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《議員対応時の侮れない服装術 前編》二元代表制を「服装」で支える

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【自治体通信Online 寄稿記事】
自治体職員の「装合計画」#3(元東京都職員/イメージコンサルタント・古橋 香織)

暦は緊張の2月! 来年度予算を議決する議会の幕が開くこの時期は、厳しくなる冷え込みとは逆に、自治体職員にとって“アツいシーズン”ですね。身を引き締めている方もきっと多いでしょう。だけど、ある意味、もっとも重要な“議会対応の盲点”があることを知っていましたか!? 元東京都職員でイメージコンサルタントの古橋 香織さんによる、見過ごされがちだった「公務員の装い」をテーマとした本連載。職員時代の半分以上を議会局で過ごした古橋さんだから知っている「議員対応時の服装術」を前後編に分けてみっちり解説します。

若手も絶対読んでほしい「議員対応で管理職がピリつく理由」

年度末の足音が近づいてきましたが、自治体の年度末を彩るビッグイベントとして挙げられるのが「第一回定例会」。通称「一定(いってい)」です。

これはまだ出先事務所での勤務しか経験したことがない人はいまいちわからないかもしれませんが、要は来年度の予算が議決される大事な議会であるということです。

また本庁勤務の人は分かりみが深いと思いますが、自治体、特に本庁は「常に議会とともに動いている」と言っても言い過ぎではないほど、本庁勤務の職員、とりわけ管理職にとって議会は「侮れない」ものになり、失敗できないスレスレのメンタルになることが多いと言えましょう。

ではなぜ、ヒラである主事級職員で東京都を退職した私が、若手職員とは縁遠いものと思われがちな議会について生意気なことを書けるかというと、かくいう私は都庁職員歴のうち半分以上を東京都議会議会局で過ごしたからです。

議会事務局の職員というと立場上とても難しい部分がありますが(任命権者が議長になる、などの制度面からの違いのみならず、日頃から首長と議員のどちらを向いて仕事をしていいのかよくわからなくなることがあるなど…。このことを書くと別の話になってしまうので割愛します)、答弁調整や議員に用事がある管理職を、議会事務局というフラットな立場で俯瞰できた経験を得られたというのは、私の今の仕事に活きている部分がとても多いなと思います。

今回は私の東京都議会での経験、そして都庁を退職し独立後のイメージコンサルタントとしての経験の2つを踏まえて「議員対応の服装術」について、全2回に渡って書いていきたいと思います。

今回は総論である前編です。主に議員対応にあたるマインドの部分となります。管理職だけではなく若手職員もぜひ読んでほしい「服装の大切さ」を詰め込んでおりますので、ぜひご高覧ください。

そもそも「議員」を敬わなければいけない理由とは

日本の自治体の執政制度は「二元代表制」という制度を採用しています。これは国の制度である「議院内閣制」と異なり「首長も議員も直接住民から選ばれている」という執政スタイルです。このため議員は住民の信託を受けた「代表」であり、その代表が集まった「合議体」として首長側を監視するのが議会本来の役割となります。

よって首長(執行機関)と議会(議決機関)は別の機関であり、議員は「お客様」として扱うのが適当です。ただ単に「えらいから」ではなく「住民の代表であり、機関を異にするお客様」だから敬意を持って接する必要があるのです。

そして相手への敬意を表現するための1番簡単な方法として「服装」が挙げられます

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議員は機関を異にする「お客様」

身なりを整えることは「相手への敬意のあらわれ」であり、異なるフィールドにいるものの「住民生活の幸福度を上げる」という思いは職員も議員も変わらないはず。それゆえお互いに敬意を持ち接するべきである、と私は考えます(これ、議員サイドにも言えることですね)。

若手の職員は、議会や議員といってもまだいまいちどのようなものか想像がつかないかもしれませんが、自治体職員であれば「議会・議員」との接点はいずれ誰しも持つものです。

これは私の経験ベースでの話になりますが、みなさんがこれから議会に近い仕事をするとまず驚くのは「先生、先生」と仰々しく議員に対応している先輩管理職の姿だと思います。

私も都議会に異動したばかりのとき、局さん(議会から見た知事部局のことをこう呼んでいました)があまりにもへりくだっている様子を見て驚愕した(というかちょっと引いた)ことを覚えています。

なんでそんなに下手(したて)に出る必要があるのでしょうか。

基礎自治体では特定の議員と顔見知りになってくるとカジュアルに接することも多くなるようですが、あくまでもフォーマルなシーンでは「敬意の安売り(?)」ではないかと思ってしまうくらい、外から見るとちょっと非日常です。

余談ですが、私は公務員向けにイメージコンサルティングを行う一方で、議員のお客様とのやりとりも多いです。一部の議員は「仰々しく扱われて当然」と思っている人もいるかもしれませんが、本来議員がやりたいことは「自分の政策の実現」であり、そのためには執行部と腹を割って話し、協力を得ることは自然と必要になります。  

議会や議員ネタを自治体職員向けに書くと「きれいごと」だと一蹴されることがあるのですが、特に年次の若い議員や都市部の議員は、執行部の協力あってこそ、と思っている方もたくさんいるということを申し添えさせてください。

服装を含めた「身なり」次第で「机の上の格闘技」のリングに乗れるかが決まる

ではどうすればよいのか…。古橋の見解はというと「そんなに仰々しくする必要があるなら、服装をきちんとしなさい」と言いたいです。

これ本当ですよ。ダボダボのスボンやサイズの合っていないスーツを着て「先生、おつかれさまでございます」とヘコヘコしている執行部の管理職は「ただただ情けない」の一言です。

部や課、場合によっては局の代表として議会に赴いているわけですから。だからこそ見なりを整えることで対等な立場になり、お互い合点がいく話し合いができるのではないでしょうか。

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身なりは「対等な立場で話し合う」ための重要アイテム

本来、議員とのやりとりは「机の上の格闘技」みたいなものであり、信念と制度のぶつかり合いだと私は思っています。それゆえダイナミックな政策を所管する担当者ほど、執行部サイドの職員の身なり次第で格闘技のリングにすら乗れないこともあるということをぜひ覚えておいてほしいです。

スーツやジャケットのサイズ感、身につけているものが立場にあっているか、そして清潔感ある身だしなみなど、気を付けるべきことはいくつかありますが、どれも議員に会う前に「確認」する習慣を付ければ良いだけの話です。

緊張感があるシーンの前に自分の見た目と向き合うことは自分のパフォーマンスを高めてくれる効果もあります。ぜひこの記事を読んだら実践してみてください。

□ ■ □ ■

いかがでしたでしょうか。今回は総論的な意味合いを含めた記事でしたが、次回は男女別に分けて、議員対応時の服装術について解説していきたいと思います。

議会開会中の息抜きにぜひお読みくださいませ。

(「《議員対応時の侮れない服装術 後編》男女別“外せない3つのポイント”」に続く)

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古橋 香織(ふるはし かおり)さんのプロフィール
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元東京都職員
イメージコンサルタント
早稲田大学卒業後、2011年に東京都入庁。おもに東京都議会 議会局 管理部 総務課での議員接遇等に従事。在職時、早稲田大学大学院政治学研究科で政治や議会について現場からではわからない理論的な観点からの知識を取得し(公共経営学修士)、銀座イメージコンサルタントプロ養成アカデミーでメンズオーダースーツではトップクラスの受注率を誇るイメージコンサルタント工藤亮子氏に師事し、メンズスーツスタイルを学ぶ。
退職後、2020年1月、イメージコンサルティングラボ「Color Commons」主宰。政治およびパブリックセクターに強みをもつイメージコンサルタントとして独自の立ち位置を取る。多くのエグゼクティブが来訪する公的機関である議会での勤務経験から、特にスーツスタイルやカラーコーディネートを得意とし、現職政治家や政治家志望者、公務員、公務員新規採用者などに、理論とエビデンスに基づいた「信頼感あふれる見た目」を土台としたイメージづくりの提案を行っている。
全国の公務員にオンラインで着こなしを教える講座「公務員ファッションアカデミー」を月1回開催している。
2021年11月に『公務員男性の服~普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』(ぎょうせい)を上梓。
女性向けには自身のインスタグラムで「お役所女子必携コスメ」(https://www.instagram.com/kaori_colorcommons/)を紹介している。

<Color Commonsのサイト> https://colorcommonslab.com/
<連絡先(問い合わせフォーム)>http://colorcommonslab.com/otoiawase