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住民の幸せのために公務員が幸せになる

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【自治体通信Online 寄稿記事】
これからの時代の公務員が「幸せ」になる働き方 #1(さいたま市職員・島田正樹)

希望を出し続けているのに“やりたい仕事”になかなか配属されなかったり、画期的な取り組みを提案しても「前例がないから」と切って捨てられたり…。自治体職員ほど“理想と現実のギャップ”に戸惑いやすく、自分を押し殺す場面が多い仕事はないのかもしれません。しかし「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながるはず。確かに業界特有の難しさはあるものの、ちょっとの工夫でイキイキと働ける仕事に変えることもできます」。こう話すのはさいたま市職員の島田 正樹さん。島田さんは『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(学陽書房)をこのほど出版、大きな反響を呼んでいます。公務員という職を「自分らしく主体的に働ける仕事」に変えられる仕事術や考え方を島田さんに連載してもらいます。

高い? 低い?「公務員の幸福度」

「その仕事をしていて、あなたは幸せですか?」

こんなふうに問われたら、皆さんはどう答えますか。

「幸せです」と答えられる人は、どのくらいいるのでしょうか。もしかしたら、あまり多くないのかもしれません。

働くということは「お金のために仕方なくするもの」として語られることが多い気がしますし、私が一緒に働いてきた同僚や上司を思い浮かべても、必ずしもみんながみんな充実した気持ちでイキイキと働いている人ばかりではありませんでした。

この記事を読んでいるあなたはどう答えますか?

私は……正直どう答えたらいいか悩みます。

私は、これまでの公務員人生を振り返ると、幸運にも多くの時間を充実した気持ちでイキイキと働くことができていたと思います。でも、常にそうだったわけではなく、人事異動でプロジェクトから離脱することになりモチベーションが下がったり、官民連携の事業で民間の担当者との協議が思うように進まず悩んだ時期もありました。(参照記事:仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン)

ただ、分かったのは「シンドいな」と思う状況は永遠に続くわけではないということと、状況が変わるのを待たずに自分自身の手で変えられることがあるということ。

そんなことを伝えたくて、先日『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(2021年、学陽書房)という本も書きました。

申し遅れましたが、私は島田正樹(しまだ まさき)と申します。

普段はさいたま市役所で働きながら、公務員の働き方などについて伝えるブログ(https://note.com/shimada10708)を書いたり、NPO二枚目の名刺で広報担当(オウンドメディア編集担当)をしたりしています。また、先日試験に合格し、これから国家資格キャリアコンサルタントとしても活動していきます(ご相談お待ちしてます)。

このたびご縁があり自治体通信オンラインで「これからの時代の公務員が幸せになる働き方」というテーマで連載を書かせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

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「公務員の幸せ」とは?

「イキイキと働く公務員」が増えた方がいいワケとは?

さて、仕事における幸せの話に戻ります。

「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」

私は常日頃、こんなふうに考えています。

市民活動の支援を担当する職員も各課が要求した予算を査定する職員も駅前の開発計画を審査する職員も、公務員一人ひとりが幸せを感じ充実した気持ちで働いていたら、きっと住民を幸せにするようないい仕事ができる

理想論だと笑われるかもしれませんが、私は結構本気で信じています。

だって、その人自身が幸せじゃないのに、お客さんを幸せにできるサービスを提供できるのでしょうか。

非常に抽象的な考え方かもしれませんが、この感覚を共有していただける人は少なくないのではないでしょうか。

感覚とは言いましたが、「社員の幸福度」や「エンゲージメント」「従業員満足度」と職場の生産性や企業の業績との関係については、すでに様々な研究がなされていて、多くの企業がこれらの指標に関わる施策に取り組んでいます。

一方、地方自治体において「職員の幸福度」や「職員満足度」と業績、つまりは住民の幸せを結びつけるという考え方は、あまり浸透していないように感じます。

でも、多くの企業で取り組まれているこの考え方が、地方自治体の場合はまったく当てはまらないと考えるのは、むしろ不自然だと思うのです。

エンゲージメント:従業員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」(日本の人事部 https://jinjibu.jp/

半径5メートルの世界でできること

職員の幸せが業績、すなわち住民の幸せにつながるとは言っても、地方自治体で働いているとこんな声も聞こえてきます。

どうせ、異動したらこの仕事から離れてしまうし……。
どうせ、前例のない取組は上司が認めてくれないし……。
どうせ、あの課は仕事を押し付けてくるだろうし……。

人事異動、上司との関係、独特の慣習や価値観など、役所で働いていると様々な「どうせ」に直面します。

これらの「どうせ」を解決し、職員が充実した気持ちでイキイキと働くためには、本来なら組織として対応してもらいたいことがたくさんあります。

でも、組織が手を打ってくれるまで待つのではなく、今すぐに私たちの周り半径5メートルの世界でできることもたくさんあるのです。

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“半径5メートルの世界”でできることはたくさんある

この連載では「公務員が幸せになる働き方」というテーマで、読者の皆さんに問いかけていきたいと考えています。

例えば、「担当業務にやりがいを感じられない」「職場の前例踏襲の意識が強すぎる」「忙しい仕事の合間に勉強したい」といった状況で個人として何ができるのか、「正解」ではなく「仮説」として私の考えをお伝えしながら、読者の皆さんに問いかけていきます。

その問いかけを受け止めることで、皆さん一人ひとりがご自身の考えを確認する機会になる、そんな連載にできたら嬉しく思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

(#2「自分のやりがいを自分でお世話する」に続く)

 ★ 本連載の記事一覧
www.jt-tsushin.jp

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島田 正樹(しまだ まさき)さんのプロフィール
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2005年、さいたま市役所に入庁。内閣府・内閣官房派遣中に技師としてのキャリアに悩んだ経験から、業務外で公務員のキャリア自律を支援する活動をはじめる。それがきっかけとなり、NPO法人 二枚目の名刺への参画、地域コミュニティの活動、ワークショップデザイナーなど、「公務員ポートフォリオワーカー」として、パラレルキャリアに精力的に取り組む。
また、これらの活動や、公務員としての働き方などについてnote「島田正樹|公務員ポートフォリオワーカー」で発信するとともに、地方自治体の研修や「自治体総合フェア」等イベントでの講演を行う。最近、国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得し、個別のキャリア相談にも対応している。
『月刊ガバナンス』(ぎょうせい)や『公務員試験受験ジャーナル』(実務教育出版)をはじめ、雑誌やウェブメディア等への寄稿実績多数。ミッションは「個人のWill(やりたい)を資源に、よりよい社会・地域を実現する」。目標はフリーランスの公務員になること。
2021年2月に『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(学陽書房)を刊行。
<連絡先>shimada10708@gmail.com