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先進事例2026.03.26

カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例|コンパクトシティ形成と連携した効率的な脱炭素化、住民主導のまちづくり活動との連携で実現した持続可能な地区開発

カーボンニュートラルのまちづくり 自治体事例|コンパクトシティ形成と連携した効率的な脱炭素化、住民主導のまちづくり活動との連携で実現した持続可能な地区開発

小諸市、ミルベール地区のカーボンニュートラルのまちづくり自治体事例

近年、豪雨災害や記録的な猛暑など、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化が世界的な課題となっており、わが国においても2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、地域の取り組みを推進しています。

そのような中で、都市・地域構造や交通システムは中長期的にCO2排出量に影響を与え続けることから、都市分野においても脱炭素に資する都市・地域づくりが求められています。

そこで、都市行政においてカーボンニュートラルに向けた取り組みを一歩進めるための手引きとなることを目的に国土交通省 都市局 都市政策課 都市環境政策室が作成した「都市行政におけるカーボンニュートラルに向けた取組事例集(第2版)」より、地域脱炭素ロードマップの脱炭素先行地域の自治体事例のほか、海外事例も抜粋して紹介します。

今回は、小諸市、ミルベール地区(米国ペンシルベニア州)のカーボンニュートラルのまちづくり自治体事例をお届けします。

コンパクトシティ形成と連携した効率的な脱炭素化|小諸市

長野県 小諸市では、コンパクトシティを目指し、こもろ医療センター、市庁舎、図書館、市民交流センターなど都市機能施設を集約・再構築する際、エネルギーサービス事業者との連携により、エネルギー面的利用によるエネルギー利用の効率化を図ることで、地方小都市において、中心市街地の活性化と都市の脱炭素化の両立を目指しています。

同市では平成25年3月に持続可能な低炭素社会の実現に向け「低炭素まちづくり計画」を、平成29年3月には利便性の高いまちづくりを進めるため「小諸市立地適正化計画」をそれぞれ策定しています。

令和2年9月には「小諸市気候非常事態宣言」を表明。令和4年12月には「小諸市ゼロカーボンシティの実現に向けた基本協定」を締結し、連携協力を図り、取り組みを円滑かつ効果的に推進しています。

都市の課題と今回のまちづくり(左)と取り組み経過

今回のまちづくり①
都市機能集約化とあわせたエネルギーネットワークの構築

市が掲げる「低炭素まちづくり計画」に基づき、総合病院、市庁舎、図書館、市民交流センターを集約・再構築し、エネルギーの面的利用による温室効果ガスの削減に取り組んでいます。

都市機能集約+建築物の低炭素化
「低炭素まちづくり計画(2013)」「小諸市立地適正化計画(2019)」に基づき、公共施設や医療センター等の都市機能集約、建築物の低炭素化等を図りました。

電気+熱のエネルギーネットワーク
機能集約した市庁舎、図書館、市民交流センターと、民間病院である浅間南麓こもろ医療センターのほか、商業施設棟を有する“こもテラス”を含め、電気と熱のエネルギーネットワークを構築しています。

都市機能集約エリアにおけるエネルギーネットワークの取り組み

今回のまちづくり②
地域冷暖房事業者による総合的なエネルギー供給

地域特性を活かして生産される太陽光・小水力・バイオマス等多様な再エネを活用しながら、こもろ医療センター、市庁舎、図書館、市民交流センターの集約・再構築と合わせ、プロポーザル形式で公募したエネルギーサービス事業者(株式会社シーエナジー)とするエネルギーサービス事業(エネルギーサービス事業者がエネルギー設備の資金調達から補助金申請業務、設計施工、運用・維持管理までトータルサポートによるエネルギーサービスを提供する事業)を活用することによりエネルギー利用の効率的な運用を図り、省エネルギー化、脱炭素化に向けた取り組みを進めています。

事業者は、設備機器(熱回収チラーなど)を市庁舎と医療センターに導入し、電力の一括受電や庁舎と病院で使われるエネルギーの効率的な運用により、省エネルギー化、脱炭素化を進めています(市庁舎のエネルギー負荷が少ない土日に、蓄熱槽に蓄熱した余剰熱を病院に融通するなど)。

集約化施設における面的エネルギー利用のシステムフロー図

今回のまちづくり③
都市機能集約を通じた中心市街地のにぎわい再生

都市機能集約を通じたコンパクトシティの取り組み成果として、新規出店が増加するとともに市民活動が活発化し、中心市街地の賑わいが再生しつつあります。

また、市では市民や観光客による中心市街地の人の流れがさらに活発になるよう、EVモビリティの運行を開始しました。

小諸市が運行開始したEVバス(左)とスマートカート(ガイド付きのデマンドタクシー)

《海外事例》
住民主導のまちづくり活動と行政等が連携し持続可能な地区開発を実施|ミルベール地区(米国ペンシルベニア州ピッツバーグ市)

米国ペンシルベニア州ピッツバーグ市のミルベール地区では住民主導の草の根的な活動と行政や地域のNPOが協働して持続可能な地区開発を行っています。食料・エネルギーハブとなる施設、緊急時に避難所となる100%再エネ由来の自家発電施設、水害対策のグリーンインフラを導入しました。

ミルベール地区はかつて鉄鋼業が盛んで1万人以上が居住していましたが、1970年代以降に衰退。人口の1/3以上が食料品店から1マイル(約1.6km)離れた場所に居住する食の砂漠(Food Desert)と言われる土地でした。

2004年と2007年にはハリケーン・豪雨による大洪水を経験し、住民主導の草の根的な活動から持続可能な地区開発が開始されました。行政などの関係者との協働を公式化するために、地区スケールの持続可能な開発を推進する枠組み制度であるエコディストリクトの認証も2016年に取得しています。

具体的な取り組み内容

Millvale pivot plan
Millvale pivot plan 1.0では、エネルギー・食・水をテーマにし、それらの課題を解決する取り組みを順次実施。 Millvale pivot plan 2.0では、この3つに加え、大気、交通、公平(equity)という課題もテーマに加えました。

Millvale ecodistrict pivot plan 2.0より

①食料・エネルギーハブとなる施設を新設
ミルベール地域開発公社が、洪水で空き家となっていた市中心部の建物を取得。1階を小売店、2階をアフォーダブル住宅にし、9,000平方フィート(約836平方メートル)の太陽光パネルを導入した食料・エネルギーハブを新設しました。
また、New Sun Rising(NPO)は、食の安全や雇用に関して「Launch Millvale Program」として食のビジネスモデルの計画や資金調達戦略の作成や、食料システムモデルを解決するためのチームの創出等を12か月間実施。他のNPOや財団(Neighborhood Allies、LISC)から資金提供を受け、地区内に本社機能を移転し、20人の雇用を創出。本社内の共同キッチンでは、地域住民に向けた料理教室や地元食材の販売を実施しています。

②公共施設への太陽光パネル設置による地域のレジリエンス向上
ミルベールコミュニティ図書館は、 2007年より地域ボランティアでつくられ、2013年に完成。財団(Heinz Endowmentsなど)から支援を得て、屋上に83枚の太陽光パネル(発電量25,256kWh/年)を設置し、100%自家発電利用を実現。余剰電力は地元電力会社(Duquesne Light)に売電。さらに、隣接公共施設にも財団からの支援を得て太陽光パネルを設置。緊急時には送電網から独立して再エネ電力で運営できる避難所となります。

③洪水対策とするグリーンインフラの導入
アレゲニー川の支流であるGirty’s Runが過去に洪水を起こしたことから、この流域全ての自治体を招集し、市民サミットを開催。西ペンシルバニア保護区(NPO)の植林活動のパートナーシップで850本の植樹、バイオスウェール、レインガーデンの造成を実施しています。

日本の自治体・企業への脱炭素化の推進に関するヒント

地域団体と共にまちづくりに係る方針や手法を具体的に検討することで脱炭素化を含む複数の地域課題の解決が進む
ミルベール地区では行政が地元住民発意のまちづくり活動や地域のNPOと協働して、複数の地域課題にフォーカスした取り組み指針をつくり、地域外のNPOや財団からの協力(資金調達など)を仰ぐことで、脱炭素化を含む地域課題の解決を進めています。

ミルベール地区の街並み

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