのすべてに影響している(登壇資料より)

    さらに、2026年10月1日からカスハラ対策が義務化されることも示されました。牛山によると、ポスターを貼って義務化に対応しているという声も多く聞かれます。ただ、ポスターの掲示は義務化とは関係なく、多くの自治体ですでに行われている取り組みでもあり、それで本当に職員を守ることや、「言った」「言わない」のすれ違いを防ぐことにつながっているのか、と牛山は問いかけました。今後は、応対の品質の向上だけでなく、記録を残す仕組みがより重要になる、というのが第1部の結論です。

    第2部|窓口の応対記録の蓄積による効果・始め方~タブレット1台で記録が残る体制へ~

    第2部では、窓口の記録をどのように蓄積していくのか、その具体的な方法と期待される効果が紹介されました。

    ■ 窓口応対記録サービス「ス窓カルテ」

    エスプールグローカルが提供しているのが、窓口応対記録サービス「ス窓カルテ」です。窓口の卓上にタブレットを1台置くだけで始められ、職員が行う操作は、録音を始める「開始」と、終える「終了」のボタンだけです。記録と保存は自動で行われ、いまの窓口業務の運用を変えることなく取り入れることができます。

    図8 タブレットを設置するだけで、窓口の記録が始まる(登壇資料より)

    記録した内容はAIが要約し、その場で印刷できます。たとえば応対の終わりに、「次回はこの資料をお持ちください」「本日のお話をご家族の方と一度ご相談ください」といった内容の要約を印刷して必要書類と一緒に渡すことで、これまで発生していた後日のやり取りを減らすことができると考えられています。要約する項目は自治体が指定でき、その項目に沿って話を進めると、AIが自動的に要約して項目ごとに入力していく仕組みです。

    もう一つの特長が、日々の窓口のやり取りからFAQ(よくある質問と回答)の作成につなげられることです。タブレットを置くだけで、通常の窓口業務の流れのなかで記録が蓄積し、要約からFAQがつくられていきます。牛山は、AIの実装を考えている自治体であれば、次年度を「AI実装に向けた準備を始める年度」と位置づけることもできると話しました。

    ■ 「記録が残る体制」をつくり、4つの効果につなげる

    窓口の記録は、「①記録する→②AIが要約・分析する→③情報資産になる」という3つの段階で活用されます。窓口での会話を記録し、AIが会話内容を自治体が指定した項目に沿って要約と分析を行い、FAQや応対のマニュアルとして組織の情報資産に変えていきます。

    図9 「記録が残る体制」を構築する(登壇資料より)

    録音されていることを伝える点について、牛山はタクシーを例に挙げました。乗車すると「録音・録画されています」と案内されることがあるように、運転手を守る観点から記録を残すことは、すでに日常の中でありふれたものになっています。窓口でも、タブレットを置き、録音していることを掲示するだけで始められるといいます。

    この「記録が残る体制」によって、「言った」「言わない」の防止、カスハラの抑止、応対の品質の向上・標準化、そしてAI活用の土台づくりという4つの効果が期待できます。特別な機器や新しい業務を増やすのではなく、いまの業務環境のなかで、これまで残っていなかった窓口の会話を残せるようにすることが、エスプールグローカルの考え方です。

    ■ 効果①「言った」「言わない」を防ぐ

    これまでは、口頭で説明しても住民がすべてを覚えきれず、後日「聞いていない」と問い合わせが入ることがありました。記録がなければ、職員も事実を確かめることができません。そこで、窓口の会話をAIが要約し、その場で備忘録として住民に渡します。職員と住民の双方が同じ内容を手元に持つことで、認識のずれを防げます。

    図10 その場で記録を共有し、認識のずれを防ぐ(登壇資料より)

    結果として、説明漏れや聞き逃しが減り、再度の来庁や問い合わせの削減、職員の負担軽減につながると考えられています。また、録音は後からさかのぼって聞き直すこともでき、以前に誰とどのような話をしたのかを振り返ることもできます。

    ■ 効果② カスハラを抑止し、職員を守る

    2つ目の効果は、カスタマーハラスメント(カスハラ)の抑止です。窓口にタブレットがあり、記録されていることが伝わるだけでも、過度な要求や威圧的な言動は起こりにくくなると考えられています。応対中の感情や口調もAIが分析できるため、管理者が窓口で起きている状況を把握しやすくなります。

    図11 記録することが、そのまま抑止力になる(登壇資料より)

    万が一問題が起きた際には、その記録が職員を守る証拠になります。担当した職員が一人で抱え込む状況をなくし、組織として事実に基づいて対応できるようになります。2026年10月1日からのカスハラ対策の義務化に向けて、応対の記録は職員を守るための具体的な仕組みとして位置づけることができる、と牛山は説明しました。スライドでは、相談体制や研修と並ぶ施策として、庁内や議会への説明材料にもなることが示されています。

    ■ 効果③ 応対品質を標準化する

    3つ目の効果は、応対の品質の標準化です。窓口の応対を記録として蓄積し、そこからよくある質問と回答の内容を抜き出して、FAQや回答例として整理していきます。

    図12 職員の“経験”を、組織の“仕組み”に変える(登壇資料より)

    これまで経験豊富な職員や会計年度任用職員の経験やノウハウに頼っていた部分を、組織として使える仕組みにすることで、新しく配属された職員も一定の水準で対応しやすくなります。回答のばらつきが減ることで住民への案内の品質も安定し、異動や休職に伴う負担の軽減にもつながります。

    牛山によると、ある自治体からは、経験豊富な会計年度任用職員に頼っている知識や経験をテキストにして残すことがまず大きな課題であり、そこを解決しないとAIは二の次だ、という声があったそうです。日頃のやり取りから自然にFAQがつくられる形であれば、すぐにでも検討を始めたいという声も実際に出てきているといいます。

    ■ 効果④ AI実装の土台をつくる

    4つ目の効果は、将来的なAI実装の土台をつくれることです。スライドでは、AIは「導入する」ものではなく「育てる」ものであり、情報の蓄積がなければAIは機能しない、と示されています。

    図13 AIは「導入する」ものではなく、「育てる」もの(登壇資料より)

    牛山は、AIそのものはどの企業が扱っても大きくは変わらず、大切なのは、AIを提供して終わりにせず、その後の分析まで含めて、持続可能な行政運営に向けた伴走支援ができるかどうかだと話しました。記録を要約・分析し、FAQとして蓄積し、知識として活かしていくまでの流れを自治体と一緒に取り組むのが、このサービスの特徴だといいます。応対の記録がデータベースとして蓄積されれば、その情報をもとにAIチャットボットやAIボイスボット、職員向けのAIエージェントへと広げていけます。住民から寄せられた声を分析することで、制度の見直しや政策立案にも活かせます。窓口の記録を残すことは単なる記録業務ではなく、住民の応対全体のAI活用につながる基盤づくりだ、というのが牛山の考えです。

    ■ ス窓カルテは簡素な構成で、導入しやすい

    ス窓カルテはシステムの構成も非常にシンプルです。窓口にタブレットを置いて応対を記録し、そのデータを解析基盤でAIが要約・分析し、応対記録データベースとして蓄積・活用していきます。要約と分析には、エスプールグローカルが契約しているZoom社のAI機能が使われており、エスプールグローカルがすでに自治体へ提供しているAIサービスでも同じ仕組みで要約・分析を行っているといいます。

    図14 シンプルな構成のため、導入ハードルが低い(登壇資料より)

    必要な環境はタブレットとネットワークが主で、庁内システムの大幅な改修や特別な専用機器の購入は必要ありません。タブレットは自治体で用意することも、エスプールグローカルが用意することもできます。使われていないパソコンやタブレットを有効に使いたいといった相談にも対応しており、声を拾いにくい場合には集音マイクも提供しているといいます。

    第3部|次年度に向けた進め方~小さく試して、効果を確かめる~

    第3部では、今年度中に検証を行い、その結果を次年度の当初予算要求につなげるまでの進め方が紹介されました。

    ■ ヒアリングから約1か月で運用を開始できる

    導入は、ヒアリング、環境の構築、利用開始、効果測定の4つの段階で進みます。対象の窓口や業務を確認したうえで、エスプールグローカルがタブレットの設置と初期設定、動作確認を行い、開始日から自治体が窓口で利用を始めます。開始後も、利用状況や分析結果を定期的に共有し、改善点を提案していきます。

    図15 ヒアリングから約1か月で、運用を開始できる(登壇資料より)

    スライドでは「約1か月」とされていますが、牛山は、早ければ2週間ほどで運用を開始できる場合もあると話しました。自治体側で大がかりな準備をする必要はなく、対象とする窓口と開始日を伝えるだけで、準備はすべてエスプールグローカルが行います。

    講演の最後に、牛山はあらためて3つの要点を示しました。AI実装の前提はまず情報を蓄積すること、その第一歩は記録が残りにくかった窓口から始めること、そして大がかりな仕組みは必要なく、タブレット1台で小さく始められることです。全庁で展開するための関係部署を巻き込んだ体制づくりなども必要なく、まずは一部の窓口で実証的に試し、その効果を確かめるところから始めてほしいと締めくくりました。

    質疑応答

    講演後の質疑応答では、当日寄せられた質問に牛山が回答しました。

    ■ 録音していることは、どのように伝えるのか

    録音していることをタブレットから音声で知らせるのか、それとも窓口に掲示物を貼る必要があるのか、という質問がありました。回答は後者です。タクシーの「録画中」の表示のような掲示物をエスプールグローカルが用意し、窓口の見えるところに貼ってもらう形を想定しているといいます。

    ■ どの課から導入を検討する自治体が多いのか

    導入を検討している自治体では、どの課から始めることが多いのかという質問には、最も多いのは市民課だという回答がありました。市民課は住民にとって最も入り口に近い窓口で、トイレの場所から税の手続きの担当課まで、大小さまざまな質問が行き交う場所だからです。次に多いのが税務の関係で、お金に関わる手続きのため記録を重視する自治体があるといいます。ほかに、まず財政課から始めたいという声や、総合案内に置いて最初の問い合わせへの応対品質を高めたいという例も紹介されました。

    ■ どのような要約がされるのか

    要約の内容は、自治体が設定できます。たとえば「マイナンバーに関する部分をしっかり要約してほしい」といった項目をあらかじめ登録しておくと、その項目に沿って要約が入力されていきます。印刷する前には職員が内容に目を通し、修正を加えることもできます。また、個人情報は、あらかじめ設定した指示に沿ってAIの要約・分析の過程で非表示にされ、削除される仕組みだと説明されました。

    ■ 分析結果から窓口業務の流れ図(フローチャート)はつくれるのか

    要望に応じて対応できるという回答でした。エスプールグローカルは、すでに自治体から通話録音の分析業務を請け負っており、録音データの分析から、求められる形での資料づくりまでを一体で行っているといいます。まずはどのようなものが必要かを聞き取り、そのうえで作成と分析を行う流れです。

    ■ カスハラ対策や災害時、開庁時間の短縮にも

    質問の合間に、牛山は各地の自治体を訪問して聞く声も紹介しました。カスハラ対策としては、ポスターを貼ったり、職員の名札を外したりする取り組みが多く見られます。訪問先では個人情報の扱いについての質問が多いといい、エスプールグローカルはすでに通常のサービスにAIを組み込んで提供しており、運用面で大きな問題は起きていないと説明しました。

    あわせて、大きな災害が起きた際には、住民が何度も役所に足を運ぶことが職員と住民の双方にとって大きな負担になることにも触れました。記録が残っていれば、確実なやり取りを安定した品質で提供できます。また、開庁時間の短縮を検討する自治体もあるなかで、住民が窓口に来られる機会は限られていきます。一つひとつのやり取りがこれまで以上に大切になり、その記録の大切さも増していく、と牛山は話しました。

    まとめ:窓口の記録を、組織の資産に変えるところから

    セミナーで語られた内容を整理すると、次のようになります。

    論点

    セミナーで示された要点

    AI実装の前提

    住民との接点から入る情報と、職員の知識・制度の理解をつなぎ、組織の情報として蓄積することが、AIチャットボットやAIボイスボットを活かす土台になります

    窓口に注目する理由

    電話やチャットボットと違い、窓口だけが記録が残らず、負担もリスクも大きくなっています

    記録が残ることの効果

    「言った」「言わない」の防止、カスハラの抑止、応対品質の標準化、AI実装の土台づくりの4つが期待されます

    始め方

    窓口にタブレットを1台置き、職員は開始と終了のボタンを押すだけで、窓口業務の運用を変えずに始められます

    次年度に向けて

    ヒアリングから約1か月で運用を開始でき、実証(PoC)で効果を確かめてから次年度の予算につなげられます

    記録が残らない窓口は、多くの住民と向き合い、複雑な相談も持ち込まれる場所でもあります。牛山は、いきなり全庁で始める必要はなく、まずは一部の窓口で小さく試し、効果を確かめるところから始めてほしいと呼びかけました。

    よくある質問(FAQ)

    ■ Q1. 住民の応対領域へのAI実装とは何ですか?

    電話・チャットボット・窓口といった住民との接点から入ってくる情報と、職員が持つ業務知識や制度の理解をつなぎ、組織の情報として蓄積したうえで、AIチャットボットやAIボイスボット、職員向けのAIエージェントなどに活かしていく取り組みです。セミナーでは、その前提として「情報の蓄積」が欠かせないと説明されました。

    ■ Q2. なぜ窓口から始めるのがよいのですか?

    電話は通話録音、チャットボットは質問と回答の記録が残りますが、窓口の会話はその場で消えてしまい、職員のメモと記憶だけが頼りになっているためです。対応件数が多く、複雑な相談が持ち込まれる窓口ほど記録が残らない状態になっており、まずここを記録が残る状態にすることが重要だとされています。

    ■ Q3. 窓口の記録はカスハラ対策になりますか?

    記録されていることが伝わるだけでも、過度な要求や威圧的な言動は起こりにくくなると考えられています。万が一トラブルが起きた際には、記録が職員を守る証拠となり、組織として事実に基づいて対応できます。2026年10月1日からのカスタマーハラスメント対策の義務化への対応として、具体的な措置の一つに位置づけることができます。

    ■ Q4. 導入にはどのような準備が必要ですか?

    必要な環境はタブレットとネットワークが中心で、庁内システムの大幅な改修や特別な専用機器の購入は必要ありません。自治体は対象とする窓口と開始日を決めるだけで、タブレットの設置や初期設定などの準備はエスプールグローカルが行います。ヒアリングから約1か月で運用を開始できます。

    ■ Q5. 録音データの個人情報はどう扱われますか?

    AIによる要約・分析の過程で、あらかじめ設定した指示に沿って個人情報が非表示にされ、削除される仕組みです。また、印刷する前には職員が要約の内容を確認し、修正することができます。

    【監修者】 牛山 貴友
    株式会社エスプールグローカル 執行役員 営業部長

    前職では、ふるさと納税ポータルサイトを運営する企業で東北・北関東エリアの責任者を務める。約290自治体と向き合い、各地域の特産品や観光資源などの魅力を全国に届けるための取り組みを支援。
    エリア責任者としては担当エリアの契約率向上に注力し、毎年KPIを達成。また、東北営業所の開設にも携わり、立ち上げから体制づくりまでを担って新しい拠点の安定運用を実現。

    2026年1月、株式会社エスプールグローカルに中途入社。営業責任者として全国の自治体への提案活動の先頭に立ち、それぞれの地域が抱える課題に寄り添った支援を届けている。あわせて、これまでの現場経験で培った知見をチームに共有しながら、メンバー一人ひとりの成長を後押しする人材育成にも力を注ぎ、自治体の良きパートナーとなる営業組織づくりを進めている。

    本記事の作成・支援事業者
    株式会社エスプールグローカル

    自治体に特化したコールセンター運営やBPOを通じて、自治体の業務改善と地方創生の両立に取り組んでいます。約400の自治体との取引実績があり、電話対応や窓口業務、受付など住民との接点に関わる業務の効率化を、デジタル化やAIの活用と組み合わせて支援しています。窓口応対記録サービス「ス窓カルテ」では、実証(PoC)や個別のご相談を承っています。

    【詳細はこちら】
    HP:https://glocal.spool.co.jp/ / お問い合わせ: glocal-contact@spool.co.jp

    株式会社エスプールグローカル
    株式会社エスプールグローカル

    本サイトの掲載情報については、自治体又は企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。

    提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。

    電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します