若者が関心のないテーマでも、ショート動画なら伝えることが可能
![若者が関心のないテーマでも、ショート動画なら伝えることが可能](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fimages.microcms-assets.io%2Fassets%2F9e15dadb3dd640d093e339e00878ef94%2F9f9f38c8428545ed8579433631c53a21%2F16_jt56_bytedance.jpg&w=3840&q=75)
![ByteDance株式会社 / TikTok Japan](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fimages.microcms-assets.io%2Fassets%2F9e15dadb3dd640d093e339e00878ef94%2F3f99f5b59dcb4f56a21ea616e144dc65%2F20211129165009.jpg&w=640&q=75)
※下記は自治体通信 Vol.56(2024年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
広報・プロモーションは自治体の重要業務のひとつで、近年はWebサイトやSNS、その他プラットフォームなど、各種ツールを使った施策が行われている。そうしたなか、特に注目を集めているのが動画の活用だ。そこで『自治体通信』では、自治体の広報動画活用の可能性を探る連載記事を企画した。第3回目の今回は、昨年11月、自治体でも注目度の高い「気候変動」をテーマに、動画プラットフォームのTikTokを運用しているTikTok Japanが主催したフォーラムに着目。同フォーラムに参画した、気候変動の専門家である地球環境戦略研究機関(IGES)の藤野氏、地球温暖化防止全国ネット(JNCCA)の平田氏に、取り組みの詳細を聞いた。
![平田 裕之](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fimages.microcms-assets.io%2Fassets%2F9e15dadb3dd640d093e339e00878ef94%2F91fb0250812f409dbae87d3c83157069%2F16_%25E5%25B9%25B3%25E7%2594%25B0%2520%25E8%25A3%2595%25E4%25B9%258B.jpg&w=384&q=75)
![藤野 純一](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fimages.microcms-assets.io%2Fassets%2F9e15dadb3dd640d093e339e00878ef94%2F16c28328480946448abc3a9c9d0304f5%2F16_%25E8%2597%25A4%25E9%2587%258E%2520%25E7%25B4%2594%25E4%25B8%2580.jpg&w=384&q=75)
気候変動への取り組みは、若者へのバトンリレー
―「気候変動」をテーマにして、フォーラムを開催した目的を教えてください。
藤野 世界的な社会課題である気候変動に対して、特に若い人に関心を持ってもらうためです。
そもそも産業革命以降、地球は急激に温暖化が進んでおり、この150年で年間平均気温は1.09度も上昇しています。「それくらいたいしたことがないのでは」と思う人がいるかもしれませんが、人の体温で考えるといいかもしれません。実際に、海外では山火事や洪水がひんぱんに起こるなど、大きな被害が出ているのです。
日本でも近年、集中豪雨や河川氾濫、熱中症、一次産業への影響など少なくない被害が出ており、それらは気候変動を起因の1つとしているのです。
―そうしたなか、日本ではなにか対策を打っているのですか。
平田 国や自治体が、さまざまな取り組みを行っています。たとえば、地域地球温暖化防止活動推進センターの設置。これは、地域における気候変動の影響や緩和に関する情報を収集、整理、分析し、地域での社会実装を支援する拠点です。その情報や支援をもとに、気候変動に向けて対策を打つのが狙いです。そのほか、エネルギー消費の削減や再生可能エネルギーへの転換の推奨、EVの導入、「3R*」の推進、食ロス削減の推奨などの取り組みがあげられます。
その一方で、これから求められるのが、若い世代への啓発活動なのだと考えています。私は気候変動への取り組みは、次世代に受け継ぐ「バトンのリレー」だととらえていて、今後気候変動で大きな影響を受ける若者に、できるだけ良い状態でバトンを渡すことが重要だと考えています。しかしながら、内閣府の調査*によると、気候変動問題に「関心がある」とする回答が全世代では89.4%にのぼる一方で、18~29歳の28.5%は「関心がない」と回答したという結果が出ています。だからこそ、若い世代に気候変動への関心を持ってもらう施策が必要で、フォーラムはその良い機会だと考えたのです。
*3R : Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の総称
*内閣府の調査 : 内閣府「気候変動に関する世論調査(令和5年7月調査)」
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「クラスのみんなに話したい」という学生も
―どのようなプロセスで、フォーラムは開催されたのでしょう。
藤野 まずは、TikTokを運営しているTikTok Japanからフォーラムへの協力依頼を受けたことがきっかけでした。「若年層を中心に、気候変動に関心を持ってもらうためのフォーラムを開催したい」と。そして提案されたのは、「動画クリエイター向けワークショップの開催」「動画クリエイターによるショート動画の制作・公開」「フォーラムの開催」でした。
まず、ワークショップで私たちが動画クリエイターに対して気候変動の基本知識をレクチャーし、それをもとに各動画クリエイターがそれぞれの発想と切り口で若者向けに気候変動への関心を促す動画を制作して公開。その後、我々やそのほかの識者、動画クリエイターによる一般向けフォーラムをオンライン・オフラインで同時開催したのです。
―一連の取り組みを通じて手応えはありましたか。
平田 ある意味、「小気味の良さ」を感じましたね。我々のような専門家が教壇から一方的に伝えるのではなく、TikTokで身近に感じている動画クリエイターが若者たちと同じ視点で気候変動に関するメッセージをショート動画で「スパーン」と伝えるような感覚といいますか。後で聞くと、フォーラムに参加した学生から、「気候変動に関する内容をテーマに、明日学校でクラスのみんなに話したい」という声も寄せられたそうです。TikTokのようなショート動画には、若者が関心のないテーマでも専門家を飛び越えて伝えられる可能性があると感じました。
藤野 動画クリエイターとかかわれたのは、新鮮な体験でしたね。やはり動画クリエイターの方々は独自の感性で動画を制作するので、単に気候変動の話を受け身で聞くのではなく、「自分らしく人に伝えるにはどうしたらよいか」と、しっかり学び考えて発信するんです。だからこそ、受け手には伝わるものがあるのだと感じました。
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啓発活動を続けていくことが大事
―今回の一連の取り組みを、今後はどのように活かしていけばいいと思いますか。
平田 今回は我々にとっても初めての取り組みだったので、あくまでもスタートラインに立ったという認識です。やはり、いくら啓発しても「ふーん」で終わるケースも多いでしょうから。そういった意味では、動画クリエイターが発信したショート動画に触発されて視聴者自らがショート動画を制作・発信するようになれば、「自分ごと」として捉えるようになってくれるかもしれませんね。
藤野 たとえば、自治体が気候変動を啓発するショート動画コンテストを開催して表彰したりすれば面白いかもしれません。いずれにせよ、こうした啓発活動を続けていくことが大事ですね。
TikTokのような動画プラットフォームは海外にも拡散することが可能なので、大きな可能性を秘めていると思います。
![笠原 一英](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fimages.microcms-assets.io%2Fassets%2F9e15dadb3dd640d093e339e00878ef94%2F207ba1ef112f4865b7a31d879fa0a943%2F16_%25E7%25AC%25A0%25E5%258E%259F%2520%25E4%25B8%2580%25E8%258B%25B1.jpg&w=384&q=75)
気候変動についての啓発は、社会的にも重要な役割
―今回、専門家と一緒に気候変動に関するフォーラムを若年層向けに開催したそうですね。
はい。日本国内では、まだまだ若年層の気候変動への関心が低い傾向にあります。若年層をはじめ、幅広い世代が利用する動画プラットフォームを運営する立場として、気候変動に関する現状や課題について若年層向けに啓発することは、社会的にも重要な役割ではないかと考えたのです。そこで、専門家や動画クリエイターの方々の力を借りて、ワークショップの開催から、ショート動画の制作・発信、フォーラム開催といった一連の取り組みを行ったのです。
―動画クリエイターを起用した意図はなんですか。
若年層をはじめ、ひとりでも多くの人々に啓発したいと考えていたため、想像力豊かにわかりやすく情報発信している動画クリエイターであれば、難しいテーマでもうまく視聴者に伝えられるのではないかと考えたのです。実際、ワークショップでは、各動画クリエイターが気候変動への知識を深めようと真剣に取り組んでいたのが印象的で、期待通り、それぞれの視点でわかりやすい動画を制作してくれたと思います。
気候変動はもちろん、別のテーマにも取り組む
―実際の反響はいかがでしたか。
フォーラムの会場には、約100人に足を運んでいただきました。また、ショート動画の再生回数は14本あわせて約140万回。ユーザーからのコメントも「わかりやすく教えてくれてありがとう」など99.7%が肯定的でした。また、来場者アンケートでは、フォーラム参加後に気候変動への関心などが高まったという結果が出ており(下図参照)、参加した動画クリエイターからも「もっと気候変動について知りたくなりました」というコメントをもらえました。
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―今後、どのような取り組みを行っていきたいですか。
今回は当社としてもチャレンジングな取り組みでしたが、引き続き試行錯誤を重ねつつ、気候変動についての啓発活動を行っていきたいですね。また今後は、防災分野や教育分野など幅広いテーマも扱っていきたいと考えています。興味のある自治体の方々は、ぜひ我々と一緒に取り組んでもらいたいと思いますので、気軽にお問い合わせください。
![ByteDance株式会社 / TikTok Japan](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fimages.microcms-assets.io%2Fassets%2F9e15dadb3dd640d093e339e00878ef94%2F3f99f5b59dcb4f56a21ea616e144dc65%2F20211129165009.jpg&w=640&q=75)
設立 | 平成28年8月 |
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事業内容 | ショートムービープラットフォームTikTokの運営、B2B製品の事業展開 |
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