【デジタル証明書、資格証】ブロックチェーン技術を活用し、改ざん困難なデジタル証明書を発行
(CloudCerts / サイバーリンクス)


※下記は自治体通信 Vol.66(2025年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
ペーパーレス化が進むなか、紙で発行していた資格証や各種証明書などのデジタル化を検討する自治体も現れている。ただし、それらをデジタル化する場合、原本性を担保するための手立てが必要だ。そうしたなか、和歌山県では高校生向けにeスポーツ選手権を開催した際、成績優秀な生徒に対し、紙の表彰状ではなくブロックチェーン技術を用いたデジタル入賞証明書を発行した。同県担当者の山中氏と田中氏に、その取り組みの経緯と効果を聞いた。


eスポーツならではの、生徒を表彰する方法を模索
―高校生向けのeスポーツ選手権にて、デジタル入賞証明書を発行した経緯を教えてください。
山中 当県では、若者の流出が顕著です。そこで、世界でも市場規模が拡大しているeスポーツを県内にて普及させ、若者を惹き付けようとする取り組みを昨年度から行っています。まず、県内5つの公立高校にPCやヘッドフォン、回線などeスポーツを行う環境整備に加え、外部指導者を学校に派遣する支援をしました。その集大成として令和7年2月、県内にてeスポーツ選手権を開催したのです。
田中 大会の準備段階で、優秀な成績を収めた生徒に対し、紙の表彰状ではなく「eスポーツらしく称えるものがほしい」という話が職員間で出ました。そこで、eスポーツ事業などで以前からお付き合いがあったサイバーリンクス社に「入賞証明書をデジタル化できないか」と相談したところ、提案されたのが『CloudCerts®(クラウドサーツ)』というサービスでした。
―どのようなサービスですか。
田中 証明書を紙ではなく、データの改ざんを防ぐブロックチェーン技術によりデジタル化して発行するサービスです。証明書をデジタル化した場合、データを改ざんされる懸念がありましたが、同サービスはTOEIC® Program公開テストのデジタル公式認定証に導入されており、安心して生徒に提供できると考え、活用することにしたのです。
ゆくゆくは他事業への、展開もありえる
―実際に活用して、どのような成果がありましたか。
山中 まず結果として、デジタル入賞証明書を発行した生徒にはすごく喜ばれ、その場で生徒同士で見せ合っていたところなどが印象的でした。じつは、入賞者発表時に即時発行するため、事前に参加する生徒から写真や名前などの情報を集め、サイバーリンクス社へ発表直後に発行してもらうようお願いしていたのです。フォーマットが自由に変えられるため、当課でも証明書の色味やロゴデザインにはこだわって作成していたので、喜んでもらえたことは素直にうれしかったです。
田中 eスポーツが盛んな米国では、競技スポーツのようにeスポーツでも大学推薦があったり、就職に有利になったりするそうです。大会が終わった後も、改ざんされることなく、スマホなどの端末を使ってすぐ他者に提示できるため、進学や就職の際に役立ててもらえればと思います。
―今後も、入賞証明書のデジタル化は続けていくのですか。
山中 はい。今年度以降も、eスポーツ大会の開催およびデジタル入賞証明書の発行は続けていきたいですね。結果、「和歌山の大会で入賞すれば、デジタル入賞証明書がもらえる」というインセンティブになり、当県の魅力向上につながればと考えています。また、当県が発行している資格証や証明書はほかにもあり、ゆくゆくはそれらへの活用もありえると思います。


―資格証や証明書などのデジタル化を検討する自治体は増えているのでしょうか。
限定的ですが、和歌山県のように先進的な活用をする事例は出てきています。一方、民間では、たとえば社員証や修了証、検定証などで検討、導入が進んでいます。ペーパーレス化が進み、行政手続きのオンライン化などが積極的に進められている自治体においても、資格証や証明書をデジタル化する動きは、今後増えていくとみています。
―デジタル化する際のポイントはなんでしょう。
内容を改ざんして本人になりすますといった行為を防ぐため、原本性を担保する処置が必要になります。その点、当社が提供している『CloudCerts®』は、特許取得ずみであるほか、ブロックチェーン証明書規格「Blockcerts」に準拠していることから、高い改ざん防止性能を実現しています。また、証明書などの発行者はURLを対象者に送信するだけですみ、短期間で大量に発行することも可能です。さらに、レイアウトも自由に変更できるため、紙のデザインをそのまま踏襲したり、新たなデザインにしたりできます。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
『CloudCerts®』は、TOEIC® Program公開テストのデジタル公式認定証のほか、デジタル薬剤師資格証など国家資格保持の証明書にも活用されており、自治体にも広めていきたいと考えています。無償キャンペーンも随時実施していますので、興味のある自治体のみなさんは、ぜひ問い合わせてほしいですね。

設立 | 昭和39年5月 |
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資本金 | 8億8,300万円 |
売上高 | 158億7,000万円(令和6年12月期:連結) |
従業員数 | 874人(令和6年12月31日時点:連結) |
事業内容 | 官公庁クラウド事業、流通、クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業 |
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