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《議員対応時の侮れない服装術 後編》男女別“外せない3つのポイント”

    《議員対応時の侮れない服装術 後編》男女別“外せない3つのポイント”

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    自治体職員の「装合計画」#4(元東京都職員/イメージコンサルタント・古橋 香織)

    元東京都職員でイメージコンサルタントの古橋 香織さんによる、見過ごされがちだった「公務員の装い」をテーマとした本連載。今回は「議員対応時の侮れない服装術」の後編として“外せないポイント”を男女別に具体的に解説します。大詰めを迎えた年度末議会を乗り切る服装術とは?

    はじめに~政策的な理論武装と同じくらい服装だって“鎧”になります

    前回の記事では、議員対応での「服装の大切さ」について、二元代表制という執政制度の視点と公務員としてのメンタルコントロールの視点からの「概論」部分をご説明させていただきました。
    (参照:《議員対応時の侮れない服装術 前編》二元代表制を「服装」で支える

    記事をお読みいただいた読者の方からは「まさしく自分が思っていたことと同じだ!」という嬉しいコメントをいただくこともあり、自治体の政策的意思決定を担う議会とのやりとりは、公務員のみなさんの中でも決して手を抜くことは許されない重要な領域であるということが改めて実感されました。

    前回は議員対応での服装の大切さや、大一番に臨む際にどのようにして服装の力を借りるかという「概論」部分のお話でしたが、今回はより具体的な内容に入っていきたいと思います。

    服装は相手への敬意の表れである

    さて、みなさんにとって服装とは何でしょうか?

    単に機能のみに着目した「暑さ寒さを防ぐもの」であるという一方で、「自分を表現するツール」であると答える人もいるかもしれません。もちろんどちらも正解です。

    しかし、他の業種と比較してもチームプレイが大前提であり、業務を滞りなく進めるにあたって職員間のコミュニケーションが不可欠である公務員にとっては、「服装=相手への敬意を表現するもの」であるという考え方を忘れてはなりません

    いうまでもなく職場にはいろいろな人がいます。本音を言うと「絶対に敬いたくないっ!」という上司や同僚もいるかも(笑)。しかし、心ではそう思っていても、どうですかみなさん? 対面やメールを介したお仕事でのコミュニケーションには決してタメ語は使わないですよね。相手に対して失礼にあたらないよう、言葉や文章を紡いでいるのではないでしょうか。

    私たち、特に公務員のみなさんは文字や言葉といった言語的なコミュニケーションを意識しがちな傾向にあります。が、服装もコミュニケーションツールとしての重要な役割を担っています。いわゆる「ノンバーバル=非言語的なコミュニケーション」というやつです。そして、私たち誰しもが持つであろう、相手と言葉を交わさずとも「ちゃんとした人に見られたい」という願望を最も簡単に実現できるのが、「服装」なのです。

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    服装もコミュニケーションツール

    では話を戻しましょう。政策を実施する執行機関とそれを監視する議会は対等です。相互の仕事をリスペクトする気持ちがないと、住民福祉を向上させるようなアウトプットは生まれません。

    ゆえに公務員の側も、ボロボロ、ダボダボのスタイルで「先生、先生」とぺこぺこする必要は全くありません。所属の思いを背負って議員の元に向かうわけです。そういう時こそ質の良いものをパリッと着こなすべきだと私は考えます。

    では、これらの要素を加味すると、議員対応時の服装はどのような点を気をつければよいでしょうか。以下ポイントをまとめてみました。

    議員対応の服装のポイント(男性編)

    No.1 持っているスーツで1番良いものを
    これは前述したとおり、「服装=相手への敬意」であるという視点と、公務員の服装論において大変重要な部分をなしている、「服は心を守る鎧」という視点の双方から、議員対応においては必要不可欠なポイントであると思います。
    特に本会議や委員会で答弁をする幹部の場合は、送り出す部下の側から見ても、大舞台に良いスーツを着てくる上司とそうでない上司のどちらがイケてるかというと、もちろん前者ですよね。
    このように幹部職員の服装は部下の士気をもマネジメントします。部下から応援され、評価されている幹部はこういう「演出」も上手なのです。

    No.2 ワイシャツの袖はきちんと見えていますか
    議員の前で書類を指し示したりするシチュエーションが多いことを考えると、手元の印象=自分の印象に繋がってくることは言うまでもありません。
    男性のスーツスタイルが美しく見える条件として、「シャツの袖はスーツの袖から1.0~1.5cm程度見せる」というものがあります。肌とスーツの間にシャツの色が入ることとで、手がキレイに見えるだけでなく、手元が引き締まって見えます。
    議員に用事がある日や理事者として出席して答弁する日は、朝の準備の際にシャツとジャケットのバランスも気を配ってみましょう。

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    レッドカードになっていませんか?

    No.3 カフスやタイピンで気分を上げても○
    アクセサリーに区分されるカフスやタイピンは、公務員のみなさんの間で付けている人はもしかしたら少ないかもしれません。派手に見える? マナー違反? いいえ、全くそんなことはありません。
    カフスやタイピンはメンズファッションの中で認められた由緒ある装飾品です。何なら「デコシャツ」の方がよっぽど派手でお仕事にそぐわないですよ。
    「デコシャツ」については、拙著『公務員男性の服~普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』(ぎょうせい)で詳しく扱っています。気になる方はぜひ読んでみてくださいね。

    議員対応の服装のポイント(女性編)

    No.1 まだまだ議会は男性社会であるという前提
    男性議員が多いため、議員対応の服装が無難なスーツになってしまう」というものです。
    スーツは確かにきちんと見えますが、男性と同じく女性のスーツも選ぶのが難しいです。だからこそ女性も男性と同じく、「良いスーツ」を手に入れて欲しいなと思います。
    リクルートスタイルに毛が生えたようなシルエットではなく、スカートに少しフレアを入れたりジャケットを長めにしたり、女性の方が男性よりも選択肢の幅が広い分、気分よく議員対応を行うためにもデザインや素材にもう少し遊びを取り入れてみましょう。

    No.2 「自分はどう見せたい?」女性幹部こそ色味を操れ
    こちら、大事な視点ですよね。イメージコンサルティングにお客様として来てくださったり、勉強会などで知り合った女性管理職さんがみなさんおっしゃるのは「議会はまだまだこれは男性にも言えることなのですが、議員対応をバリバリやっている女性管理職こそ、忙しい中でも「自分の見せ方」と向き合う時間を持つべきです。ジャケットやスーツを着る機会が少なかった若手職員だった頃は、多少の色味のある洋服も着られていたかもしれませんが、幹部として前線に立つ今、気づいたら黒やグレーの服ばかりになっていませんか?
    ベーシックカラーと呼ばれる色味は、黒やグレーだけではありません。ネイビーやブラウン、ベージュだってあります。しかも色が明るければ明るいほどやわらかな印象になり、暗い色は堅くフォーマルな印象になります。ジャケットやインナーなど、その日はどんな議員に用事があるかを考えみて、服を選んでみましょう。
    実はこの方法は私も実践していて、お客様やお仕事の相手との雑談にも取り入れたりしています。装いがコミュニケーションを促進することもありますよ。

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    ネイビー、ブラウン、ベージュも取り入れたい
    No.3 アクセサリーで品をプラス
    大きすぎたり、あまり派手なものはできませんが、アクセサリーは服装にアクセントと品をもたらします。特にデコルテの華奢さにコンプレックスがある人は、頼りなく弱々しい印象になりがちです。ぜひ小さめなネックレスをしてみてください。
    また、今流行りのパーソナルカラー診断という「似合う色味がわかる診断」を受けると、似合うアクセサリーの色や素材も分かります。基本的にイエベ(イエローベース)さんはゴールド系、ブルベ(ブルーベース)さんはシルバー系が似合います。
    似合う色味のアクセサリーはお肌と調和するため、決して嫌味な印象には絶対になりませんので、自分のパーソナルカラーを知らない人は受けてみても良いと思います。

    結び

    いかがでしたでしょうか。年度末の忙しい毎日は、自分の気持ちをしっかりと保つためにも、公務員も服装から元気をもらうべきです。

    今回扱った議員対応の服装では、1番大事なのは「相手に圧倒されないクラス感」と「信頼を勝ち取る清潔感」の2つです。今現在、絶賛議会対応中の方もそうでない人も、ぜひこの知識をお仕事に役立ててみてくださいね。

    (「《決定版! 公務員に“なるべく寄り添った”クールビズ》もう「ネクタイ外しただけ…」はやめません?」に続く)

     ★ 本連載の記事一覧

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    古橋 香織(ふるはし かおり)さんのプロフィール
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    元東京都職員
    イメージコンサルタント
    早稲田大学を卒業後、2011年12月東京都庁に入都。都職員時代は消費者行政や東京都議会議会局に勤務。在職中に早稲田大学大学院政治学研究科公共経営専攻に社会人大学院生として入学し、多くの自治体議員や管理職、経営者との出会いを経験する。同時にかねてから関心のあったイメージコンサルティングを学び、2020年1月に一念発起して東京都を退職し独立。
    独立後は、政治家と有権者の距離を近づけるためにはおしゃれの力が必要だと感じ「政治を身近にするイメージコンサルタント」として、主に地方選挙に関わる。自分をどのように見せたいか、どの層にアプローチをしたいのかというクライアントの目標をしっかりと捉える目標志向のイメージコンサルティングが特徴。その結果、新人の当選や得票数を大きく伸ばした再選、そして候補者自身の発信力の強化に貢献している。政治家を対象としたイメージコンサルタントとしては最年少であり、若い感覚を取り入れたスタイリングが得意。
    一方で公務員時代に自己肯定感が低かった自分の経験から、行政の現場で働く公務員にも従来のような「地味」なイメージを払拭し、働く自分をもっと好きになれて、なおかつ住民サービスの向上につながるような服装選びやメイクの方法などをアドバイスしている。
    個人向けのイメージコンサルティングでは、きちんと感を重視しつつもクライアントの似合うものや好きなファッションテイストのバランスを考えた提案を行なっており、「職場で初めて服を褒められた」「自信が出た」などの多くの現職公務員の支持を得ている。
    2021年11月に『公務員男性の服~普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』(ぎょうせい)を上梓。
    女性向けには自身のインスタグラムで「お役所女子必携コスメ」を紹介している。

    〈インスタのURL〉https://www.instagram.com/kaori_colorcommons/
    〈Color Commonsのサイト〉 https://colorcommonslab.com/
    〈連絡先(問い合わせフォーム)〉http://colorcommonslab.com/otoiawase

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