
※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
平成29年1月、当時28歳という若さで四條畷市の市長に就任し、話題を集めた東修平氏。就任後も、若手民間人の副市長登用や大胆な情報公開など、市政にもたらす変革の数々で注目を集め続けている。そんな同氏がいま、「行政のあり方を変える革命的なツール」と語り、自ら庁内に導入したものがある。自治体専用のチャットツールだ。このツールは自治体の現場にどのような変革をもたらすというのか。同氏に聞いた。

残された課題は、コミュニケーションの効率化
―庁内にビジネスチャットを導入した経緯を教えてください。
四條畷市は、かつて財政事情が悪化した時期があり、その影響から人口あたりの職員数がいまも大阪府内で最少です。そのため、もともと職員の生産性向上が課題にあるなかで、住民サービスの向上を追求していくためには、行政の効率化を徹底的に進める必要がありました。私が着任当初から、市長決裁における「紙による起案」を原則禁止にするなど、行政のIT化を進めてきたのはそのためです。そうしたなか、依然として課題になっていたのが、庁内コミュニケーションの効率化でした。
―どういうことでしょう。
IT化によって行政の効率化を進めるうえで、カギとなるのが庁内での情報共有や合意形成です。ここが従来の電話やメール、対面でのコミュニケーションのままだと、IT化のボトルネックになってしまう。代表的なのが上司への報告業務で、かりに課長が市長報告を行う場合、次長、部長、副市長を通さなければならず、それぞれに日程調整が必要になります。その間、もし誰かが不在であれば、さらに私への報告は遅れてしまう。わずか5分の市長報告に数日を要するケースもあるほどでした。
―そうした課題に対して、どのような対応をしてきたのですか。
民間で活用されるチャットツールを試験的に導入した過去もあるのですが、LGWAN環境では使えなかったため、機密度の高い行政情報も扱う現場では利用できないなど使い勝手が悪く、浸透しませんでした。そんななか、LGWAN環境でも使える自治体専用のビジネスチャット『LoGoチャット』が開発されたことを知り、すぐに試験導入を指示し、今年の3月から利用しています。
ITの活用は手段のひとつ、目的は行政サービスの向上
―具体的に、どのように利用されているのでしょう。
基本的にアカウントは全職員に発行し、市長・副市長や部長級、課長級といった階層別の横のグループ、担当課ごとの縦のグループを設計し、暫定的な運用ルールも私自身がつくりました。
運用に関しては、当市は全課に「ITリーダー」という役職を配置しているので、情報推進担当がITリーダーに働きかけるカタチで庁内に浸透を図っています。折しも、3月は「新型コロナ」対策が本格化した時期。庁内での情報共有の場を『LoGoチャット』に一元化し、使わざるをえない状況をつくったため、浸透は早かったですね。
―導入効果はいかがですか。
情報共有のスピードは大きく改善されたと感じています。特に、業務報告を受ける管理職の負担は大きく減ったはずです。3~4月のコロナ危機に、もしこのツールがなかったらどうなっていたか。
また、コミュニケーションの「言語化」で共通理解が醸成される効果も大きいですね。対面によるコミュニケーションでは、明確に言語化されない部分が認識の齟齬を生む原因になることも。しかし、チャットを使えば、言語化されるだけでなく、議論の経緯も簡単に振り返ることができ、共通理解がしっかりと担保されるのです。


―新しいツールを今後、どのように市政に活かしていきますか。
行政のIT化を進めるための重要ツールと位置づけ、活用を広げていきたいですね。ただし、ITの活用は手段のひとつであり、目的は行政サービスの向上にほかなりません。この目的を実現する手段として『LoGoチャット』の活用は非常に有効であり、今後の行政運営におけるスタンダードになっていくのではないでしょうか。
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