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【公務員の根深き悩み】空気が読めないやつだと思われたくない?

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【自治体通信Online 寄稿記事】
これからの時代の公務員が「幸せ」になる働き方 #7(さいたま市職員・島田正樹)

住民のためのよいアイデアや画期的な業務改善案などを考えついても、周囲の反応を想像すると声に出せない…。こんな“苦い経験”はありませんか? 今回は、上司や同僚等“他人の視線”が気になって、「これはおかしい」「こうした方がいいのに」という想いを胸の奥にしまっているひとの背中をそっと優しく押す内容です。

はじめに

役所の中で前例を変えたり、新しいことに挑戦したいけど「空気が読めないやつだな」と思われたくない―。

そんなふうに感じたことはありませんか?

目立ちたくない
周りから浮きたくない
意識高い系だと思われたくない

こんなふうに言い換えてもいいかもしれません。

「何か行動をしようとするときに、他人の視線が気になる」

そうやって、やるべきだと思っていることがあるのに行動できなかった経験は、誰しもひとつやふたつあるのではないでしょうか。もちろん私も経験があります。

今回はそんな「他人の視線」のお話です。

他人の視線が気になるのは「孤立」したくないから

自分以外のみんなが「これでいいよね」とまとまりかけているとき。何か違和感を感じても「それは違うのでは?」と声を上げるのは勇気が要りますよね。

決まったやり方で繰り返す業務が多かったり、メンバーの同質性が強かったり、「こうするのが当たり前」という雰囲気が強い職場ほど言い出しにくい印象があります。法令やマニュアルに則(のっと)る業務が多い点や真面目な職員が多い点など、私たち公務員の職場にも、そのような傾向があるかもしれません。

それぞれの職場やその時々の場面で事情は様々でしょうが、声を上げるのを邪魔しているのは、「当たり前」の振る舞いを求められる中で「空気が読めないやつだと思われるのが嫌」とか「変に目立ちたくない」という自分の意識ではないでしょうか。

 何か声を上げたい、行動したい。
 でも周りから浮きたくない。

このジレンマと私たちはどう向き合ったらいいのでしょうか。

「空気が読めないやつだと思われたくない」「周りから浮きたくない」という気持ちをもう少し掘り下げると、私の場合は周囲との関係で「孤立したくない」「疎外感を感じたくない」という気持ちが根っこにある気がします。

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その情熱の火を消そうとするのは、なぜ?

役割を引き受けるのか試される

職場では周りの同僚や上司などとコミュニケーションをとり、協力しながら仕事を進めていきます。仕事をスムーズに進めるために周囲との人間関係を大切に思い、孤立するのは避けたいと思うのは自然なことです。

でも、他のひとが感じていない違和感を主張したり前例踏襲に異を唱えたくらいで、仕事の邪魔をされたり、いやがらせをされたりするでしょうか?

多少居心地は悪くなるかもしれませんが、空気が読めないやつだと思われたり周りから浮くくらいで、仕事に支障をきたすほど周囲とコミュニケーションがとりにくくなるとは考えにくいでしょう。

この連載の「職場の前例踏襲主義にヤキモキしたら」の回でもお伝えしましたが、その組織の中でこれまで当然に行われてきたことを同じように繰り返すことには、一定の合理性があります。

一方で、私たちが働く行政の現場では、従前のやり方のままでは解決できない問題に直面することがあります。現場で仕事に取り組んでいると、「おや?」とそのことに気付いてしまうことがありますよね。

その時に「空気が読めないやつ」と思われるのを恐れて、気づいた疑問や問題意識を引っ込めてしまうのか、それとも勇気を出して最初に指摘する役割を引き受けるのかが試されている気がするのです。

公務員一人ひとりは、日ごろ表に出すことはなくても、地域をよりよくしたいと願って働いているはずです。そんな私たち公務員にとって、その気付きに蓋をしてしまうのは、職業人としての幸せを自ら遠ざけることにならないでしょうか。

10年後、その選択の責任をとるのは誰?

他者の目を気にして自分の言動が制約を受けるとしたら、そのひとは他者に依存しているのかもしれません。他者との関係のために言動を変え、自分の在りたい姿を守れなければ、自立しているとは言えないと思うのです。

何か行動しなければと想いが湧き上がったのに、他者の視線を恐れて行動する勇気がくじかれたとしたら、それは他者の価値観の中で仕事をし、生きているということ。

公務員でもそうでなくても「働く」というのは、自己実現の方法のひとつだと私は考えています。自己実現とは、自分がなりたいと思う自分に近づくこと。それは他者と相互に影響を及ぼし合いながらも、自分の意志で選択した道を自分の足で歩くことでしか実現できません。

今日、誰かの目を気にして何かを諦めたことを5年後、10年後に後悔したとしても、そのときその「誰か」は責任を取ってはくれません。自分が選択したことの結果を引き受けるのは、いつだって自分です。

「私」の公務員としての幸せは、他のどこにもいない「私」という公務員を生きることでしか得られない、そう思うのです。

それに、こんなことを言うと元も子もありませんが、周りのひとたちはこちらが思うほど、こちらの言動なんて見ていないものです。日ごろ、自分が他者の言動をどのくらい気にしているかを思い出したら分かるはずです。

そう考えると、あまり他者の目を気にするのは「自意識過剰」だと思いませんか?

…最後は少しいじわるな言い方で結びましたが、日ごろつい他者の目を気にしてしまうひとは、それくらい図太く考えた方が居心地よく過ごせるかもしれません。

皆さんはいかがお考えでしょうか。

(「【変化のなかの自治体職員】2022年」に続く)

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島田 正樹(しまだ まさき)さんのプロフィール
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2005年、さいたま市役所に入庁。内閣府・内閣官房派遣中に技師としてのキャリアに悩んだ経験から、業務外で公務員のキャリア自律を支援する活動をはじめる。それがきっかけとなり、NPO法人 二枚目の名刺への参画、地域コミュニティの活動、ワークショップデザイナーなど、「公務員ポートフォリオワーカー」として、パラレルキャリアに精力的に取り組む。
また、これらの活動や、公務員としての働き方などについてnote「島田正樹|公務員ポートフォリオワーカー」で発信するとともに、地方自治体の研修や「自治体総合フェア」等イベントでの講演を行う。2021年に国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得し、個別のキャリア相談にも対応している
『月刊ガバナンス』(ぎょうせい)や『公務員試験受験ジャーナル』(実務教育出版)をはじめ、雑誌やウェブメディア等への寄稿実績多数。ミッションは「個人のWill(やりたい)を資源に、よりよい社会・地域を実現する」。目標はフリーランスの公務員になること。
2021年2月に『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(学陽書房)を刊行。
<連絡先>shimada10708@gmail.com