スポーツ・健康を通じたまちづくり 自治体事例|スポーツで築く地域活力、スポーツを通じたサポートしあうまちづくり

都城市、大崎町のスポーツ・健康を通じたまちづくり自治体事例
国は第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(令和元年12月20日閣議決定)に従い、東京大会等の「スポーツ・レガシー」としてのスポーツによる地方創生、まちづくり(第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においては、「スポーツ・健康まちづくり」と呼称)の各地のさらなる取り組みを促進するための推進体制を強化するとともに、全国で活用されている地方創生推進交付金、企業版ふるさと納税、地域おこし協力隊など国の施策の活用事例の周知を図りながら、スポーツ庁の主導の下、関係府省庁と連携・協力して、地域により特色ある「スポーツ・健康まちづくり」の創出を全国で加速化させています。
スポーツ庁では、令和3年度からスポーツによる「地方創生・まちづくり」に積極的に取り組もうとする自治体の取組計画を表彰する「『スポーツ・健康まちづくり』優良自治体表彰」(スポまち! 表彰)を実施しています。
「スポーツ・健康まちづくり」とは、スポーツや運動を通じて、交流人口の拡大や、誰でも日常的に出歩き、体を動かし、スポーツができる環境整備等に取り組むことによって、スポーツを活かして他の分野における地域課題の解決、多様性を尊重する社会づくりや地域経済の活性化等を図っていく取組を指します。
ここではスポーツ庁「スポまち! 表彰」を受賞した自治体の取り組みを紹介します。今回は、都城市、大崎町のスポーツ・健康を通じたまちづくり自治体事例です。
スポーツで築く地域活力|都城市
宮崎県 都城市は、2022年4月に設立した地域スポーツコミッション「都城市スポーツコミッション」(MSC)をスポーツ推進の中心組織とすることでスポーツ団体や経済団体等との連携を強化するなど多様なスポーツ施策を推進しています。
地域スポーツコミッションとは、地方公共団体、スポーツ団体、観光団体、商工団体、大学、企業等が一体となり、スポーツツーリズムを中心にスポーツによる地域振興に取り組む組織で、スポーツ庁はその設立や活動を支援しています。
MSCは都城市の持つ「スポーツ」と「観光」「地域資源」を融合させ、相乗効果を生み出すことでスポーツ振興と地域活性化の牽引役を担うため設立されたスポーツコミッションで、これまでにプロ野球の宮崎フェニックス・リーグ(若手選手育成を目的とした秋季教育リーグ)の運営支援、プロ野球・読売ジャイアンツ、Jリーグ・FC東京などのキャンプ受け入れ、南九州駅伝競走大会、全国弓道大会などの運営支援などの実績があります。
同市では令和9年度国スポ・障スポ大会を見据えた施設整備や機運醸成イベントでスポーツ推進の機運が高まっており、MSCを核にスポーツ施設や国スポ・障スポ大会終了後のレガシーを活かす方策を検討・推進しているほか、「肉と焼酎」にはじまる豊かな食や同市の温暖な気候を背景としたスポーツ誘致等のアウター戦略をMSCが後押ししています。
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都城スポーツコミッションのサイト(https://www.msc2022.com/)
総合的な取り組み内容
MSCを中心に関係団体との連携体制を強化しながら、「スポーツで築く地域活力ある都城」をコンセプトに、次のような事業等に取り組んでいます。
アウター戦略
・同市の自然、食、おもてなしを活かしたスポーツ合宿・キャンプ誘致及び受入促進
・同市の資源を生かしたスポーツツーリズムの造成
インナー戦略
・企業や市内スポーツクラブと連携した働き世代のスポーツ実施率の向上
・AIを活用したDigSports(人工知能と画像認識技術を活用した運動能力測定・分析システムのことで、運動嫌いな子どもや運動が疎遠になった働く世代が向いているスポーツを見つけ、運動好きになるきっかけや運動習慣化を後押しするシステム)の継続実施
・スポーツ団体と連携した地域スポーツ教室の実施
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目標とポイント
目標
・計画期間:~令和10年3月31日
・目標値(令和9年度): スポーツ合宿の受入件数 250件、スポーツ実施率61.9%、地域スポーツ教室の参加者3,000人
ポイント
・地域経済の活性化:自然、食、おもてなしを活かしたスポーツ合宿・キャンプ誘致・受入、スポーツツーリズムの造成(スポーツによる地域振興)
・スポーツ実施率向上と健康寿命の延伸:市民のライフステージに応じたスポーツ機会の提供や市民総スポーツによるまちづくりの推進(スポーツを日常の感覚に、生涯スポーツの振興)
スポーツを通じたサポートしあうまちづくり|大崎町
鹿児島県 大崎町は「一般社団法人スポーツ観光おおさき」をハブ的存在の実施主体として、①同町の豊かな自然と豊富な一次産業を背景に豊富な食資源を活用した新たな商品開発や付加価値を付けブランドを確立し、経済循環の活性化推進、②アスリートや合宿者の受け入れをサポートするサポーター制度の創設など、スポーツを通じて地域住民同士やアスリートが結びつき「交流」「共創」する仕組みをつくることで地域活性化を目指す取り組みを推進しています。
スポーツ観光おおさきは、大崎町の観光資源を活用したスポーツ大会・イベントの開催や合宿の誘致、観光の推進による交流人口の拡大及び地域経済への波及促進をするとともに、町民の多様なニーズに対応した、スポーツ機会の拡大及び健康づくり・体力づくりを推進することで、スポーツを核とした地域活性化を図ることを目的として令和6年に法人化されました。
同町には、ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅、くにの松原クロスカントリーコース、道の駅「くにの松原おおさき」周辺タータンコースなどのスポーツ施設があります。
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一般社団法人スポーツ観光おおさきのサイト(https://osaki-sc.jp/)
総合的な取り組み内容
「交流と共創」をテーマに次のような取り組みを進めています。
交流
・サポーター制度:好意の流れを「見える化」し、合宿者やイベント競技者と町の好意がどのようにつながり循環しているのかを視覚的にアウトプットし、情報開示を行う
・リアルとオンラインのコミュニケーション:サードプレイスの場として機能するよう、心理的安全性の高いリアルな場を提供する。SNSも強化し、リアルとオンラインの交流をシームレスに行う
共創
・お結びスポーツの進化:取り組みを広く開示し、食にとどまらず、スポーツ×スポーツ観光おおさき×地元企業によるアスリート向けブランドの確立を目指す
・住民との共創イベント:若い世代が主体的に活動し、スポーツイベントの運営や企画、参加を通じて、地域に対する愛着や達成感や心身の健康を育むことを目指す
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目標とポイント
目標
・計画期間:~令和9年3月31日
・KPI:①サポーター制度参加者=200人(令和9年)、②スポーツイベント参加者(運営体験など)=300人(令和9年) 他
ポイント
①オンラインとリアルの場での交流を強化し、プレイヤーやサポーターなど様々な参加形式で町民が主体的に関わる環境を構築
②豊富な食資源を活用した企業連携による地域ブランドの確立
③若年層が主体的に活動し地域資源の新たな価値を創出することでウェルビーイングを高め、支えあう持続的なサイクル基盤を構築






