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北海道上川町の取り組み
先進事例2025.06.02
スポーツを通じた地域活性化

【スポーツ・地域活性化】住民が熱中するスポーツ大会開催で、一過性で終わらない施策が見通せた
スポーツイベントの企画運営 / ミズノ

[提供] ミズノ株式会社
【スポーツ・地域活性化】住民が熱中するスポーツ大会開催で、一過性で終わらない施策が見通せた(スポーツイベントの企画運営 / ミズノ)
この記事の配信元
ミズノ株式会社
ミズノ株式会社

※下記は自治体通信 Vol.66(2025年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

住民の健康増進や交流促進などを図るための施策として、スポーツイベントを実施する自治体は多い。その実施に当たっては、「1度開催して終わり」ではなく、地域課題の解決策の手段として地元に根づかせることが重要だ。そうしたなか、上川町(北海道)では、住民が主体的に参加するスポーツ大会を開催し、継続して行っていく手応えを感じている。同町長の西木氏に、取り組みの詳細とその成果などを聞いた。

[上川町] ■人口:3,034人(令和7年3月末日現在) ■世帯数:1,859世帯(令和7年3月末日現在) ■予算規模:86億6,167万2,000円(令和7年度当初) ■面積:1,049.47km² ■概要:北海道のほぼ中央に広がる、日本最大級の山岳自然公園「大雪山国立公園」の北方部に位置している。今もなお、原始の面影を残す大雪山連峰の自然を背景に、北海道第一の河川、石狩川の清流にも恵まれている。おもな産業は農業、林業、そして観光業で、年間200万人が訪れる層雲峡温泉をはじめとする3つの温泉郷を有している。町おこしの一環としてPRしている、ご当地グルメ「上川ラーメン」が人気。
インタビュー
 西木 光英
上川町
町長
西木 光英にしき みつひで

地域活性化策として、スポーツイベントを模索

―上川町がスポーツ大会を開催した経緯を教えてください。

 当町は人口3,000人あまりの小規模自治体で、過疎化が進んでいます。そうしたなか、住民が笑顔・元気になれるような地域活性化策として、「なにかスポーツイベントが開催できないか」という話が庁内であがってきたのです。というのも、当町は「少子化で子どもたちがチームスポーツを経験する機会が減っている」「冬は大雪のため、できるスポーツが限られている」「世代間・地域間で交流する機会が少ない」という地域課題を抱えており、それらも解決したいという想いもあったのです。スポーツイベントの構想に関しては、まずは関係者を通じてミズノ社に相談することにしました。

―なぜ、ミズノ社に相談したのでしょうか。

 スポーツメーカーとして有名なほか、スポーツイベントを通じた地域課題の解決にも取り組んでいることから、ぜひ一緒になって課題解決の協力を仰ぎたいと考えたのです。そこで、当町の地域課題も含めて相談したところ、同社から提案されたのが「Baseball5*(以下、B5)」大会の開催でした。当町では昔から野球が人気で、この競技なら野球との親和性が高く、少人数かつ冬でも体育館で開催でき、「住民にも受け入れられやすいのでは」とのことでした。そこで、昨年5月に同社の協力を得て、当町の野球少年団や職員、地域おこし協力隊の人などを集めて体験会を実施したのです。すると、「難しくなくて面白い」と評判で、スムーズに話が進み、昨年12月にB5の大会を当町で開催したのです。

*Baseball5 : 世界野球ソフトボール連盟が推進する新しい競技。男女混合5人制、5イニング制で、バットとグローブを使わず、ゴムボールを手打ちするなど独自ルールがあり、世界中に普及しつつある

予想以上の盛況につながり、第2回も開催予定

―成果はいかがでしたか。

 真剣勝負のオフィシャルカップと、世代間の交流目的のファミリーカップの2種を開催し、計29チーム、ギャラリーも含め300人以上の老若男女が、雪が降るなか、体育館に来場してくれました。町内はもちろん、近隣自治体や首都圏からも参加者があり、予想以上に盛況でした。また、当町は「上川ラーメン」が有名ですが、地元のラーメン組合の協力を得て来場者全員に割引券を配ったところ、各店舗が満員になり、関係人口に加えて経済効果も生まれました。

―改めて、スポーツ大会の開催にどのような価値を感じていますか。

 大会では試合に加え、スピードガンコンテストなどのコンテンツやB5の日本代表選手の参加もあり、より多くの盛況につながりました。それも、ミズノ社の協力と住民の熱量がうまく混ざり合ったからこそです。また、同社はワークショップを通じてB5大会開催の意義を住民に伝えてくれました。結果、準備も含めて住民が主体的に熱中できるイベントになりました。すでに第2回の開催も予定しており、一過性で終わらない施策として見通せています。

支援企業の視点
スポーツの楽しさや開催する意義を、まずは住民に浸透させることが重要
インタビュー
城坂 知宏
ミズノ株式会社
総合企画室 コトビジネス推進担当
城坂 知宏じょうさか ともひろ
昭和61年、大阪府生まれ。平成22年に立命館大学を卒業後、ミズノ株式会社へ入社。スポーツ庁出向などを経て、現在は総合企画室において、「コトビジネス業務」の推進を担当している。

―自治体がスポーツイベントを開催するうえでのポイントはなんでしょう。

 1回開催して終わりではなく、2回、3回と継続し、地元イベントとして定着させることです。健康寿命の延伸や世代間の交流といった地域課題の解決に向けて、スポーツイベントを開催する自治体は多いですが、単発では効果は限定的です。継続するには、自治体職員に加え、住民にもスポーツイベントを開催する本質的な目的を理解してもらったうえで、地域全体を巻き込んでいく必要があります。なにより、住民が楽しめなければ浸透しませんから。その点、当社では、スポーツイベントの開催にとどまらない支援を行っています。

―具体的に教えてください。

 まず自治体に対し、スポーツイベントの開催で解決したい地域課題をヒアリングします。そして、地域が持つ特性や住民の嗜好などを総合的に判断したうえで、適切なスポーツイベントを提案します。その後、体験会やワークショップを通じて、実際に楽しんでもらいつつ、イベント開催の意義や目的を共通認識として住民に浸透させるのです。結果、住民主体のスポーツイベントとして取り組んでもらうことを促しつつ、必要なコンテンツを当社のリソースやネットワークから提供するのです。

―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 当社には、スポーツの振興を通じて社会に貢献したいという想いがあり、自治体が持つ地域課題の解決も支援したいと考えています。何かにお困りの際は、気軽にお声がけください。

ミズノ株式会社
ミズノ株式会社
創業

明治39年4月

資本金

261億3,700万円(令和6年3月31日現在)

従業員数

3,584人(連結:令和6年3月31日現在)

事業内容

スポーツ品の製造および販売、スポーツ施設の運営、各種スクール事業など

URL

https://www.mizuno.jp/

お問い合わせ先
06-6614-8301(平日 10:00〜17:00)
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