【人事給与・ISMAP】機密保持が重要な人事業務のDXには、国の「セキュリティ認証」が不可欠
(給与奉行クラウド / オービックビジネスコンサルタント)


※下記は自治体通信 Vol.68(2025年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体での人事関連業務は、紙ベースでの個人情報管理といった手作業が残されている例が多い。その業務効率化にはクラウドシステムが有用だが、導入には情報漏えいへの懸念という壁がある。こうした状況に対し、クラウドシステムの開発を手がけるOBC社の和田氏は「ISMAPという国の認証を得たシステムなら、機密性を担保しつつ人事関連業務を効率化できる」と語る。業務効率化と機密保持を両立させるポイントを、同社の石井氏も交えて聞いた。


煩雑な個人情報の収集が、本来の業務を阻む要因に
―自治体における人事関連業務の現状をどう見ていますか。
和田 自治体の人事関連業務は、国や地方議会で定められた法令に基づき、多様な雇用形態や手当が設けられているため、給与計算が民間よりも複雑です。こうした計算には職員の採用から異動、退職に加え、結婚や出産、弔事などの情報を全職員から収集する必要があります。この収集作業を人事課だけで行うのは困難なため、多くの自治体では、各課が所属する職員の情報を収集し、そのデータの提供を受けた人事課で人事給与システムに手入力しています。
石井 こうした手作業は、煩雑なうえにヒューマンエラーを起こしやすく、ミスや不備が生じた際は各課への再確認も必要になり、一連の作業に多くの人員と時間を費やしてしまっているようです。そのため、本来行うべき人材育成や人材マネジメントといった人事管理業務にまで手が回らないという話をよく耳にします。
―どう解決すればいいでしょう。
石井 全職員が自身の端末から直接個人情報を入力し、そのデータを一元管理できるクラウド型の人事給与システムが有用です。これにより、各課に依頼して個人情報を収集する工程や人事課での手入力も不要になるので、ヒューマンエラーを未然に防止します。さらに、ほかの人材マネジメントシステムなどとも連携しやすく、その機能を活用して人事課が本来行うべき人材育成や戦略的な人事管理体制を構築する土台になります。
和田 一方、自治体の人事給与システムは個人情報保護の観点から閉域網での利用が一般的で、クラウドシステムの機密性を懸念する声も聞かれます。しかし、じつは一定の要件を満たせば、情報漏えいリスクを自治体の閉域網と同等か、それ以下に抑えられます。
トラブル事案は47年間ゼロ
―具体的には、どのような要件を満たせばいいのでしょう。
和田 最大の要件は、国が求める厳しいセキュリティ基準を満たしたクラウドシステムだけが認証されるISMAPの有無です。ISMAPに登録されたシステムは第三者機関による厳格な監査や、継続的なセキュリティ対策への監視をクリアしているため、導入から運用まで最高レベルの機密性が保たれます。
石井 その点、ISMAPに登録された当社の『奉行シリーズ』は、人事関連業務のクラウド化を安全に進められると確信しています。当社では、すべての個人情報を国内データセンターで管理しており、海外への情報流出リスクがほぼありません。さらに全データを暗号化したうえで、システムにアクセスできるアカウントの権限を細かく設定することで、重要な機密情報を閲覧・入力できる人員を制限できます。こうした情報セキュリティ対策により、当社は創業から47年間で情報漏えいなどのトラブルをゼロに抑えており、機密性が重視される自治体の人事関連業務に最適だと考えています。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
和田 令和8年春、当社は『奉行シリーズ』から自治体向けの人事給与システムを提供します。このシステムは、給与計算の効率化に加え、人材の特性や家族の状況などに合わせた適材適所の人員配置も支援し、離職防止の施策にも活用できます。今後は、ウェビナーの開催やトライアル導入といったサービスも拡充し、人事関連業務のDXを包括的に支援していきます。


設立 | 昭和55年12月 |
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資本金 | 105億1,900万円 |
売上高 | 469億8,400万円(令和7年3月期) |
従業員数 | 1,304人(令和7年4月1日現在) |
事業内容 | 会計・人事・給与等の基幹業務や、それに係る周辺業務に関するソリューションテクノロジーの開発メーカーとして、パートナー企業を通して、クライアントの業務効率化に貢献するクラウドサービスなどを提供 |
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