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保育利用者の困りごとを解決!手ぶら登園の導入ノウハウを学ぶ【奈良県三宅町】

【奈良県三宅町連載記事②:総研インタビュー】

 

三宅町連載企画(全4回)の第2弾は、官民連携によって住民の困りごとを解決に導いた事例「手ぶら登園」をご紹介。当事業は公立園で初めて導入されたものになりますが、実証実験から本格導入に至るまで、どのような経過があったか見ていきましょう。

 

 

子育てのまち、三宅町

三宅町は保護者や子どもを応援すべく子ども・子育て支援に力を入れています。

基本的な地域子ども・子育て支援事業の他、NECQA(保育士と保育の質に関する研究会。以下、ネクア)や江崎グリコ(株)、NPOアトリエスタなどと、地域の子育て環境の充実や町の子育て支援の向上を目的に連携協定を結び、町独自の事業として産婦人科や小児科の医師とのオンライン相談や出産祝品の贈呈、アート体験など、保護者のニーズを汲み取った取り組みを多く行っているのが特徴です。

このように子育て支援に力を入れる三宅町では、BABY JOB株式会社(以下、ベビージョブ)と連携し、当時(2020年7月時点)公立園初となる「手ぶら登園」を導入しました。

 

公立園初の「手ぶら登園」導入


「手ぶら登園」とは、保育施設におむつが直接届く定額制サービスのことです。

tebura-touen.com

 

保育サービスを利用するにあたっては、おむつへの名前書き・補充、使用済みおむつの持ち帰り・処理などの作業が必要となり、保護者にとってその負担は決して小さいものではありません。

三宅町では、以前から「おむつの持ち帰りに困っている」という声が保護者から挙がっており、森田浩司三宅町長(以下、「森田町長」)自身も子育て当事者として、おむつの処理の負担の大きさを身に染みて感じていました。

この時三宅町は、ベビージョブ(株)からの情報提供でこの事業の存在を知り、これを利用すれば保護者の負担を軽減できるのではないかと考えました。

当時「手ぶら登園」は、民間の保育施設での導入実績はあったものの、公立園での事例は無く、導入すれば全国初となる試みでした。そのため、導入の可否や効果の有無を判断すべく、同町健康こども課が主体となり、実証実験を行いました。

 

実証実験にあたって

実証実験を開始するにあたっては、保育現場の事業に対する理解の不足や日々発生するおむつゴミの処理方法などが課題にあがりました。

保護者だけでなく保育士の負担軽減も期待できる「手ぶら登園」ですが、保育士にとっては「多忙な保育業務に加えて、新たな業務が発生するのでは」という懸念から、現場で反発が生まれやすい、とベビージョブの担当者は言います。現場の保育士に仕組みやメリットを理解してもらうために、ベビージョブは、これまで民間園で導入した際の基本的な業務フローや懸念となりやすい点を基に、細かい具体的な手順をまとめ、健康子ども課に提供しました。その情報を基に同課が粘り強く現場と調整した結果、事業の理解と合意を得ることができました。

また、使用済みおむつのゴミ処理についても、庁内組織間で連携することにより解決することができました。

保育所では週2回のゴミ収集日が決まっており、この頻度では日々溜まる使用済みおむつのゴミ箱や保管場所が必要となりますが、健康子ども課がゴミ収集を管轄する環境衛生課と調整し、ゴミ収集日を追加するとともに、ベビージョブから他園で行われているゴミの保管方法を情報提供することで解決することができました。

ベビージョブの後方支援を受けながら、健康こども課が庁内の関係課と調整を行うことでスムーズに合意が得られた好例と言えます。

 

現場の反応は・・・

一定期間の実証実験が終了した後は、その効果を検証する必要があるが、職員にアンケート結果の集約や分析を行うための余力がなかったことから、ベビージョブが自社の実績として活用することを視野に入れ、効果検証に協力を申し出ました。

保護者に実施したアンケート調査では、「紙おむつ・おしりふきの準備・持参の必要がなくなったことについてどう感じたか」という設問に対して「とても満足(97%)」、「満足(3%)」という回答を得るなど、とても高い評価を受けました

また、現場の保育士からも「おむつの管理がなくなったことにより業務が軽減され、より保育に集中できるようになった」いう声が寄せられ、保護者へのサービス向上だけでなく、保育士の業務負担も軽減されました。

これらの結果は、本導入にあたり三宅町議会での説明で使われたほか、ベビージョブでも自治体での導入実績として広く情報発信することができ、双方にとって利益のあるものとなりました。

 

職員の挑戦と意識改革

今回の手ぶら登園の導入にあたっては、健康子ども課から保育士に向けて「試しにやってみて、ダメだったらやめればいい」と伝え、合意を得たそうです。これはまさに、三宅町が大切にしている「ビジョン・ミッション・バリュー」で示された挑戦を体現したものでしょう。

非常に高い評価を得た「手ぶら登園」ですが、事業効果の他にも副次的効果がありました。それは職員の意識改革です。挑戦が業務改善につながり、成功体験として職員の意識に強く根付きました。当事業は、住民サービスの向上だけでなく、職員の意識の醸成にも成功した好例と言えるでしょう。

 

次回は官民連携を用いて行政経営(庁内)に寄与した事例をご紹介いたします。 

ぜひお楽しみに。

 

 

(続く)

 

前回の記事はこちら

www.jt-tsushin.jp