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福岡県北九州市 の取り組み

約2年で10社が本社機能を移転、NPO法人の子育て環境調査「次世代 育成環境ランキング」では6年連続で政令指定都市1位を獲得

申請があってから動く「申請主義」ではなく、
事前に働きかける「出前主義」が大事です

北九州市長 北橋 健治

官営八幡製鐵所の❝鉄❞や筑豊エリアの❝石炭❞を背景に、重工業の中心都市として日本の近代化を牽引してきた北九州市。近年は、その恵まれた立地・人材環境を活かし、環境分野での先進的な取り組みを始め、これまでとは異なったアプローチでの「魅力づくり」を急速に進めつつある。平成19年の就任以来、さまざまな取り組みを進めてきた市長の北橋氏に、その詳細を聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.12(2018年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

ゆかりのある企業にしぼってトップセールスを実行

―近年、北九州市は企業誘致を積極的に行っていますね。

 ええ。平成26年に政府が策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、首都圏から地方への本社機能の移転促進がうたわれています。ただ、実際は本社機能が移転した例は全国的にもまだ少ない状況です。そのなかで当市は、平成27年10月からの約2年間で10社の本社機能やマザー工場などの移転・拡充に成功してきました。

 具体的な施策としては、国の税制優遇策にくわえて、当市独自のインセンティブ「本社機能等移転促進補助金」を策定。これは新規雇用者数に応じて設備投資額の最大33%を助成するほか、雇用形態に応じて雇用補助金を交付するというもの。また補助金制度のみに頼るのではなく、当市にゆかりのある企業に的をしぼってトップセールスを行うなど、誘致成功率を高める工夫をしています。

―本社機能やマザー工場などの誘致を進めるにあたり、どのようなPRをしているのでしょう。

 ひとつは、工業都市として発展してきたという当市の成り立ち上、理工系の人材が非常に多いという点です。たとえば市内に本社を置くTOTOは、原料となる石炭の産地に近いことから誕生した企業ですし、安川電機は石炭関連の機械を源流に、産業ロボットメーカーへと飛躍を遂げました。こうした背景のもと、市内には高専や大学など理工系の人材を育成するシステムが整えられてきたのです。

 また、平成28年に開通した東九州自動車道も大きな追い風に。これにより、北九州と大分・宮崎間の物流網が飛躍的に改善されました。北九州にはフェリー港や24時間空港があるので、沿線の優れた工業製品や農産物の集積が始まっています。元々石炭や鉄の輸送で整備されてきた物流インフラが、東九州自動車道の開通で再び脚光を浴びているのです。

ネットワークを構築し創業・ベンチャーをサポート

―市内の法人数を増やすには、創業支援も重要になりますね。

 そのとおりです。当市では創業・ベンチャー支援を、極めて重要な戦略として位置づけています。キーワードは「まちぐるみの創業支援」。起業を行いやすい環境づくりの一環として、産官学に地元の金融機関もくわえた人的ネットワーク「北九州スタートアップネットワークの会」を平成27年に設立しました。会員数は今年1月時点で695人。起業に興味のある方は誰でも入会でき、定期的な交流機会を通じて、法律・融資にかんする相談や先輩起業家からのアドバイスを受けられます。また、地元の教育機関と連携協定を締結。北九州高専にある高機能な精密加工機械を使って試作品づくりができたり、西日本工業大学からデザイン面での支援を受けられるなどの支援制度も拡充させてきました。

―創業支援でほかに重視していることはありますか。

 女性の創業支援にも力をいれています。平成29年に、市内の企業や女性の経営者などが中心となって「ひなの会」を設立。成長する志のある女性創業者・経営者を掘り起こし、事業の拡大や発展を支援するのがおもな目的です。各種セミナーのほか、ビジネスプランコンテストを開催するなど、新たな事業展開を考える女性創業者・経営者の育成支援に取り組み始めたところです。

 今後も創業の機運をさらに高め、アイデアをビジネスにつなげられるような「寄り添う支援」を進めていきたいと考えています。

女性の意見を取り入れた子育てしやすいまちづくりを

―女性支援という点では、働く女性も含めた「子育て支援」でも注目されています。NPO法人による「次世代育成環境ランキング」では、ここ12年のうち11年で政令指定都市1位を獲得しました。

 私が11年前に市長に就任した際、1期目の目標として「放課後児童クラブの全児童化」を掲げました。これは放課後児童クラブへの入所を希望する児童はすべて受け入れるというもので、積極的に予算を割いて実現へとこぎつけました。

 また、政令指定都市では初めて、民間事業と連携して、市内のショッピングセンターなどにオムツ替えや授乳ができるスペースを確保した「赤ちゃんの駅」を開始。この「赤ちゃんの駅」は、ほかの自治体へも広がりつつあります。

 さらに、0歳児から未就学のお子さんまでが安心して遊べる施設の存在も当市の特長です。小倉(東部)に「子育てふれあい交流プラザ」、八幡(西部)に「子どもの館」という市立施設があり、専門家監修の遊具や子育てにかんする相談窓口も設置。これらは全国的に知名度も高まりつつあり、「子育てしやすいまち北九州」のシンボル的存在となっています。

―子育て施策のアイデアは、どのように出てくるのでしょう。

 女性の積極的な行政への登用です。市や教育委員会が施策を形成するうえで、「附属機関」などは行政に市民の意見を反映させるなどの意義を有しています。私が市長に就任した当初、附属機関などにおける女性の割合は3割程度でした。そこで、女性の割合を高めるための取り組みを積極的に行い、平成29年7月には全国の政令指定都市で初めて50%を超えました。

 また、これまで女性の就業支援は、国・県・市がそれぞれ別の場所で行っていました。しかし「これでは不便だ」ということから、国・県と連携して、女性が働くことをワンストップで支援する「ウーマンワークカフェ北九州」も当市の提案で一昨年より始めています。

市民や各界とのコラボレーションを重視

―北橋さんが行政を行ううえで大切にしていることはなんですか。

「市民や各界とのコラボレーションを重視すること」です。これまで話した取り組みや、防犯、防災、高齢者・子どもの見守りなど、どれも行政が単独で行うのは難しい。やはり自治会、まちづくり協議会、NPO法人などの地域や民間との連携が重要です。

 とくに防災面では、市民が主体となった防災計画づくりに専門家を派遣して支援する「みんな de Bousaiまちづくり推進事業」を開始。また、高齢者をはじめ、支援が必要な方の見守りに対しては、郵便局や電力会社などと連携し「北九州市いのちをつなぐネットワーク」を構築しています。これにより実際に一命をとりとめた方もいるので、今後も絆を強めていきたいです。

 当市は、申請があってから役所が動く「申請主義」ではなく、事前に働きかけを行う「出前主義」を大切にしてきました。そういう意味でも、今後は「環境のまち」「ものづくりのまち」といった当市の魅力を行政がしっかりと内外に発信し、市民に誇りを感じてもらえるようにしていきたいですね。

北橋 健治(きたはし けんじ)プロフィール

昭和28年、兵庫県生まれ。東京大学法学部卒。33歳のときに家族、本籍ともに北九州市に移り、以来30年以上にわたり同市での生活を続ける。衆議院議員として6期を務めたのち、平成19年2月に北九州市長に就任。平成26年には民間企業の先頭に立って子育て支援施策を進めるべく「イクボス」(部下の育児参加に理解がある経営者・上司のこと)を宣言。同氏の意見に賛同した市役所内の管理職全員も同時に署名したことで、全国的に話題となった。

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