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”日本で2番目に小さい町”が仕掛ける官民連携の挑戦【奈良県三宅町】

【奈良県三宅町連載記事①:総研インタビュー】

行政の課題解決の一手段として「官民連携」が推進されてきましたが、効果的に取り組めている自治体は多くないのではないでしょうか。そのような自治体の職員に、三宅町(奈良県)の取り組みをご紹介いたします。

三宅町はさまざまな仕掛けで、官民連携の効果を波及させています。一体どのように連携事例を生み出しているのか、全4回にわたり三宅町の官民連携を推進するノウハウをお伝えします。

 

奈良県三宅町

奈良県三宅町は、人口約6,700人、都心部と山間部のちょうど中間に位置し、面積は4.06㎢と「日本で2番目に小さい町」です。しかし、全国的な例にもれず人口減少・少子高齢化が進行し、人材や予算など慢性的なリソース不足に直面しています。このような状況で、森田浩司三宅町長(以下、「森田町長」)のもと、民間企業などの力を活用した官民連携を推進することにより、課題解決を図っています。

官民連携を推進するにあたり、三宅町では町の目指す姿や職員の行動規範を内外にわかりやすく示す手段として、ビジョン・ミッション・バリューを定めました。これにより職員の官民連携に関する意識啓発とともに、積極的な挑戦(企画提案や業務改善など)を促しています。

ビジョン・ミッション・バリュー

三宅町のビジョン・ミッション・バリューは以下のとおりです。

  • ビジョン「自分らしくハッピーにスモール(住まうる)タウン」
  • ミッション「『伴走者』であり『共創者』として、共に成長し続けます」
  • バリュー「対話・挑戦・失敗」

しかしこれらを示しただけで効果を得ることは難しいでしょう。森田町長は「これまでにも総合計画などに目標が書かれてきましたが、職員でも読み込む者はそれほど多くありませんでした」と言います。また、抽象的な表現を使用しているため、職員個人が自分事として捉えづらい側面があったことも考えられます。これらの理念や行動規範を、いかに職員一人ひとりに自分事として捉えてもらうかが成否を分けるポイントだと言えるでしょう。

三宅町の取り組み

ここで、これらの課題に対する三宅町の取り組みをご紹介いたします。

①心理的安全性の確保

三宅町の「バリュー」では『対話・挑戦・失敗』を掲げていますが、行政組織が失敗を全面に押し出すのは非常に珍しいことです。この理由について、森田町長は「行政というのは『失敗してはいけないもの』という、強迫観念のようなものがあります。そんな環境では新規事業など、新たな一歩を踏み出すことはできません。挑戦を励行し失敗は成功の種にすればいいのです!」と公言しています。
 例えば既存事業を縮小する際、森田町長は「私自ら関係する住民へ説明しに行くこともあります。きちんと説明してご理解をいただけるよう努めております。」と話しており、実際に町長をはじめとした管理職が現場に出向くことを示し、職員の心理的安全性の確保を体現しています。その結果、職員による既存事業の見直しや縮小・廃止の提案が挙がってくるなど、これまでにない自発的な行動が見られるようになったとのことです。

②人事評価

さらに、三宅町ではビジョン・ミッション・バリューの考え方を人事評価に組み込みました。抽象的な理念や行動規範を実務と結びつけることにより、職員個人へ理解を促しています。また、以前より行われている定期的な上司との面談も、これらを再認識する良い機会となっています。

 

まとめ

 三宅町では官民連携を推進する体制づくりの土台として、独自のビジョン・ミッション・バリューを定めました。また、これらを職員に対し自分事として浸透させるため、心理的安全性の確保や人事評価などの工夫も凝らされており、官民連携を推進するための取り組みがされていました。

次回は、住民の困りごとをどのように解決できたのか、具体的な官民連携事例を基に紹介し、そのノウハウを探っていきます。

 

(続く)