自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 先進事例
  3. AIとの対話が、人の主体性を呼び起こす!? 会議シンギュラリティ ~AIたちと考えるこれからの大牟田
先進事例2026.03.23

AIとの対話が、人の主体性を呼び起こす!? 会議シンギュラリティ ~AIたちと考えるこれからの大牟田

[提供] 株式会社地域創生Coデザイン研究所
AIとの対話が、人の主体性を呼び起こす!? 会議シンギュラリティ ~AIたちと考えるこれからの大牟田
この記事の配信元
株式会社地域創生Coデザイン研究所
株式会社地域創生Coデザイン研究所

会議はあれど「議論」なし 

 福岡県大牟田市は、炭鉱の街として栄えた1959年をピークに人口が半減し、現在は約10.2万人、高齢化率は38.4%となっています。生産年齢人口(15~64歳)は2015年比で2045年には6割まで減少し、老年人口(65歳以上)は8割まで減少すると予測されています。生産年齢人口の大幅な減少により、「労働供給制約」地域になることが見込まれており、すでに働き手不足の影響は生活の基盤に及びつつあります。

 要介護高齢者などの介護サービスを調整するケアマネジャーの減少により、ケアプランの作成が遅れ、サービスの利用開始が遅れる事例が発生しています。また、介護職の不足によって高齢者施設での入浴回数を減らさざるを得ない状況や、運転手不足による公共交通の維持、土木・設備系の専門職不足によるインフラ維持なども課題となっています。

 このような状況だからこそ、大牟田市では、限られた資源の中で何を優先し、何を見直すのかといった意思決定が本来は避けられません。しかし、そのための場である協議会などの会議においては、「さまざまな関係者が集まっているにもかかわらず、報告だけで終わってしまう」「状況を変えるべきだと思っていても、相手が不快にならないよう言葉を選ぶうちに先送りしてしまう」といった声が聞かれ、意思決定の前提となる議論が生まれにくい状況が見られます。

 空気を読み合い、角が立つのを避け、言うべきことを言わない、あるいは言えないという力学は、地域で顔の見える関係の中で暮らす人々にとって避けがたいものです。こうした課題は、大牟田市に限らず、多くの地域が共通して抱えているといえるでしょう。

「話しやすい場」を生み、地域の力学をほどくAI活用

 2024年10月に、大牟田未来共創センター、NTT、地域創生Coデザイン研究所、大牟田市が実施した「会議シンギュラリティ」は、生成AIのユニークな活用を通じて、こうした課題にアプローチする試みでした。そこでは、それぞれに専門性を持つAI同士が大牟田の課題について議論し、その内容を受けて、大牟田の経営者や専門職、行政職員などが議論を深めていきました。

 会議シンギュラリティでは、会議に集う人々と属性の重なるAIを複数設定し、まずAIたちが、それぞれの専門的立場から大牟田の課題について意見を出し合います。
 一般に、AIのアイデアは抽象的で一般論にとどまりがちですが、会議シンギュラリティのAIたちは、大牟田の基礎情報をインプットしたうえで発言するため、「AIたちが大牟田のことを真剣に考えて発言している」かのような印象を与えます。
 その様子を目の当たりにした参加者は、「実際はもっとこうだ」「自分だったらこう考える」といった形で発話を促されていきます。さらに、AIたちは互いの意見を遠慮なく批判し合い、例えば保健師役のAIが医師役のAIの意見に対して説得力のある指摘を行う場面も見られました。

 こうしたAIの「空気を読まない」発言は、既存の空気を打ち破り、無礼講のような感覚を生み出します。その結果、参加者は立場上言いづらい意見も発言しやすくなり、地域で権威的な立場にあり無謬性が求められる人々にとっても、発言のハードルが下がる効果が見られました。
 AIたちとの対話を通じて生まれる「話しやすさ」は、単に安心して話せるよう配慮された場づくりにとどまりません。AIと人間との違いや、AIの発言に対する違和感が、人々を地域のしがらみから解き放ち、「自分ならこう考える」という主体性を呼び起こしている点に、この取り組みの本質があります。

 このようにして引き出された「私」たちによる会議は、地域の現実を引き受けた本音の議論として、具体性と方向性を持ち始めます。会議シンギュラリティは、地域に暮らす人々の主体性を引き出すことで、意思決定の壁を乗り越えようとする試みです。

本記事は、地域創生Coデザイン研究所・ポニポニ発行のコンセプトブック「地域創生2.0」より一部抜粋しています。
冊子全体のPDFは以下より無料でダウンロードいただけます。
https://codips.jp/news/20260323/

※記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともにご注意をお願いいたします。

株式会社地域創生Coデザイン研究所
株式会社地域創生Coデザイン研究所

本サイトの掲載情報については、自治体又は企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。

提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します