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先進事例2020.10.04

地域通貨を住民に促して「地域内消費」を活性化させる【自治体(深谷市)の取組事例】

地域通貨を住民に促して「地域内消費」を活性化させる【自治体(深谷市)の取組事例】

埼玉県深谷市の取り組み

地域通貨を住民に促して「地域内消費」を活性化させる【自治体(深谷市)の取組事例】

深谷市
産業振興部 産業ブランド推進室 室長補佐/博士(地域政策学) 福嶋 隆宏
産業ブランド推進室 岡部 輝

※下記は自治体通信 Vol.20(2019年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


地域経済の振興や課題解決のために、自治体が住民参加型の施策に取り組むには、「参加率をいかに伸ばすか」が重要になってくる。こうしたなか、深谷市(埼玉県)は、その手段として地域通貨の発行を検討し、プレミアム商品券を電子化する実証実験を行っている。取り組みの詳細を、地域通貨に着目した背景も含めて担当者に聞いた。

深谷市データ
人口:14万3,413人(令和元年8月1日現在) 世帯数:5万9,866世帯(令和元年8月1日現在) 予算規模:853億2,907万2,000円(令和元年度当初) 面積:138.37km² 概要:埼玉県北西部に位置し、東は熊谷市、南は嵐山町と寄居町、西は美里町と本庄市、北は群馬県の伊勢崎市と太田市にそれぞれ接する。ネギを中心とした農業が盛んで、平成27年度の市町村別農業産出額(推計)は県内1位、全国でも20位の生産規模を誇る。近代日本経済の父と呼ばれ、新一万円札の肖像となる渋沢栄一は、深谷市血洗島の出身。
深谷市
産業振興部 産業ブランド推進室 室長補佐/博士(地域政策学)
福嶋 隆宏ふくしま たかひろ
深谷市
産業ブランド推進室
岡部 輝おかべ ひかる

■全国の実証実験の取組まとめはコチラ

プレミアム商品券を電子化

―実証実験の概要について教えてください。

岡部 電子地域通貨の導入効果を検証するため、「ネギー」を通貨単位としたプレミアム商品券を販売しました。ネギーは当市特産品のネギをもじったもので、1ネギー=1円として、市内の加盟店で利用可能。利用者は、スマートフォン用アプリやカードの二次元バーコードを店舗用アプリで読み取ってもらい、消費できるのです。

―利用状況はいかがですか。

岡部 発行後2ヵ月で、発行額の約7割が利用されています。電子地域通貨の発行プラットフォームとして採用したツールでは、アプリかカードから好きな決済ツールを選べるので、年配の方から若年層まで幅広く、利用者にとって使いやすいカタチでサービスを提供できます。店舗側も、精算時には利用履歴データを確認して入金を待つだけと大きな手間がかからず、スムーズに導入が進みました。自治体としては、紙の商品券とくらべて発行コストを削減できたうえ、店舗情報を電子データとして管理できるようになった利点を感じています。

―そもそも地域通貨導入に着目した背景はなんですか。

福嶋 流入したお金を市内で循環させる、仕組みづくりを考えていたことです。当推進室は、農業をテーマに観光振興や企業誘致に取り組んできました。そこで、市内の店舗でのみ使える地域通貨ならば、域内の経済循環に活かせるのではと。現在は、当推進室以外の施策でも、住民参加を促す動機づけに地域通貨を活用できるとみて、他部署との連携を進めています。

―どのような連携でしょう。

福嶋 保健センターが行う、「健康マイレージ事業」との連携です。同事業は、健康増進の取り組みに参加した市民に、Tシャツといった物品を進呈するもの。しかしそれでは、生活習慣病予防を促したい若年層の関心をえられないという課題がありました。そこで今年10月からは、進呈品に地域通貨を追加。店舗で好きな商品を買える地域通貨で動機づけし、無関心層の参加を促したいと考えているのです。


加盟店を増やし、地域通貨の価値を高める

―地域通貨にかんする今後の方針を聞かせてください。

福嶋 今後は、加盟店を増やして地域通貨としての価値を高めるのと同時に、他部署への展開も広げ、さまざまな施策の相乗効果を高めていきたいです。

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