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《コロナ禍でも“カイゼンの灯”は消えず!》帰ってきたカイゼン・サミット2022in中野

    《コロナ禍でも“カイゼンの灯”は消えず!》帰ってきたカイゼン・サミット2022in中野

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    中野カイゼン・サミット2022 実行委員会・立石 孝裕(尼崎市 職員)

    冬の寒さもすっかり緩み、今年はいつもと違う春になりそうです。否、“いつも通り”を取り戻す春、と言うべきでしょうか。それは自治体も同じで、コロナ禍の3年間、中止・順延を余儀なくされた自治体関連イベントや自治体職員向け勉強会・研究会等を対面形式で開催する動きが少しずつ広がっています。3月24~25日に開催される「全国都市改善改革実践事例発表会」(以下、全国大会)と「カイゼン・サミット」もそのひとつ。コロナ禍の3年間、多様かつ複雑な新しい社会課題が浮上しており、自治体の業務改善の取り組みの重要性はますます高まっています。ここでは「中野カイゼン・サミット2022 実行委員会」の立石 孝裕さん(尼崎市 職員)にカイゼン・サミットの特色や再開の想い等を寄稿してもらいました。今回の全国大会を運営する中野区の担当者にも話を聞きました。

    「全国大会」「カイゼン・サミット」とは?

    新型コロナウイルス感染症の拡大により休止となっていた全国大会が令和5年3月24日(金)、3年ぶりに東京都中野区「なかのZERO 大ホール」で開催されます。

    地方自治体業務改善運動は自治体版QC活動ともいわれ、企画や総務、行革部門からの指示命令ではなく、現場の職員自らが業務を見直し、創意や工夫改善策を考え、無理・無駄・ムラの削除、業務の効率化、市民協働の実践、新たな手法の開発などに取り組むものです。

    業務改善運動に取り組む自治体の多くはその年度に成果をあげた職場を表彰しています。全国大会はその優秀事例を一堂に集め、自治体職員間で共有、共感し、互いに高めあい、共鳴を起こそうと2006(平成18)年度に山形市が始めました。

    初回の山形大会に参加した地方自治体数は9団体だったものが年数を経るごとに数が増えました。大会が盛り上がるのは喜ばしいものの、発表を聞いて帰るだけでは、もったいない。そこで「参加職員同士が感想を述べあったり、取組の秘訣や苦労話を聞いたりできる機会があるともっと良くなるのではないか」と、全国大会を開催した自治体の担当者間で企画し、開催したのがカイゼン・サミットです。

    カイゼン・サミットはアンオフィシャルな自治体職員有志による会合で、第5回の北上大会以降、原則として全国大会の翌日に開催しています。今年は3月25日(土)に、中野区役所で開催します

    ◎ 全国大会は中野区で2度目の開催 ◎

    ペーパーレス、メタバース
    カイゼン・サミットの前日に行われる第15回全国大会も、コロナ禍でも絶えることがなかった“改善のアツイ情熱”が感じられる対面イベントになりそうです。
    「たとえばペーパーレス。紙のパンフレットはつくらず、スマホからQRコードを読み取れば発表概要がわかるデジタルパンフを導入しました。各賞を決める参加者の投票もペーパーレス。スマホで実施します」(第15回全国大会の運営を担当する中野区 総務部職員課の石橋 一彦 人材育成担当課長)
    また、メタバース(*脚注参照)にも取り組み、仮想空間にアバターで入って発表自治体の紹介資料や発表事例の概要などを閲覧できるようにもするそうです(3月末日まで公開予定)。
    「本格的なメタバースではありませんが、参加者のみなさんに自治体DXの動きを感じてもらえたらうれしいですね」(運営メンバーの中野区 総務部職員課 人材育成係の奥山 惇人さん)

    *メタバース環境へのアクセス及び利用方法は中野区ホームページ「『第15回全国都市改善改革実践事例発表会』を開催します!」を参照

    中野区 総務部職員課の石橋 一彦 人材育成課長(右)と同人材育成係の奥山 惇人さん(左)。背景は第15回全国大会ポスターのデザイン画

    4つの各賞を用意
    中野区で全国大会が行われるのは13年振り、2度目。発表自治体は全17団体。「優秀賞」のほか、会場投票で選ぶ「発想が柔軟で賞」「発表がユニークで賞」、コメンテーターが選定する「コメンテーター賞」の4つの各賞が用意されています。講評などを行うコメンテーターは、酒井 直人(中野区長)、宮脇 淳(北海道大学 名誉教授)、佐藤 郁(明治大学 専任講師)、十文字 則人(株式会社友和 取締役)、藤中 伸紀(日本マイクロソフト株式会社 デザインジャパン推進室 室長)の各氏が務めます。

    発表自治体と発表タイトル一覧(※発表自治体や内容は、変更する可能性があります)。全国大会は、3月24日(金)13時から17時15分まで(開場は12時30分)「なかのZERO 大ホール」(東京都中野区中野2-9-7 )で開催

    力作ポスターも中野区職員が制作
    「改船(KAIZEN)再出航」という力強いキャッチコピーが目に飛び込んでくる大会ポスター(下画像)は、中野区の職員が制作しました。

    第15回全国大会ポスター(上)と、これまでの全国大会開催自治体一覧

    対面イベント再開の喜び、新たなスタートを切る覚悟、アフターコロナに対応する新しい社会づくりを目指す「改善という船」に全国の自治体職員の仲間が乗船している、というメッセージが伝わってくる迫力のデザインです。
    「運営スタッフは、職員課を中心に、庁内横断でさまざまな部署から集まった全15名のメンバー。本当に開催するのか、できるのか。ギリギリまで見通せない状況でしたが、それでも“できる限りの準備はしっかり行おう”と、1年間の準備期間中、士気が下がることはありませんでした。メンバーの苦労が実を結ぶよう、全国大会の成功を目指して準備を進めています」(石橋課長)
    会場での観覧のほかオンラインでも参加可能。参加希望者は、中野区 職員課人材育成係(03-3228-8897)まで。

    コロナ禍のオンライン版サミットに全国から延べ400人以上が参加

    カイゼン・サミットの主催は、全国大会開催地の周辺の自治体職員が応援を兼ねて開催することが多く、前回(第14回)の丹波篠山大会では、同じ兵庫県内の尼崎市から約10名の職員が乗り込み、大会運営のお手伝いをさせていただきました。

    ただ、今回は少し様子が違いました。令和2年度に中野区で開催予定だった全国大会が早々に2年延期されることになり、地方自治体業務改善運動がこのまま忘れ去られるのではないかとの危機感から、地方自治体業務改善運動の発祥地、福岡市の吉村慎一さんらが発起人となり、自治体業務改善運動ファンの自治体職員有志を募って「令和4年度までカイゼンの火を消さない実行委員会」を結成。「コロナ禍でもなにかできることはないか」と何度も議論を重ね、全国大会が延期されていたこの2年間、オンライン版のカイゼン・サミットを開催することにしたのです。

    オンライン版カイゼン・サミットは全国大会の代わりに、その年度の自治体業務改善運動に参加した自治体が優秀事例を発表したほか、2020(令和2)年度は福岡市の*DNA運動(脚注参照)を始められた山崎 広太郎・元市長に、2021(令和3)年度には2番目に全国大会開催を引き受けた尼崎市の白井 文・元市長にも登場いただくなど、これまでの自治体業務改善運動の歴史を振り返るカイゼン・サミットになりました。

    *DNA運動:福岡市役所が「自治体の体質を遺伝子レベルから変えよう」という意図に基づいて2000年に始めたTQC(Total Quality Control=統合的品質管理、全社的品質管理)の取り組み。Dは「できる、からはじめよう」、Nは「納得できる仕事をする」、Aは「遊び心を忘れずに」という意味がある。
    福岡市役所のこの取り組みは全国に波及し、「カイゼン甲子園」(大阪市役所)、「ハマリバ収穫祭」(横浜市役所)、「なごやカップ」(名古屋市役所)、「元気の種コレクション」(札幌市役所)、「はながさ☆ぐらんぷり」(山形市役所)、「ChaChaChaグランプリ」(富士市役所)、「きたかみPing!Pong!Pang!運動」(北上市役所)、「YAAるぞカップ」(尼崎市役所)など、多くの自治体が追随した。

    全4回のオンライン版サミットの参加者数は延べ418人に達し、「コロナ禍でも改善は止まらない」ことが証明されたと思います。オンライン版カイゼン・サミットはYouTubeでアーカイブを公開しています。是非、ご視聴ください!

    《オンライン版 カイゼン・サミットのアーカイブ》
    ※サムネイル画像をクリック・タップすると視聴できます。
    • ①2020(令和2)年12月:カイゼン・サミット2020
      ~DNA運動から20年目のクリスマスプレゼント!


    • ②2021(令和3)年2月:カイゼン・サミット2020 DNA特番!カイゼン運動の“はじまり”から“その後”までを目撃せよ!
      〜紆余曲折のストーリーを語り尽くすひととき〜


    • ③2021(令和3)年3月:カイゼン・サミット2020 カイゼン・ヒストリー
      ~コロナでカイゼンを止めるな!  今こそ創意工夫の火を起こそう~


    • ④2022(令和4)年2月:カイゼン・サミット2021【オンラインDX版】
      ~来年は中野でYAAるぞ!  創意工夫のセイカを全国に届けよう~

    帰ってきたカイゼン・サミット

    オンライン版を経て、今年度は「2022中野カイゼン・サミット実行委員会」を立ち上げて、令和5年3月25日(土)午後1時から中野区役所をお借りして対面形式で「カイゼン・サミット」を開催する運びとなりました。

    町役場を退職し、「公共から考共へ」との考えで民間企業を立ち上げた元公務員のお話や、組織としてではなく個人で改善改革に取り組む自治体職員の改善事例を聞き、参加者同士で対話する時間を設けました。その名も「帰ってきたカイゼン・サミット2022in中野」。皆様のご参加をお待ちしております。

    【帰ってきたカイゼン・サミット2022in中野】
    《概要》
    日時:2023(令和5)年3月25日(土)、13時から17時15分
    場所:中野区役所
    申し込み:https://www.kokuchpro.com/event/ksummit/
    費用:500円(受付時にお支払い)
    定員:100人
    主催:中野カイゼン・サミット2022実行委員会

    《内容》
    〇第1部~行政の枠から飛び出した人に刺激をもらおう!

    • 「公共から考共へ」
      林 博司さん(パブリシンク株式会社 代表取締役) 

    〇第2部~全国大会には出ていないけど知ってもらいたい「カイカク&カイゼン」

    • ①公も民も入り混じる公共空間のカイゼン「まちほし」
      佐藤 真人さん(大分県 大分市)
    • ②「スポーツ×社会課題解決」で、スタジアムのない小さな町を「心のホームタウン」に!
      伊藤 遼平さん(埼玉県 宮代町)
    • ③知識ゼロ、前例無しでも年間来訪者数3万人増を実現!
      橋本 隆さん(群馬県 伊勢崎市)
    • ④地域通貨や地産地消施設の開設でコロナ禍の町内経済を活性化
      松浦 城太郎さん(静岡県 西伊豆町)
    • ⑤行政計画づくりに徹底的に市民参加を
      松永 隆さん(山形県 酒田市)

    今年も、カイゼン・サミット恒例の「カイゼンクイズ」、サミット後の懇親会も予定しています。ふるってご参加ください!

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    ■立石 孝裕(たていし たかひろ)さんのプロフィール

    1968年、兵庫県尼崎市生まれ。京都府立大学大学院生活科学研究科修了。1993年、尼崎市に奉職。再開発担当、建築審査課、都市政策課、行政経営推進室、学校計画担当、政策課、武庫地域振興センターを経て、現在、尼崎市総合政策局文化・人権担当部長。
    プライベートでは、みんなのサマーセミナー実行委員会、みんなの尼崎大学放送部、南部再生編集会議に属する。好きな言葉は「仕事と思うな、人生と思え」。
    共著に『地方自治体業務改善』(関西学院大学出版会)。

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