【全天候型遊び場・子育て】地域色あふれる遊び場づくりが、まちに「にぎわい」を呼ぶ起爆剤に
(あそび空間コンサルティング / ジャクエツ)


※下記は自治体通信 Vol.75(2026年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
全国の多くの自治体が地域の活性化を目指して、さまざまな施策を推進している。そうしたなか、大野市(福井県)では、子どもの全天候型遊び場を中心市街地に整備。地域の魅力を発信し、人と人の交流を促す工夫によって、市内外から多くの利用者を集め、まちの「にぎわい」につなげている。この取り組みの経緯や成果について、同市の担当者2人に聞いた。


子どもの遊び場にとどまらず、人と人のつながりを創出する
―子どもの遊び場を整備した経緯を教えてください。
山崎 住民に対する「子ども・子育て支援事業計画」のニーズ調査で「子どもを遊ばせられる場所が少ない」との声が多かったことが背景にあります。当市は豪雪地帯でもあり、野外で遊ぶには恵まれていない面があります。そうしたなか、県が全17市町に最大1億円を補助して全天候型遊び場を整備する方針を示し、取り組み推進のきっかけになりました。財政面を考慮して既存施設を活用し、社会体育などで利用されていた体育館を改修して整備しました。整備にあたり目指したのは、地域の魅力を体感できる場として、子どもの郷土愛を育み、地元に誇りを持ってもらうことでした。また、からだ全体をつかって遊べるなど、屋外と遜色ない遊びを体験できる施設を目指しました。
―整備はどのように進めていったのですか。
山崎 開業時点で運営に万全を期するため、計画段階からプロポーザル方式で、施設運営に携わる指定管理予定者を決めました。そのなかで「大野の魅力を体感できる遊び場」というコンセプトに合致したジャクエツの提案を採用し、指定管理予定者に選定しました。
岡 同社が空間デザインから担当したことで、市の史跡や名所がモチーフになった大型遊具などを設置しました。たとえば、空中にネットを張った遊具は雲海に浮かぶ越前大野城、ボールプールは湧水地の御清水(おしょうず)のイメージです。それに加えて、遊びに夢中の子どもがすぐにトイレへ駆け込めるようにする導線など、専門家ならではの提案がありました。ここでしか遊ぶことができない遊具と、安全・安心に遊ばせられる環境を整えて、令和7年1月、「おおの天空パークOSORA」をオープンしました。
―どのような成果を実感していますか。
岡 乳児・幼児連れの親同士の交流を「パークサポーター」と呼ばれる運営スタッフが促してくれるおかげで、見知らぬ人同士のつながりが生まれています。また、地元音楽家のコンサート、シニア向けの絵手紙づくりなど、地域と連携したワークショップや展示も企画・開催し、世代を問わず、多くの人が集まる場所となっています。毎日のように通ってくれる子どももいます。施設近隣の住民も「子どもが元気に遊ぶ声が聞こえる」と設置を好意的に受け止めてくれています。「孫を連れてこられる場所ができた」と喜ぶ年配者の声もありました。開業から令和8年3月末までに利用者は市内2万3,390人、市外5万1,011人の計7万4,401人を数えました。市外からの利用者の多さは想定以上で、この施設から、まちの新たな魅力を発信できたと感じています。
地域の史跡・名所へと導く、まちなか散策の起点にも
―今後の展望を教えてください。
山崎 当市では、地域全体で子育てを応援していこうというコンセプトのもと、さまざまな施策を実行しています。幅広い世代が集まって交流する「おおの天空パークOSORA」は、そのコンセプトを体現している施設といえます。今後は利用者により長く滞在してもらえるように、昼食が取れる飲食店舗なども充実させていきたいと考えています。
岡 中心市街地に立地するメリットを活かし、ここを起点にまちなか散策につながることを期待しています。史跡・名所などを訪れてもらうきっかけにしてもらうなど、当市の魅力を発信し、地域への愛着が生まれる拠点に進化させ、さらなる地域活性化につなげていきたいと思います。

ここまでは、子どもの遊び場の整備を地域活性化につなげた大野市の事例を紹介した。ここでは、同市を含む県内17市町の遊び場の整備に最大1億円までを補助する福井県の担当者を取材。取り組みの狙いなどを聞いた。

子育て支援策への注力で、移住・定住を促進する
―福井県が、子どもの遊び場づくりを支援している理由を教えてください。
当県では、若者が流出し戻ってくる人が少ない現状に対する強い危機感があり、人口減少に歯止めをかけるべく、移住・定住を促進する狙いから子育て支援体制を強化しています。そのため、さまざまな施策を検討・実行しており、遊び場の整備もその一環です。各市町に、地域の子育て支援のシンボルとなるような個性ある場所が設けられれば、子どもを核に両親・祖父母といった人も集まります。そうして、地域住民の交流を活発化してコミュニティの形成を図り、多くの人でにぎわう場所に発展していくことが理想です。
―遊び場を整備することに、どのような効果を期待しますか。
地域ごとの特色がある遊び場が県内の全市町に設置されることによって、まずは地域の人が利用し、地元に愛着を持ってもらうとともに、「来週はとなりの町にある遊び場に行ってみよう」といった相互作用が生まれることも期待しています。実際、県内の子育て世帯を対象とした調査では、全天候型遊び場の整備に対する評価が年々、高くなってきています。取り組みを市町とともに推進している成果の表れだと感じています。

各市町で特色ある施設の整備が進められている
―今後のまちづくりについて展望を聞かせてください。
いま、各市町で地域の子育て世帯を想定し、それぞれ特色ある施設をつくり、立地や遊具の選定なども、住民の意見をしっかり聞いて整備が進められている手応えがあります。今後は、全天候型遊び場を人が集まる地域の拠点として、市内・町内の公園や児童館といった施設とも連動してより多くの人が集まる施策を検討できればと思います。子どもが楽しいだけでなく、保護者同士が「井戸端会議」などで盛り上がるような、大人も行きたくなる施設を増やしていきたいと考えています。
ここまで、遊び場の整備で地域を活性化させた自治体の取り組みを紹介してきた。大野市をはじめ福井県内の各市町や、全国の自治体と連携し、遊び場づくりを起点とした「にぎわい」の創出を支援しているのがジャクエツだ。企画から運営まで一貫して携わる同社の赤石氏に、地域活性化につながる施設づくりのあり方を聞いた。

―子どもの遊び場づくりを通して地域活性化を図る動きは、広がっているのでしょうか。
はい、広がっています。近年は酷暑への対策としても全天候型遊び場へのニーズが高まっており、さまざまな施設と複合して、まちなかに整備されるケースも増えているのです。たくさんの子どもたちの利用があることはもちろん、遊び場を中心に利用者同士の交流や新たなコミュニティが生まれることこそが、地域の「にぎわい」の本質だと考えられます。そのために、周辺施設との連動を図りながら、人と人がつながる場を、いかに計画するかが問われています。社会全体で地域の未来を担う子どもたちを育む環境をつくるという視点を持つことが重要です。子どもを「まんなか」に置きながら、多世代が集まり、多様な人が過ごせる、年齢、障がいの有無、国籍などにかかわらない、みんなの居場所をデザインすることが求められています。
―具体的には、どのような取り組みが有効ですか。
ハードとソフトの両面から、その地域ならではの遊び場を具現化していくことが有効です。たとえば当社では、遊び場の企画・設計・製作・施工・運営管理までを一貫して手がけています。そのために、企画段階からオープン後の運営までを見据え、地域の利用者目線に立った設計が可能なのです。ハード面では、国内の自社工場と建築設計チームが連携して、地域色を反映したオーダーメイド遊具の製作や、建築空間と遊具が融合した全天候型遊び場の設計をしています。一方、ソフト面では、運営管理事業として地域のシニアや学生、アーティストなどが参加するイベントやワークショップなどを企画開催しており、そういった取り組みによって、子どもたちに新たな体験の機会も提供しています。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
わたしたちは全国に拠点を置き、それぞれの地域課題に寄り添った提案を行っています。そうした取り組みを通じて、遊び場を核としたコミュニティの形成が、地域に新たな活力をもたらし、持続的な発展の礎となることを目指しています。一貫したプロジェクト支援が可能ですので、ぜひ、検討段階からご相談ください。

| 設立 | 昭和24年1月 |
|---|---|
| 資本金 | 9,000万円 |
| 売上高 | 169億8,380万円(令和7年7月期) |
| 従業員数 | 619人(令和8年4月1日現在:連結) |
| 事業内容 | コンサルティング事業、空間・街づくり事業、教育サポート事業 |
| URL |

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