移住・定住施策 自治体事例|「ワーク・イン・レジデンス」の展開で外部組織と連携、小規模自治体の強みを活かした距離の近い支援

神山町、五木村の移住・定住施策 自治体事例
地域の伝統文化や農村暮らし等「まちの魅力」を活かした移住・定住施策で成果を出している自治体の事例を紹介します。内閣府 地方創生推進室がまとめた「令和4年度 移住・定住施策 優良事例集」からの抜粋で、同事例集は、三大都市圏以外に所在する市町村の中から、行政・民間が移住定住施策に積極的に取り組んだ結果、社会増減率がプラスに転じた、または社会減の減少幅が縮小した優良事例を内閣府地方創生推進室が選定し、取組の概要や具体的な成果を取りまとめたものです。
今回は神山町、五木村の移住・定住施策自治体事例です。
「ワーク・イン・レジデンス」の展開で外部組織と連携|神山町
徳島県 神山町は、徳島県東部の名西郡に属し、町内の東側は徳島市と隣接。町の中央を東西に横断する鮎喰川上中流域に農地と集落が点在し、その周囲を町域の約 86%を占める300~1,500メートル級の山々が囲んでいます。古来、阿波の語源ともいわれる「粟生の里」と呼ばれ、人々の交流拠点として栄えました。江戸時代から明治時代にかけ、農民の娯楽として阿波人形浄瑠璃が盛んに上演され、その舞台を飾った襖絵は1,400点ほど現存しています。
昭和30年に5村が合併して神山町が誕生。平成16年に四国で初めて行政が光ファイバーを整備すると、ワークライフバランスを考えるIT系のベンチャー企業がサテライトオフィスを次々に開設。平成31年度には人口が8年ぶりに社会増に転じました。

神山町のサイト
取り組みの概要
過去50年で人口が約3分の1に激減していることを背景に、平成20年からは、町の将来に必要と考えられる働き手や起業家を逆指名する制度として、仕事を持った人や創り出してくれる人を誘致する「ワーク・イン・レジデンス」を開始。商店街に展開し、中山間地域における商店街モデルを誕生させました。
また、平成16年に四国で初めて行政が光ファイバー網を整備すると、平成22年には株式会社Sansanがサテライトオフィスを設立。現在は16社がサテライトオフィスを設置しています。
平成27年には、40代以下の住民や移住者で創生戦略「まちを将来世代につなぐプロジェクト」を計画。地域の将来世代が、基本的な生活基盤においても、子どもたちの教育環境においても、環境保全の観点からも「神山らしさ」を享受しながら暮らし続けるために、2060年時点で3,000人を下回らない人口を維持し、かつ小中学校の各学級人数が20名以上を保つ均衡状態に入る人口推計を目標とし、計画推進のために一般社団法人神山つなぐ公社を設立しました。

ポイント
①「まちを将来世代につなぐプロジェクト」による長期計画
将来世代のための計画に一貫して取り組み、計画推進のために一般社団法人神山つなぐ公社を設立しました。
②外部組織と連携したまちづくり
一般社団法人神山つなぐ公社や移住交流支援センターの運営をする認定NPO法人グリーンバレー等、外部組織と連携しそれぞれの強みを活かしながらまちづくりに取り組んでいます。
主な取り組み内容
住む場所の確保に向けた取り組み
ワーク・イン・レジデンスやサテライトオフィス等の過去の取り組みによって増加した移住者に対し、住居の不足が深刻化しており、空き家の活用サポートや新たな住宅の整備により住宅確保に取り組んでいます。
子育てや住まいについて幅広い支援メニューを展開
医療費助成、病児・病後保育、保育料の無償化等の子育て支援や、空き家改修事業補助金、空き家利活用改修事業補助金等の住まいに関する補助金制度が充実しています。

「神山つなぐ公社」のサイトより
小規模自治体の強みを活かした距離の近い支援|熊本県 五木村
熊本県 五木村は、熊本県南部に位置しており、村全体が九州山地の山岳地帯にあるため、平坦部が少なく、深い峡谷が縦横に走る急峻な地形が特徴となっています。そのため、村の94%を森林が占め、林業が村の基幹産業となっています。
また、川辺川ダム建設計画による水没予定地の村民の村外移転により働き世代が流出した結果、少子高齢化と人口減少が急速に進行。現在は、九州で一番人口が少ない村(島しょ部除く)となっており、小規模自治体であることを活かした移住者との距離の近い支援を行っています。
取り組みの概要
五木村は少子高齢化の進行に加え、川辺川ダム建設計画による水没予定地の村民の村外移転により急激な人口流出が続いたことから、平成21年頃からいち早く定住促進や少子化対策に取り組んできました。しかし、人口の減少に歯止めがかからず、村のほとんどの地域は高齢化が著しくなっており、集落機能の維持が困難な状態にありました。
こうした中、村では平成25年度に移住定住支援サイトを新設し、若年層や子育て世代を主なターゲットとして魅力的な自然環境や子育て支援をはじめとする生活支援制度の周知を積極的に行ってきました。
こうした情報発信の強化に加え、お試し住宅の整備(平成29年度)や移住定住促進を主な活動とする地域おこし協力隊の採用(平成30年度)と移住サポート体制の強化により徐々に移住者数が増加。特に新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中での地方移住への関心の高まりにより、近年は多くの移住者が転入しています。
現在は、住宅不足に対応するために村内に点在する空き家の発掘や空き家の有効活用を促すための「空き家バンク改修・修繕補助金」を創設するとともに、移住者への就業斡旋や地域コミュニティへの参加のサポートの充実も併せて実施しています。

ポイント
①外部人材の積極的な活用
地域おこし協力隊やNPO法人、特定地域づくり事業協同組合等の外部人材を積極的に活用し、高齢化が進む集落の機能維持と地域づくりを図り、新たな地域の担い手の確保・育成を目指しています。
②移住希望者との接点づくり
熊本県の実施する移住フェアの他に、周辺自治体と連携した移住ツアーや村独自の移住ツアー等、移住希望者との接触機会を豊富に創出しています。
主な取り組み内容
NPO法人による関係人口の創出
民間団体の柔軟性やフットワークの軽さを活かしながら、都市部の学生や専門人材と村を結び付け、「第三の地元」のような形で村に愛着を持つ人々の輪を広げています。
役場と地域おこし協力隊によるきめ細やかな定住フォロー
転入時の地区長との顔つなぎや地域での生活を円滑にするためのサポートブックの作成、定期的な移住者交流会の開催など、移住者が安心して村での生活を始められるためのサポートを行っています。





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