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最新の技術開発成果がもたらした 生活習慣病対策の新局面

滋賀県 の取り組み

最新の技術開発成果がもたらした 生活習慣病対策の新局面

最新の技術開発成果がもたらした 生活習慣病対策の新局面

総務部 総務事務・厚生課 課長補佐 兼 健康管理係長 河本 博行
総務部 総務事務・厚生課 健康管理係 副主幹 福山 一枝
[提供] 日本生命保険相互会社

医療の進歩とともに、平均寿命は今後もさらに延びることが予想されている。これにともなう医療費や社会保障費の増大を念頭に、政府が政策目標に掲げているのが、「健康寿命の延伸」だ。自治体レベルでも有効な施策が求められているなか、滋賀県ではいち早く、職員の生活習慣病予防に向けた取り組みを日本生命と開始している。その内容と効果について、担当者に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

滋賀県データ

人口: 141万2,875人(平成31年2月1日現在) 世帯数: 56万8,647世帯(平成31年2月1日現在) 予算規模: 8,853億4,000万円(平成30年度当初) 面積: 4,017.38km² 概要: 日本のほぼ真ん中に位置する。中央に県土の約6分の1を占める日本最大の湖・琵琶湖を抱え、周囲には緑豊かな山々や田園風景が広がる。また、交通の要衝の地でもあり、古くから文化・経済の先進地として栄えた。古刹・名刹の歴史ある寺社や戦国時代をはじめとする英傑たちの足跡、歴史情緒が残る町並みなど、奥深い歴史文化がある。国内有数を誇るこれら歴史文化資産は、いまもなお県内それぞれの地域で大切に守り伝えられている。

―職員の健康増進に向けて、滋賀県ではこれまでどのような施策を実施してきましたか。

河本 平成28年度から、「滋賀県職員版スマート ライフ プロジェクト」を推進しています。これは、「健康寿命の延伸」に向けて厚生労働省が推奨している食生活改善や運動・健診受診の促進という国民運動を県職員版にアレンジしたもの。実施から3年目を迎え、階段利用者の増加や喫煙率の減少といった成果を着実にあげています。

福山 同時に、県庁や共済組合では、「職員の健康管理」や「医療費の削減目標の設定」をするなかで、特に糖尿病予防対策には力を入れてきました。「へるすサポート教室」を立ち上げ、前年の健診から一定以上の血糖値上昇がみられた者を対象に実施していますが、参加率は十分に高かったとは言えず、課題を感じていました。そんなとき、県と包括連携協定を結ぶ日本生命から提案をいただきました。

―どのような提案でしょう。

福山 糖尿病を予防する「糖尿病予防プログラム」のトライアル事業への参加です。

河本 具体的には、最新のIoT機器や医療機器を使って、3カ月にわたってセルフモニタリングと生活習慣改善指導を行うという内容です。モニタリングでは、血糖をリアルタイムで測定できる機器を用い、モニタリング期間の最初と最後の各2週間を常時測定。そのうえで、体重や血圧、歩数による運動量も記録します。これと並行して、初回の面談は対面で行うほか、期間中は約2週間に一度、テレビ電話等を通じて保健師による遠隔保健指導を受けることで、生活習慣の改善につなげるプログラムです。検討した結果、平成30年11月から開始することを決めました。

プログラムの開発や運営には専門医や保健師が参加

―実施に踏み切った理由を教えてください。

福山 これまでの「へるすサポート教室」を補完する効果を期待したからです。ポイントはおもに4つ。ひとつは、2週間連続で血糖測定ができる医療機器の使用。リアルタイムの測定結果は、個人の行動変容につながる効果が見込まれ、保健指導にも活かせる点に魅力を感じました。次に、保健指導を遠隔で行える点。場所や時間の制約を小さくすることで、参加への心理的ハードルを下げることが期待できます。さらに、体重計、血圧計といった測定機器がスマホアプリと連動している点。これもセルフチェックに効果的です。最後に、この取り組み自体が職員の糖尿病予防に対する意識を高めてくれると期待しました。

―導入してみて、実際にどのような効果を実感していますか。

福山 具体的な測定データの集計はこれからですが、すでに参加者からは血糖のリアルタイム測定によって、「食事内容のみならず、食べ方やストレスなども血糖上昇に影響することがわかった」「ICT機器を使い、楽しみながらプログラムを続けられた」といった声が届いています。これまでの施策でも、「継続性」が課題のひとつとしてありましたので、こうした声はプログラムの大きな成果だと受け止めています。

河本 プログラムの開発や運営には、糖尿病治療で実績がある日本生命病院の医師、保健師が参加してくれています。医学的な裏づけがあることで得られる安心感も大きいですね。今回のプログラムでは、疾患予備群を対象にしたハイリスク・アプローチで一定の成果があがると期待しています。今後は、これを本来の目的である「職員全体を対象とした健康増進の底上げ」に繋げていきたいですね。


滋賀県 の取り組み

最新の技術開発成果がもたらした 生活習慣病対策の新局面

糖尿病を予防するには 医学的に有効な対策を早期に実施すべき

公益財団法人 日本生命済生会 日本生命病院 糖尿病・内分泌センター長代行 総合内科担当部長 予防医学センター担当部長 住谷 哲 / 支援自治体:滋賀県
[提供] 日本生命保険相互会社

滋賀県で実施した日本生命の「糖尿病予防プログラム」。医学的な観点からこのプログラムの開発を支援し、運営にも携わっているのが、糖尿病の治療・予防で多くの実績と知見を重ねてきた日本生命病院だ。プログラムにはどのような効果が期待できるのか。糖尿病・内分泌センター長代行の住谷氏に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

臨床試験ではさまざまな指標で改善効果を確認

―「糖尿病予防プログラム」開発のポイントを教えてください。

 最新の開発成果が導入された点が大きく2つあります。ひとつは、『FreeStyleリブレ』という測定機器を採用することで、2週間にわたりリアルタイムで血糖のモニタリングが可能になったこと。体内の間質液から血糖を測定するしくみで、まったく痛みを感じることなく、24時間血糖の変化を確認できます。従来は1日数回、針で指先を穿刺(せんし)して測定するしかありませんでした。いわば測定データが点から線になり、血糖の「見える化」が可能になったことで、患者さんの病状把握や保健指導の精度を上げることができます。

―もうひとつのポイントとはなんでしょう。

 ICTを活用し、テレビ電話などでの遠隔保健指導を導入していることです。利用者は場所や時間といった制約を感じることなく、当病院の保健師による保健指導が遠隔で受けられます。しかも、保健師は事前にICTで繋がった機器から各種測定データを取得したうえで保健指導が行えます。

―医学的な観点から有効性は確認できますか。

 日本生命の職員を対象とした臨床試験では、統計上有意な効果が確認されています。糖尿病診断の基準値となるHbA1cや血糖値、体重や腹囲といった指標をプログラム前後で比較した結果、すべての項目で改善効果が見られました。この研究結果は後日、日本糖尿病学会でも発表する予定ですが、プログラムの医学的効果を証明するものといえるでしょう。

―健康増進に関心がある自治体職員にアドバイスをお願いします。

 現在、糖尿病患者は全国で約1000万人といわれますが、それと同数以上の予備群がいると推定されています。これら予備群の方々が糖尿病に進行する原因の多くが、病気に対する認識の不足。糖尿病は自覚症状がないため、ついつい予防対策や治療を後回しにしてしまうのです。しかし、実は多くの深刻な合併症を引き起こす恐ろしい病気です。ただし、生活習慣による長い蓄積がもたらす病気ですから、発症や進行を止めることはできる。予防が早いほど労力も少なくて済みます。早期の予防対策を強くお勧めします。

住谷 哲(すみたに さとる)プロフィール

昭和35年、大阪府生まれ。昭和61年、大阪大学医学部卒業、平成6年、トロント大学留学、平成19年、日生病院予防医学センター副部長、平成29年より現職。

公益財団法人 日本生命済生会 日本生命病院

開院 昭和6年6月
病床数 350床
診療科数 27診療科
従業員数 531人(うち医師109人)(平成31年3月現在)
URL https://www.nissay-hp.or.jp

滋賀県の取り組み

最新の技術開発成果がもたらした 生活習慣病対策の新局面

地域住民の方にもご利用いただけるプログラムを目指して

日本生命保険相互会社 営業企画部 ヘルスケア事業 開発担当部長 須永 康資・開発担当課長 前田 健次 / 支援自治体:滋賀県
[提供] 日本生命保険相互会社

※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―「糖尿病予防プログラム」の開発経緯を教えてください。

須永 当社はこれまで、約30の自治体と包括連携協定を結び、保険会社として課題解決を支援してきました。そのなかで、多くの自治体が職員を含めた地域住民の健康増進に課題を感じています。  特に糖尿病は早期の対策が必要な重要疾患のひとつ。そこで日本生命病院の知見も活かし、予防プログラムを開発しました。

―プログラムの特徴はどこにありますか。

前田 最大の特徴は、ICTの成果を最大限に活用しながらも、「保健指導は画面を通じて保健師が親身に行う」といった、アナログ的な対応も組み合わせている点です。「利便性」のみならず、従来の予防対策で課題となっていた「継続性」も高まることが期待できます。

―今後、どのように自治体を支援していきますか。

須永 今回トライアル事業を進めている滋賀県以外にも、現在複数の自治体でトライアル事業が進行中です。なかには、地域住民の方を対象にしたトライアル事業も予定しています。 前田 県庁職員のみならず、地域住民の方にも幅広

須永 康資(すなが やすし)プロフィール

群馬県生まれ。平成16年、日本生命保険相互会社に入社。平成28年から現職。

前田 健次(まえだ けんじ)プロフィール

香川県生まれ。平成20年、日本生命保険相互会社に入社。平成29年から現職。

日本生命保険相互会社

創立 明治22年7月
従業員数 7万1,871人(うち内勤職員1万9,515人)
事業内容 生命保険業、付随業務・その他の業務
URL https://www.nissay.co.jp/
お問い合わせ電話番号 0120-201-021
(月~金 9:00~18:00、土 9:00~17:00 祝日・12/31~1/3を除く)