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福岡県古賀市の取り組み
先進事例2025.10.06
農機シェアリングを通じた農業振興

【スマート農業・コスト削減】農機シェアリングで働き方を変え、農業を魅力あるキャリアの選択肢に
農機シェアリングアプリFamcon / 日本の農村を元気にする会

[提供] 一般社団法人日本の農村を元気にする会
【スマート農業・コスト削減】農機シェアリングで働き方を変え、農業を魅力あるキャリアの選択肢に(農機シェアリングアプリFamcon / 日本の農村を元気にする会)
この記事の配信元
一般社団法人日本の農村を元気にする会
一般社団法人日本の農村を元気にする会

※下記は自治体通信 Vol.69(2025年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

農業従事者の高齢化や担い手不足が深刻化するなか、農業経営の持続性を高めるには、農作業の負担軽減や生産性向上、新規就農者の確保などが求められている。そうしたなか、古賀市(福岡県)では、デジタル技術を活用して農業の抜本的な変革をめざす「スマート農業」を推進しており、その一環として「農機シェアリング」の実証実験を行っている。市長の田辺氏に取り組みの経緯と成果、今後のビジョンなどについて聞いた。

[古賀市] ■人口:5万9,099人(令和7年8月末現在) ■世帯数:2万7,535世帯(令和7年8月末現在) ■一般会計予算:306億816万円(令和7年度当初) ■面積:42.07km² ■概要:平成9年に糟屋郡古賀町が市制施行し、古賀市となる。海や山の自然に恵まれ、九州最大の都市「福岡市」に近接しているため、経済、流通、交通の面でも豊かな生活環境が整っている。江戸時代、この地には唐津街道が通り、現在の町川原に「青柳宿」と呼ばれる宿場があるなど、古くから交通の要所となっている。
インタビュー
田辺 一城
古賀市
市長
田辺 一城たなべ かずき

高額農機のシェアリングは、新規就農の参入障壁を下げる

―農機シェアリングの実証実験を開始した経緯を教えてください。

 当市では、基幹産業の1つである農業の振興に向けて、圃場整備などのハード事業と補助金などのソフト事業の両面から取り組んできました。同時に、農家の高齢化や担い手不足への対策として、農作業の高効率化や負担軽減を目的に、デジタル技術を活用したスマート農業を推進しています。昨年から実証実験を行っている「リモコン草刈り機」と「農機シェアリング」の導入もその一環でした。各農家へアンケート調査を行ったところ、草刈り作業に対する負担感の大きさは衆目の一致するところでした。そこで、デジタル技術による負担軽減策として、リモコン草刈り機の活用が浮上しましたが、各農家単位で導入するには高額な機械でもあります。そのため実証実験として、複数の農家でシェアリングする仕組みを導入したのです。高額農機のシェアリングには、新規就農者の参入障壁を下げる効果も期待しました。

―農機シェアリングは、実際どのように運用されているのですか。

 市がリモコン草刈り機をレンタルし、それを現在は16軒の農家がシェアリングで活用しています。昨年までは、予約の受け付けは電話で行い、予約状況を紙の台帳で管理していました。しかし、管理者の業務負担が大きいうえ、予約調整に時間を要し、予約時間も限られるなど利用者にも負担をかけていました。さらに、2年目の今年度は利用者が増えることが予想されたため、ここにもデジタル技術の活用を検討し、農機シェアリングアプリ『famcon*』を導入した予約管理を行っています。

*famconの特許番号(特許第7351035号)

アプリを活用し、「快く働ける農業」を実現

―どのようなアプリですか。

 カレンダー機能で登録された農機の空き状況を確認して、簡単な操作で予約が行えるアプリです。気象情報も表示されているので、機械の空き状況と気象情報を確認しながら、作業日程を考慮して予約することができます。昨年までのように、予約電話を受けて、管理者が台帳で空き状況を確認して折り返し電話をかけるといった煩雑な作業はなくなりました。利用者も、いつ誰が予約しているのかわかるため、ユーザー相互で融通をきかせることもできるなど、管理者、利用者双方から大好評だと聞いています。

―今後の方針を聞かせてください。

 この『famcon』も活用しながら、スマート農業を推進し、農作業の負担軽減や新規就農の促進につなげていきたいですね。めざすのは、単なる目先の「高齢化対策」にとどまらない、農業の抜本的な変革です。その先に、農業をキャリアの選択肢の1つと考えてもらえるような、「快く働ける農業」を実現していきたいと考えています。

 さらに『famcon』は、拡張性のあるアプリだと聞いていますので、今後はほかの農機はもちろん、当市が市民にシェアリングしている電動自転車や施設管理など幅広い用途で活用できるかもしれません。

支援企業の視点
アプリで農機シェアリングを促進し、農業経営の持続可能性を高めよ
インタビュー
永野 玲子
一般社団法人日本の農村を元気にする会
広報担当
永野 玲子ながの れいこ
昭和51年、兵庫県生まれ。長年、映像業界に従事した後、新規就農をめざして地域に根ざした活動を開始。農業課題への関心から、令和7年より一般社団法人日本の農村を元気にする会に広報担当として参画。

―農業を基幹産業とする自治体の課題はなんでしょう。

 従事者の高齢化や担い手不足が深刻化し、農業経営の持続可能性が危ぶまれています。新規就農を志す方々がいても、高額化する農機の購入が高い参入障壁となったり、収益性を悪化させたりする現実もみられます。そこで当会では、農機を地域全体で活用できるよう、国のスマート農業への支援も活用し、農機シェアリングアプリ『famcon』を開発しました。

―どのようなアプリですか。

 登録した農機の貸借管理を基本機能としていますが、ほかにも気象予測情報の表示、さらには気象など諸条件をもとにAIが農機の利用推奨度をスコア化する機能などを搭載しているのも特徴です。いわば、「適切な農作業スケジュール」を提案できるアプリとなっています。古賀市での導入にあたっては、現地でのデモや説明会、導入後のサポートを充実させたほか、高齢の利用者の声を反映し、表示の視認性や操作性を高める改善・改良も行っています。農業関係者で構成する当会の知見も活かし、農家のみなさんが真に必要とする機能や使い勝手を実現したアプリとなっています。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 『famcon』は、拡張性が高く、農機以外の機器も登録できるので、幅広い用途で利用可能です。当会では、AI機能などの開発を強化し、小規模農家でも先端技術の恩恵を受けられるよう支援していきます。国の支援も活用し、全国でデモを受け付けています。お問い合わせください。

: 農林水産省「スマート農業実証プロジェクト(スマート農業産地モデル実証〈ローカル5G〉)」
: 農林水産省「令和7年度スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート緊急対策事業費補助金」

一般社団法人日本の農村を元気にする会
一般社団法人日本の農村を元気にする会
設立

令和2年4月

事業内容

農村地域を元気にする事業

URL

https://nousongenki.org/

お問い合わせ先
info@nousongenki.org
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