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対話が拓く水道企業団の未来②~引き継がれていく“レガシー”として

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    我らはまちのエバンジェリスト#19(福岡市 職員・今村 寛)
    前回に引き続いて、注目を集めている福岡地区水道企業団による50周年事業の取り組みの“裏側”にある対話の積み重ねをお届けします。なぜ対話に乗り出し、どのような効果を生み出し、どんな成果を出しつつあるのか? 熱い想いにあふれる同時進行ストーリーです!

    企業団全職員で「対話」に取り組む

    50周年記念事業を企業団職員全員で企画し、実施する。
    これが、私が掲げた1つ目の挑戦でした。
    通常、団体の周年事業は総務ラインの仕事と相場が決まっていますが、私は1年前の春の着任からそう時間を置かず、「50周年記念事業を職員全員で企画し実施する」という無茶な大風呂敷を広げて各職場を巡回し、職員全員が組織の壁を越えて周年事業の企画実施に携わる意義を説いて回りました。
    企業団職員ひとりひとりが、企業団の使命やこれまでの業績、現在の立ち位置、今後期待されていることなどについて、日々の業務で頭の中でぼんやり思っていることを言葉にし、職員として意識する絶好の機会としたい。
    また、そのことを職場の同僚や他の職場職員と語り合い、「対話」によって情報共有や意思疎通を深めることが、職員、職場間でのコミュニケーションを図るだけでなく、同じ企業団職員として私たちの組織や仕事の意義、目標を共有し、組織の目指す方向性を一致させるとてもいい機会と考え、周年事業の企画検討から実施に至る過程に、正規職員だけでなく会計年度任用職員も含めた全職員108名が何らかの形で関わるよう進めることにしたのです。

    50周年事業の意義を説く対話を通じて全職員の気持ちをひとつに

    すべての職員の喜びとなるように

    50周年記念事業については増員を行っておらず、かといって日々の通常業務が減るわけではないので、結局は組織、個人にとっては追加の負担となるわけですので、過重な負担にならないようにという配慮は必要です。
    しかし、50周年事業は単なる一過性のお祭りではなく、私たち企業団職員が毎日誰のために、何のため仕事をしているのかというアイデンティティを確かめ合い、職場や立場の壁を越えて言葉を交わし、みんなでひとつの目標に向けて行動することができる企業団組織を創るという意味で、今後の通常業務の品質を向上させるための重要な取り組みです。
    そのために必要な負荷として例年よりは若干業務量は増えますが、その分、個人や組織の力量を向上させるという成果を上げていきたいと考えています。
    また、50周年記念事業を全員で、と言われても通常の仕事が忙しい、家庭の都合で残業ができない、という方はできる範囲でというお願いを繰り返しました。
    なるべく多くの方が記念事業に関わることで一人当たりの負担を減らしていけると考えていますし、希望の業務を分担してもらうことで、少しでも意欲的にかかわっていただける環境を整え、50周年イヤーである令和5年度が終わったときに、企業団のすべての職員が何らかのかたちで50周年事業にかかわれたことをうれしく、誇らしく思えるようにしたい。
    50周年記念事業のそれぞれが動き出し佳境を迎える中で、その思いは一層強くなっています。

    うれしく、誇らしく思える周年事業に!

    「対話」が醸すジブンゴト意識

    50周年記念事業への全員参加については企業団のすべての職員の皆さんにジブンゴトとして共有してほしいという私自身の強い思いが始まりでした。
    昨年4月に総務部長に着任したての私が言い出した荒唐無稽な発案に、これまでお付き合いいただいている職員の皆さんには本当に感謝しています。
    昨年度の前半では、各職場での「対話」から生まれたアイデアを各職場で選任いただいた広報委員の皆さんに託すかたちで、記念事業として実施する事業企画の“卵”を多数お寄せいただきました。
    寄せられた事業企画の“卵”を広報委員会での「対話」と「議論」で絞り込み、磨き上げ、昨年8月にとりまとめ、これを実行していく過程についても、各職員がどの業務に従事したいかをお尋ねするアンケートを実施し、その意思を尊重しながら、組織横断で全庁一丸となって各記念事業の準備から実施に至る業務を遂行できる体制を整備したところです。

    対話、対話、また対話。対話の積み重ねが大きな成果に結びつく!

    令和5年度に入り、いよいよ昨年度から仕込んできた数々の記念事業が日の目を浴びはじめましたが、ここまで来られたのはすべて職員の皆さんのおかげ。
    企業団設立の趣旨に立ち返り、私たち企業団が何のために生まれたのか、何のために存在しているのか、そのことを50周年という節目を契機にどうやって市民の皆さんに知っていただくかを職員ひとりひとりがジブンゴトと考え、自分の所属や担当に囚われず幅広く企業団全体を俯瞰し、他の所属の職員ともきちんと「対話」による意思疎通を図って綿密な連携を図ってきていただいた結果です。

    108人の職員が対話でワン・チームに

    通常業務も忙しい中、記念事業に関わっていただき、また記念事業に関わることができなくても、記念事業に関わる職員の穴を埋めて通常業務を回していただき、職員すべての皆さんのご尽力のおかげでここまでたどり着くことができたことを感謝するとともに、108人の職員が50周年記念事業の成功という共通の目標に向かって「対話」による組織横断でのチーム組成ができ、それがきちんと機能していること、さらにはこの50周年イヤーが終わった後もレガシーとして引き継がれていくことをとてもうれしく思っています。
    長くなりましたので、2つ目、3つ目の挑戦は次稿にてご紹介します。
    (「対話が拓く水道企業団の未来③~中と外を混ざり合わせる『外部関係者との対話』に続く)

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    ■今村 寛(いまむら ひろし)さんのプロフィール

    福岡地区水道企業団 総務部長

    1991年福岡市役所入庁。2012年より福岡市職員有志による『「明日晴れるかな」福岡市のこれからを考えるオフサイトミーティング』を主宰し、約9年間で200回以上開催。職場や立場を離れた自由な対話の場づくりを進めている。
    また、2012年から4年間務めた財政調整課長の経験を元に、地方自治体の財政運営について自治体職員や市民向けに語る「出張財政出前講座」を出講。「ビルド&スクラップ型財政の伝道師」として全国を飛び回る。
    好きなものは妻とハワイと美味しいもの。2022年より現職。
    財政担当者としての経験をもとに役所や公務員について情報発信する「自治体財政よもやま話」(note)を更新中。

    • 主な著書

    『自治体の“台所”事情~“財政が厳しい”ってどういうこと?』(ぎょうせい)

    『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』(公職研)

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