<section id="coverWrap" class="transbox clearfix">

      <section id="lead">
        <p><b>近年では、政府の子育て支援対策が急務とされています。共働き世帯やひとり親世帯など、多様な世帯の増加も背景にあります。今後の有効な取り組みとしては、ICTの活用による子育て支援の強化が進められている状況です。ICTを活用することにより、母子に対するサポート体制を整え、より安心できる暮らしへとつながるよう期待されています。今回は、妊娠・出産・子育て支援PHRモデルについて解説していきます。<br>
</b></p>
<p><span class="mokuji"><span class="mokuji_title">【目次】</span><br>
<a href="#01">■妊娠・出産・子育て支援PHRモデルの概要</a><br>
<a href="#02">■妊娠・出産・子育て支援PHRモデルの目的および背景</a><br>
<a href="#03">■地域IoT実装推進ロードマップにおける妊娠・出産・子育て支援PHRモデルの概要</a><br>
<a href="#04">■妊娠・出産・子育て支援以外のPHRサービスモデル</a><br>
<a href="#05">■群馬県前橋市の妊娠・出産・子育て支援PHRモデル事業</a><br>
<a href="#06">■「情報通信技術利活用事業費補助金（地域IoT実装推進事業）」について</a><br>
</span></p>

      </section>



      <section id="content">

<h2 class="content-title"><span id="01" class="bord">妊娠・出産・子育て支援PHRモデルの概要</span></h2><p>妊娠・出産・子育て支援PHRモデルは、妊娠・出産・子育て関連において、医療や介護、健康の個人データを集約し、ネットワークでつないで医療機関に提供し、母子に対する健康支援などへ活用するものです。各自治体が保有している乳幼児健診や予防接種関連のデータ、産科医院で受診した妊婦健診関連のデータのほか、お薬手帳のデータ、妊婦本人のバイタルデータなどが含まれます。</p>
<p>収集されたデータは、母子に対する効果的で適切な健康支援のみならず、緊急時の迅速な救急搬送や応急措置にも活かされます。さらにデータを二次使用することで、疾病予防研究にも活用されるなど、多角的で効果的なデータ活用が可能です。</p>
<h2 class="content-title"><span id="02" class="bord">妊娠・出産・子育て支援PHRモデルの目的および背景</span></h2><p>政府が早急に取り組むべき重要分野のひとつとして、子育て支援を挙げています。近年ではデータの利活用の基盤が整備されつつあり、今後は全国各地への利活用拡大が見込まれている状況です。</p>
<p>その背景には、少子化・出生率の低下を少しでも食い止める目的があります。本人同意の上で妊娠・出産・子育て関連のデータを利用し、各個人の状況に応じたサービス提供によって子育て負担を軽減する対策が必要だと考えられているのです。</p>
<p>「ICT地域活性化大賞2017」では、信頼できる知人や友人とつながって利用できる「子育てシェア」を運営しているAsMamaが大賞/総理大臣賞を受賞しました。ICTを活用した取り組みも近年高まっており、今後政府としても積極的にICTを活用した子育て支援強化を図ろうと考えています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="03" class="bord">地域IoT実装推進ロードマップにおける妊娠・出産・子育て支援PHRモデルの概要</span></h2><p>政府は地域IoT実装推進ロードマップを作成し、2016年度から5か年計画で取り組んでいます。その中で、子育てに関する各家庭の負担を少しでも軽減することも掲げられています。</p>
<p>開発・展開・促進を進め、最終的な2020年度の目標としては、実装する主体が20団体、利用者は3万人です。実装主体とは、自治体やPHRサービスを展開する民間事業者ですが、各地域での積極的な取り組みが欠かせません。政府は、目指すべき目標を達成することで、子育て不安の軽減および安心な子育てにつながると考えています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="04" class="bord">妊娠・出産・子育て支援以外のPHRサービスモデル</span></h2><p>近年では、クラウドやモバイルなどが急速に普及し、PHRの活用もされるようになってきました。日本では日本研究医療開発機構（AMED）の研究開発事業において、2016年度から2018年度の3年間で、妊娠・出産・子育て分野以外にも、以下のような分野の開発などを実施しています。</p>
<p>・疾病・介護予防PHRモデル<br>
・生活習慣病重症化予防PHRモデル<br>
・医療・介護予防PHRモデル</p>
<p>疾病・介護予防PHRモデルでは、介護保険や健康診断データ、個人のバイタルデータを活用するものです。その結果、個人の介護リスクスコアの評価によってそれぞれに応じた介護予防サービスを提供できるように整備します。</p>
<p>生活習慣病重症化予防PHRモデルでは、保険者が保有している特定健診データや、病院などから取得する新設・検査データ、薬局などから取得する調剤データ、腕や服などにつけられるウェアラブル端末などから取得するバイタルデータを活用するものです。疾病管理事業者のサービスとうまく組み合わせることにより、糖尿病の重症化を予防することが期待されます。</p>
<p>医療・介護連携PHRモデルでは、かかりつけ連携手帳を電子化して、各種データを利用します。引越しや震災などの際、転居先・避難先などでデータを提示することにより、適切な診療や介護サービスができるようにするものです。</p>
<h2 class="content-title"><span id="05" class="bord">群馬県前橋市の妊娠・出産・子育て支援PHRモデル事業</span></h2><p>妊娠・出産・子育て支援PHRモデルとして、群馬県前橋市の取り組みを例にして見てみましょう。前橋市は2016年度から2018年度まで、「妊娠・出産・子育て支援PHRモデル」に取り組みました。本人から同意・認証を受け、マイナンバーカードを使って、妊婦健診など妊娠・出産・子育て関連に必要な各種データを集約しました。</p>
<p>調剤データについては、既存の電子お薬手帳と認証連携する形でデータを共有することができます。一方でユーザーは、市が提供する母子手帳アプリを活用できます。健診や予防接種データなどの閲覧ができるだけでなく、子どもの成長記録も入力できるようになっています。</p>
<p>さらに、子どもの身長・体重・産後の問診情報などを研究機関がデータ分析することで、成育状況に応じた適切な情報を提供できるよう整備されます。成長曲線を把握して子どもの成育状況を分析、母親に関しては産後うつリスクなどの面から分析するものです。子育てに関して養育者のストレス軽減につながると期待されます。</p>
<p>この他、個別データを活用することで、万一の救急搬送時などにも生かすことができるようにしました。マイナンバーカードによる認証方式で、救急車に搭載されている専用タブレットからPHRを閲覧できるしくみです。本人の意識状態などによって説明できない場合も、迅速で効果的な応急措置が実現しました。</p>
<p>PHRに必要なデータ項目は、日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会と協力して最低限のミニマムデータを検討しました。</p>
<p>前橋市における母親約40名のへのアンケート結果では、妊娠・出産・子育て支援PHRは育児に役立つと回答した人が80％にものぼりました。この他、2018年度に約250名の母親に対して行なった実証では、PHR利用者は非利用者と比べて、3月末の時点で任意の妊婦健診における受診率が約20％も高かったことがわかっています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="06" class="bord">「情報通信技術利活用事業費補助金（地域IoT実装推進事業）」について</span></h2><p>地域IoT実装推進ロードマップの実証・取り組みなどをもとにした「分野別モデル」の普及・展開を目的に、2019年度予算として「情報通信技術利活用事業費補助金（地域IoT実装推進事業）」が公募されました。</p>
<p>公募された要件のなかには妊娠・出産・子育て支援PHRモデルも含まれており、横展開事業であることとされています。子育て支援プラットフォームでの提案・採択候補に入っている申請も複数あります。補助金をうまく活用することで、地域で子育て支援の強化にもつながるでしょう。</p>
<div style="background-color: #f7f7f7;padding: 10px 15px;display: block;">
<p>
<b>〈参照元〉</b></p>
<p>総務省_子育て分野におけるICT/IoTの活用促進<br>
(<a href="https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/h300307/pdf/ref10.pdf" target="”_blank”">https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/h300307/pdf/ref10.pdf</a>)</p>
<p>総務省_重点分野の新たな設定について<br>
(<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/000538797.pdf" target="”_blank”">https://www.soumu.go.jp/main_content/000538797.pdf</a>)</p>
<p>厚生労働省_総務省PHR利活用モデル研究事業について<br>
(<a href="https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11921000-Kodomokateikyoku-Soumuka/15.pdf" target="”_blank”">https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11921000-Kodomokateikyoku-Soumuka/15.pdf</a>)</p>
<p>総務省_令和元年度予算「情報通信技術利活用事業費補助金（地域IoT実装推進事業）」に係る採択候補の決定及び追加公募の実施<br>
(<a href="https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000218.html" target="”_blank”">https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu06_02000218.html</a>)</p>
<p>厚生労働省_総務省のPHRに関する取組<br>
(<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000546637.pdf" target="”_blank”">https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000546637.pdf</a>)</p>
<p>総務省_地域IoT実装推進ロードマップ分野別モデルの概要<br>
(<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/000633196.pdf" target="”_blank”">https://www.soumu.go.jp/main_content/000633196.pdf</a>)</p>
<p>総務省_道北北部医療ネットワークx IoT連携体制構築<br>
(<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/000633190.pdf" target="”_blank”">https://www.soumu.go.jp/main_content/000633190.pdf</a>)</p>
<p>
</p>
</div>





      </section>







    </section>

妊娠・出産・子育て支援ＰＨＲモデルについて【自治体事例の教科書】

<p>株式会社ワコムは、官公庁の窓口業務をはじめ様々な用途で液晶ペンタブレットを活用したソリューションをご提案しています。<br />今回は前橋市都市計画部建築指導課様での実証事例をご紹介します。</p>
<hr />
<h4 id="実証事例前橋市-都市計画部建築指導課">実証事例：前橋市 都市計画部建築指導課</h4>
<p>令和４年にデジタル田園都市国家構想推進交付金の対象事業として、『建築確認の電子申請化』及び『関連情報調査のワンストップ化（窓口閲覧システム等の導入）』を進めております。<br /><br />建築確認検査の電子申請は特定行政庁および指定確認検査機関のいずれでも実施できるようになっておりますが、指定確認検査機関の方が電子申請の取組みを先行しており、既に電子申請率が７割程度の検査機関もあります。そこで前橋市でも、窓口へ出向く時間と手間を省き、更に手数料もキャッシュレス決裁を導入することで申請者の利便性向上を図るため、令和５年度から建築確認の電子申請化に取り組むことに致しました。<br /><br />オンラインで届いたPDFファイルの図面審査を電子ファイルのまま審査できる仕組みがないか模索していたところ、ワコムの液晶ペンタブレットと図面専用PDFソフトウェアを活用すれば解決できそうなことがわかり、実証を企画しました。<br /><br />具体的には、建築確認や長期優良住宅認定の電子申請を想定し実証を行いました。大画面で拡大・縮小その他の機能についても直感的に操作できるため、サイズの異なる図面でも審査しやすく、電子申請の審査に対して抱いていた抵抗感が払拭されました。<br /><br />今後は電子申請の受付システムを環境整備するのに併せて審査環境も整え、消防局をはじめ関係各課との連携や作業スペースを確保し、開発許可申請など電子データでの提出が難しいものへの対応といった課題を解決していくことを考えています。</p>
<h5 id="審査イメージ">審査イメージ</h5>
<div class="images-row mceNonEditable">
<div class="images-row-item"><center><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jt-staff2/20221012/20221012155551.png" width="430" height="292" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></center></div>
<div class="images-row-item"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jt-staff2/20221012/20221012155615.png" width="433" height="292" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></div>
</div>
<hr />
<p>全国の消防本部で消防同意の申請や着工届など図面関係の申請が一斉にオンライン申請で受付が始まっていきます。建築主事がいる自治体の建築部局におかれても、各自治体の消防局と連携して前橋市のようにPDF図面を活用し、審査業務の改善など検討をする自治体が増加してくると言われています。<br /><br />ワコムでは、これからもこのような課題に対して職員や住民の利便性向上にむけた製品を提供し、社会貢献につながる活動を続けて参ります。</p>
<center>
<div class="jto-p-buttonGroup"><a href="https://www.wacom.com/ja-jp/for-business/contact" target="_blank" class="jto-c-button jto-c-button__primary">製品・ソリューションに関するお問い合わせはこちら</a></div>
</center>
<p>株式会社ワコム　ビジネスソリューション<br /><a href="mailto:forbusiness@wacom.co.jp">forbusiness@wacom.co.jp</a><br /><a href="https://wacom-for-business.jp/public/" target="_blank">https://wacom-for-business.jp/public/</a></p>
<p> </p>
<div>株式会社ワコム</div>
<table>
<tbody>
<tr>
<th>所在地</th>
<td>〒160-6131　東京都新宿区西新宿8-17-1住友不動産新宿グランドタワー31階</td>
</tr>
<tr>
<th>電話番号</th>
<td>03-5337-6704</td>
</tr>
<tr>
<th>Fax</th>
<td>03-5337-6514</td>
</tr>
<tr>
<th>URL</th>
<td><a href="https://www.wacom.com/ja-jp/for-business" target="_blank">https://www.wacom.com/ja-jp/for-business</a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

ワコムは20年以上に渡り培ってきたデジタルインクの技術を活用し、自治体窓口における届出申請の電子化を中心に、警察・消防の通信指令室でのコミュニケーション用途、裁判所の証言台における記述、気象庁のアメダスなど、公共機関のさまざまな分野で新しいICTソリューションをご提案しています。「紙とペン」の使い心地をそのまま再現した液晶ペンタブレットは、各業務を電子化する際の「手書き」個所をいかにデジタル入力するかという課題を解消することが可能です。また、手書き機能を各システムへ実装する際の開発支援ツールも提供しており、業界全体にデジタルインク技術を広めるご提案も行っています。

PDF図面審査における液晶ペンタブレット導入事例【前橋市】

<section id="coverWrap" class="transbox clearfix">

      <section id="lead">
        <p><b>MaaSは、ICTを利用して交通をクラウド化し、マイカー以外の車両の動きをコントロールする新しい交通サービスの概念です。例えば、スマホのアプリで目的地までの交通手段やルートを検索し、運賃の決済も行えるようになります。MaaSは、これまでの交通の概念を覆すもので、まだはっきりした定義がありません。そのため、どこまでをMaaSととらえるかは、国によって見解が分かれます。しかし、世界各国がMaaSの開発に取り組んでおり、今後交通サービスを一新するものとして期待されています。日本各地で行われている、MaaS導入の取り組みの実例を見てみましょう。<br>
</b></p>
<p><span class="mokuji"><span class="mokuji_title">【目次】</span><br>
<a href="#01">■群馬県前橋市</a><br>
<a href="#02">■滋賀県大津市</a><br>
<a href="#03">■北海道</a><br>
<a href="#04">■茨城県</a><br>
<a href="#05">■福島県南相馬市</a><br>
<a href="#06">■大都市・大都市近郊・地方都市</a><br>
</span></p>

      </section>



      <section id="content">

<h2 class="content-title"><span id="01" class="bord">群馬県前橋市</span></h2><p>前橋市のMaaS導入は、前橋市内の交通網を再構築するため、経済産業省、国土交通省の支援を受けて行われています。これは、経済産業省がスマートモビリティチャレンジとして、新しいモビリティサービスの社会実装に取り組む、「パイロット地域」の募集に前橋市が応募したものです。国土交通省は、MaaSの実装にかかる費用を支援します。</p>
<p>具体的には、前橋版MaaSを導入して、市内公共交通の一括ルート検索・予約・決済をスマホアプリで可能にするというものです。実証実験の内容は、前橋市内公共交通の一括ルート検索と、タクシー、デマンド交通の配車予約、運賃の決済、旅館や飲食店など商業施設等とのシステム連携が円滑に実施できることを検証します。</p>
<p>現在、前橋市では収益性の高い路線にバス会社が集中しており、低収益路線を廃止したりバスの本数を減らしたりする方向に傾いています。また、交通渋滞によりバスの大幅遅延が頻発しており、低収益路線ではこれに運行本数の減少が加わって、さらに悪化しているのが現状です。それに加え、マイタク利用によるバス離れやマイカー依存度も高くなってきたため、こういった現状を打開するために、前橋市ではMaaSの導入を進めようとしています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="02" class="bord">滋賀県大津市</span></h2><p>滋賀県大津市では地域の交通状況の改善を目的として、MaaSの導入を検討しています。そのためには実証実験を行う必要がありますが、実験を通して自動運転が地域に受け入れられるかを確認します。また、実証実験した場所にどの程度MaaSを導入する必要性があるかについても、確かめます。</p>
<p>MaaS導入について、運営面、安全面、技術面でどのような課題があるかを確認し、MaaSを活かした新たなビジネスモデルも検討課題に上がっています。令和元年11月2日～8日に、車両は先進モビリティ車両（日野ポンチョ改良小型バス）を使用し、実験時の走行速度は最大40km/hまでとし、自動運転化レベル3相当、レベル4（一部区間）で実験を行いました。</p>
<p>結果としては、自動運転バスの走り方（速度、ブレーキ、車線変更）について、乗車する前は不安に感じていた人も、約80%の方が試乗後、安全もしくは少し安全と回答しています。</p>
<p>今後の展開として、大津市では、地方都市型MaaSと観光地型MaaSを合体したいと考えています。現在大津市では、交通機関の乗り継ぎが複雑でわかりにくい、待ち時間が多く所要時間の予測が立てにくいといった、地方特有の問題を抱えています。そこで、MaaSアプリを導入し、交通機関の一括検索が可能になるため、待ち時間が大幅に短縮できるとともに、運賃の一括決済もできるようになります。しかもMaaSアプリは二か国語に対応しているので、インバウンド収益の拡大にも大きな期待が寄せられています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="03" class="bord">北海道</span></h2><p>北海道の公共交通は、人口減少に伴い利用者が減る一方で、高齢者の増加に加えインバウンドが急増したため、住民や観光客の移動手段としてますます重要になっています。平成30年3月に策定した「北海道交通政策総合指針」により、北海道では「シームレス交通戦略」の重要性が認識され、ストレスのない移動の実現を目指すためにMaaSの導入を検討しています。MaaSを導入すれば、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関を総合的に連携した、まったく新しい交通ネットワークが北海道に誕生することになります。</p>
<p>MaaS導入の効果を確認する実証実験では、従来の公共交通の問題点を解消できるかどうかが焦点となります。これまでは、バス停や路線が分からないとか、目的地までのバスの運賃が分からない、タクシーの運賃が高そうで気になるといった不安がありました。</p>
<p>こういった、北海道住民と観光客の双方が抱える不安を、MaaSを導入することによって解消しようというわけです。北海道では、十勝をはじめとした道内各地で、この実証実験で得た情報を活用し、北海道におけるMaaS導入拡大の足掛かりにしたいとしています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="04" class="bord">茨城県</span></h2><p>茨城県では、顔認証やアプリを活用したキャンパスMaaSと、医療MaaSの実証実験を計画しています。実験の概要は、公共交通機関を利用する際に顔認証とアプリを組み合わせ、キャンパスMaaSや医療MaaS実装に向けた検証をしようというものです。「キャンパスMaaS」では顔認証のできるサイネージポストを利用して、バス乗降時のキャッシュレス決済の実証実験を行います。</p>
<p>また、AIを活用した乗降客の流れの予測や、「つくばモデル」アプリの開発も検討しています。さらに、待ち時間を解消するために、バス運行の効率をアップするための支援システムの開発も計画されています。「つくばモデル」アプリを活用すれば、高齢者や身障者などの交通弱者の乗降車支援、シェアサービスなどが可能です。</p>
<p>茨城県はマイカー利用率が高く、頻発する交通事故対策、高齢者の移動のための交通手段の確保が緊急課題となっており、これがMaaS導入の最大の動機となっています。「医療MaaS」は、バス乗降時の顔認証を利用して、病院受付、診療費会計処理を行うサービスです。MaaSの顔認証の副次的な利用法として導入が検討されています。顔認証とアプリを利用した予約受付、決済照合の実験は、延べ2,000人の協力者を得て行われます。</p>
<h2 class="content-title"><span id="05" class="bord">福島県南相馬市</span></h2><p>南相馬市は再生可能エネルギー推進ビジョンを掲げ、再生可能エネルギーの地産地消により、地域循環型のシステム作りを進めています。「原子力に依存しないまち」「災害に強いまち」「地域環境への貢献」をコンセプトに、「省エネルギーの推進」「再生可能エネルギーの積極的利用」「南相馬市版スマートコミュニティの構築」の実現に取り組もうとしているのです。また、南相馬市では「南相馬ソーラー・アグリパーク事業」を展開しており、太陽光発電所・植物工場・体験学習を組み合わせた仕組みを作り上げ、地域循環モデル事業として官民協働で取り組んでいます。</p>
<p>太陽光発電所の余剰電力販売による利益を再エネ体験学習・人材育成に活用し、太陽光発電でエアドーム型植物工場の電気をまかなっています。南相馬市では、再生可能エネルギー発電所を整備し、エネルギーの地域循環を実現させることにより、エアドーム型植物工場を地元農業生産法人に無償貸与して、一次産業の再生も進めようとしています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="06" class="bord">大都市・大都市近郊・地方都市</span></h2><p>現在、新モビリティサービス推進事業の先行モデル事業として、全国各地でMaaSの実証実験が行われています。その中から、大都市・大都市近郊・地方都市型のMaaS実証実験についても触れておきましょう。以下の実証実験が行われています。</p>
<p>・神奈川県川崎市と箱根町「神奈川県における郊外・観光一体型MaaS実証実験」<br>
・兵庫県神戸市「まちなか自動移動サービス事業実証実験」<br>
・茨城県日立市「日立地域MaaS実証実験」<br>
・静岡県静岡市「令和元年度静岡型MaaS基幹事業実験」</p>
<p>MaaSアプリを活用すれば、複数の交通サービスのルート検索だけでなく、日常生活に関するさまざまなサービスの検索・決済が可能となります。そのため、今後は交通機関のサービス統合だけでなく、いろんな場面でMaaSアプリの活用が期待されています。</p>
<div style="background-color: #f7f7f7;padding: 10px 15px;display: block;">
<p>
<b>〈参照元〉</b></p>
<p>群馬県前橋市_プロジェクト:スマートモビリティチャレンジ<br>
(<a href="https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/9/6siryou5.pdf" target="”_blank”">https://www.city.maebashi.gunma.jp/material/files/group/9/6siryou5.pdf</a>)</p>
<p>滋賀県大津市_第四回大津市自動運転実用化プロジェクト会議<br>
(<a href="https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/26/toujitsusiryou.pdf" target="”_blank”">https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/26/toujitsusiryou.pdf</a>)</p>
<p>北海道_MaaSを活用した実証実験の実施計画（案）<br>
(<a href="http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/010829shiryou6.pdf" target="”_blank”">http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/010829shiryou6.pdf</a>)</p>
<p>茨城県_顔認証やアプリを活用するキャンパスMaaS及び医療MaaS実証実験<br>
(<a href="https://www.pref.ibaraki.jp/sangyo/kagaku/kenkyu/documents/maas.pdf" target="”_blank”">https://www.pref.ibaraki.jp/sangyo/kagaku/kenkyu/documents/maas.pdf</a>)</p>
<p>内閣府_地方創生推進室_南相馬市環境未来都市計画<br>
(<a href="http://doc.future-city.go.jp/pdf/torikumi_city/minamisouma_panel.pdf" target="”_blank”">http://doc.future-city.go.jp/pdf/torikumi_city/minamisouma_panel.pdf</a>)</p>
<p>経済産業省_先行モデル事業概要<br>
(<a href="https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190618004/20190618004_02.pdf" target="”_blank”">https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190618004/20190618004_02.pdf</a>)</p>
<p>
</p>
</div>





      </section>







    </section>

MaaSについて・実施事例【自治体事例の教科書】

<section id="coverWrap" class="transbox clearfix">

      <section id="lead">
        <p><b>子育て支援プラットフォームにおける各自治体の実施事例をご紹介します。地域におけるIoT実装推進においては、シェアリングエコノミー型の子育て支援システムをはじめ、地域の実情やニーズに基づき、各自治体でさまざまな取り組みが行われています。<br>
</b></p>
<p><span class="mokuji"><span class="mokuji_title">【目次】</span><br>
<a href="#01">■地域IoT実装推進事業における子育て支援プラットフォームの活用法について</a><br>
<a href="#02">■山梨県忍野村の実施事例</a><br>
<a href="#03">■京都府の実施事例</a><br>
<a href="#04">■神奈川県横浜市の実施事例</a><br>
<a href="#05">■大阪府池田市の実施事例</a><br>
<a href="#06">■群馬県前橋市の実施事例</a><br>
</span></p>

      </section>



      <section id="content">

<h2 class="content-title"><span id="01" class="bord">地域IoT実装推進事業における子育て支援プラットフォームの活用法について</span></h2><p>総務省で推進する地域におけるIoT実装の推進の取り組みにおいて、多くの自治体が抱える課題の1つである少子化対策を踏まえた子育て支援のためのプラットフォーム利用が挙げられます。大きく5つのモデルケースがあります。</p>
<p>1つ目はシェアリングエコノミー型の子育て支援システムで、子育て経験を持つ地域住民との共助で、地域で子育てを助け合う仕組みを提供するものです。</p>
<p>2つ目として、ビッグデータ利活用型の保育所入所選考AIマッチングも自治体の導入事例が増えています。AIの活用で保育所利用調整業務の省力化を図り、保護者への決定通知の早期発信を実現できます。</p>
<p>3つ目の子育てワンストップサービスは、マイナポータル等を活用したオンライン申請により、子育て家庭の利便性向上を図るシステムです。</p>
<p>4つ目は妊娠・出産・子育て支援PHRです。自治体が保有する乳幼児健診や予防接種のデータ、産科医院の妊婦健診データやお薬手帳のデータ、妊婦のバイタルデータなどをPHRとして収集して関係者で共有・活用することで、母子への効果的な健康支援が実現できるプラットフォームです。</p>
<p>5つ目のテレワークは、子育て世帯に子育てと両立できる柔軟な働き方を実現できるICTシステムを構築する取り組みです。</p>
<p>これらのモデルケースを実際に実現している自治体の取り組みを見ていきましょう。</p>
<h2 class="content-title"><span id="02" class="bord">山梨県忍野村の実施事例</span></h2><p>山梨県南都留郡忍野村では子育て支援ポータルサイト「こそだてOSHINO」を開設しました。忍野村が提供する子育て支援事業をはじめ、妊娠・出産・育児についての有識者のコラムなど、子育てに役立つ情報が集まっており、パソコンをはじめ、スマートフォンやタブレットで気軽にアクセスできます。</p>
<p>妊娠から出産、乳幼児の子育ての制度やサービスが集約されており、子どもの年齢に合わせた子育て支援情報や健診、予防接種、保育所・認定こども園や幼稚園の情報もテーマ別にまとめられており、いつでもどこでも気軽に情報を検索できるプラットフォームです。</p>
<p>また、「電子母子手帳」のサービスも提供されており、登録した母親たちから便利だと喜ばれています。予防接種の目安日が通知されたり、法定健診結果や妊娠週数・月齢に合わせた情報の閲覧ができたりするほか、出生後のお子様の成長の様子を記録できるアプリとなっています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="03" class="bord">京都府の実施事例</span></h2><p>京都府では宇治・亀岡・京都発となる地域ぐるみ、子育てのつながりづくり応援サイト「ぐるみぃ」が提供されています。お互いのありがとうでつながる、地域ぐるみの子育てを応援するサイトです。パソコンやスマートフォンを通じて食事や知育などの子育て情報や、動画等を受発信できます。はじめての子育てで不安な方や、子育てに悩んだり、迷ったりしたときに気軽に情報を得られます。</p>
<p>また、平成22年度における「子育てにやさしい京都府づくり推進事業」でNPOとの協働の取り組みによってスタートさせた、子育て情報携帯メール配信「あったかめーる」は京都府内全域に配信エリアが拡大され、京都の子育てママたちからの子育て情報や、各地域別の情報が携帯メールへと配信されるようになりました。</p>
<h2 class="content-title"><span id="04" class="bord">神奈川県横浜市の実施事例</span></h2><p>自治体と企業とが協働して展開する子育て共助支援プラットフォームを利用した子育てシェアを通じて、保護者の多様な働き方ニーズと託児ニーズの両立を実現する取り組みです。共助支援プラットフォームの運営について横浜市と協定を締結することで、安心感が生まれ、子育てシェアの登録者を増やしています。登録料や手数料をかけずに利用でき、システムの運営費は協働企業のマーケティング費用から捻出されるので、1時間500～700円と低料金で託児や送迎の利用ができるのが魅力です。</p>
<p>また、子育て支援者全員に最高5,000万円までの賠償責任保険が適用されるので、支援したい人も安心して支援ができます。パートナー企業との協働プロジェクトやイベント、プラットフォーム提供者主催の交流会に参加することもでき、オフラインでのママ友づくりや地域の支援者と触れ合う機会が提供されています。</p>
<h2 class="content-title"><span id="05" class="bord">大阪府池田市の実施事例</span></h2><p>大阪府池田市では、少子化が進み子育て支援策が望まれる一方で、共働き世帯や一人親家庭の増加と保育ニーズの多様化により、保育所等の入所申込に対する選考に要する人員や時間が膨大になるという矛盾に陥っていました。選考事務や手続きに時間が費やされ、市民のニーズを的確に聞き取って、今ある行政サービスの中から適切なサービスを提供したり、ニーズに即した新たなサービスを構築したりする業務に注力できない状況になっていたのです。</p>
<p>従来は4月入所選考会における入所者の決定業務に3人の職員で6日間、約140時間を費やし、選考会において決定した入所内定や保留といった情報をシステムのデータベースに登録する作業に3人の職員で4日、約90時間と合計230時間もの時間を費やしていました。子育て支援（保育所等入所）AIマッチング事業を導入することで、入所選考をわずか数秒で完了させることができるようになります。選考業務の大幅な時間短縮が図られ、保護者への結果通知が早期に行えるようになる結果として、保護者の職場復帰がスムーズに実現できるのがメリットです。</p>
<p>保護者が就労しやすい環境を整えることで地域の活性化が促され、子育てしやすいまちづくりが実現するのです。同時に職員の働き方改革が推進され、事務業務の軽減とともに、よりきめ細やかな住民サービスへの注力が可能となります。</p>
<h2 class="content-title"><span id="06" class="bord">群馬県前橋市の実施事例</span></h2><p>群馬県前橋市では、妊娠・出産・子育て支援PHRモデルを構築し、2018年度にシステム・アプリを利用したフィールド実証を実際の病院や妊産婦の協力を得て実施しました。自治体が保有する乳幼児健診や予防接種に関するデータ、産科医院における妊婦健診のデータ、妊婦が保有するお薬手帳のデータやバイタルデータなどをPHRとして収集します。これを関係者で共有・活用することにより、母子への効果的な健康支援や迅速な救急医療の実現、データの二次利用による疾病予防研究などへの有効活用に取り組むものです。</p>
<div style="background-color: #f7f7f7;padding: 10px 15px;display: block;">
<p>
<b>〈参照元〉</b></p>
<p>山梨県忍野村_忍野村ホームページ<br>
(<a href="https://www.vill.oshino.lg.jp/docs/2017112400015/" target="”_blank”">https://www.vill.oshino.lg.jp/docs/2017112400015/</a>)</p>
<p>山梨県忍野村_忍野村ホームページ<br>
(<a href="https://www.vill.oshino.lg.jp/info/2017112200028/" target="”_blank”">https://www.vill.oshino.lg.jp/info/2017112200028/</a>)</p>
<p>京都府_京都府ホームページ<br>
(<a href="https://www.pref.kyoto.jp/kosodate/jigyo.html" target="”_blank”">https://www.pref.kyoto.jp/kosodate/jigyo.html</a>)</p>
<p>総務省_子育て共助プラットフォーム「子育てシェア」の利活用促進<br>
(<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/000564275.pdf" target="”_blank”">https://www.soumu.go.jp/main_content/000564275.pdf</a>)</p>
<p>総務省_「地域IoT実装推進事業」実施事業について（平成29・30・令和元年度）<br>
(<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/000662002.pdf" target="”_blank”">https://www.soumu.go.jp/main_content/000662002.pdf</a>)</p>
<p>総務省_AI・IoT等を活用した子育て支援の取組<br>
(<a href="https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/taikou_4th/k_5/pdf/s6.pdf" target="”_blank”">https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/taikou_4th/k_5/pdf/s6.pdf</a>)</p>
<p>総務省_地域IoT実装推進ロードマップ（改定）<br>
(<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/000547394.pdf" target="”_blank”">https://www.soumu.go.jp/main_content/000547394.pdf</a>)</p>
<p>
</p>
</div>





      </section>







    </section>

子育て支援プラットフォームについて・実施事例【自治体事例の教科書】

<p>【自治体通信Online 寄稿記事】<br /><span style="color: #0000cc;"><strong>みなかみ町の大胆インバウンド戦略【第Ⅱ章】#1（みなかみ町 職員・阿部 真行）</strong></span></p>
<div style="clear: both; background-color: #f7f7f7; padding: 10px 20px;">いわゆる“水際対策”が大幅緩和されることなどから訪日外国人観光客の急増が予想されており、“インバウンド復活”に備える自治体が多いようです。そうしたなか、コロナ禍においてもさまざまな方法で国際交流を続け、アフターコロナを見据えた取り組みを実践してきた自治体があります。コロナ禍前には、交通アクセスがよくないことを逆手にとった「秘境ブランディング」や地域を巻き込んだ「体験コンテンツ」などで大きな成果を挙げた、みなかみ町<span style="font-size: 80%;">（群馬）</span>です。同町のインバウンド担当者である阿部 真行さんに、他の小規模自治体でも実施できる事業等の解説をしてもらいながら、コロナ禍という“インバウンド氷河期”にどんなタネをまき続け、どのような花が咲き、実をつけるのか、同時進行ドキュメントを連載してもらいます。
<ul class="table-of-contents">
    <li><a href="#大きな成果を挙げていた事業が突然中止">大きな成果を挙げていた事業が突然中止!</a></li>
    <li><a href="#人を動かせなければ">人を動かせなければ…</a></li>
    <li><a href="#Friendshipbox図書館交流"> Friendshipbox図書館交流</a></li>
    <li><a href="#ランタン交流神様交流">ランタン交流・神様交流</a></li>
    <li><a href="#物産交流マンゴーパイナップル日本酒">物産交流～マンゴー・パイナップル・日本酒</a></li>
    <li><a href="#中断しても遮断はしない">中断しても「遮断」はしない!</a><ul>
            <li><a href="#阿部-真行あべ-まさゆきさんのプロフィール">■阿部 真行（あべ まさゆき）さんのプロフィール</a></li>
        </ul>
    </li>
</ul>
</div>
<h4 id="大きな成果を挙げていた事業が突然中止"><span style="color: #ff0000;">大きな成果を挙げていた事業が突然中止<span style="font-size: 80%;">!</span></span></h4>
<p>コロナ禍以前の2019年～2020年初めにかけて、「小さな自治体の大胆インバウンド戦略」を自治体通信Onlineで寄稿連載させていただきました。<br /><span style="font-size: 80%;"><strong><a href="https://www.jt-tsushin.jp/article/abe_inbound_bn/" target=" blank">（参照：小さな自治体の大胆インバウンド戦略～バックナンバー）</a></strong></span></p>
<p>その時は、<strong>「前例のない方法で台湾人観光客を年間1万人」「お金をかけずに海外拠点をつくる方法」「国や県ではなく、市町村だからこそできる国際交流」</strong>など、小規模自治体であるみなかみ町が取り組んできた事例紹介をさせていただきました。おかげさまで反響も多くいただき、当時みなかみ町から台南市政府へ出向し、国際交流促進を進める立場にいた私も役割を果たせて安心していました。</p>
<figure class="figure-image figure-image-fotolife mceNonEditable" title="筆者の阿部さん。背景の建物は台南市政府">
<p><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/y/y-onuma/20230414/20230414161614.png" width="1025" height="1094" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<figcaption class="mceEditable"><span style="font-size: 80%;"><strong>筆者の阿部さん。後ろの建物は2013年から2022年まで出向していた台南市政府</strong></span></figcaption>
</figure>
<p>しかし、その後すぐ新型コロナウイルス感染症が拡大。それまで進めてきた多くの事業があっという間に中止に追い込まれました。人の往来がストップしたため、当然インバウンドは進めることができず、中学生交流やインターンシップ受入などの学生交流や日台事業者さんによる物産商談会も軒並み中止…。</p>
<h4 id="人を動かせなければ"><span style="color: #ff0000;">人を動かせなければ…</span></h4>
<p>その頃は台南市政府側の立場として日本の各友好都市と連絡を取りながらの情報収集や、当時よく報道されていた「台湾から日本へマスク等の物資を送る」という業務ばかりしていた記憶があります。</p>
<p><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/y/y-onuma/20230419/20230419140540.png" width="1122" height="1200" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<p>もちろん支援活動は必要ですし、日本と台湾はコロナ禍におけるマスクやワクチンの相互支援の他にも、地震や台風等の災害時にも助け合いながら交流の絆を深めてきた歴史があるので意義があります。</p>
<p>ただ意義ある活動をしていると言っても、私の場合はみなかみ町から派遣されている身なので、<strong>何かしら交流成果を出さなければというプレッシャーもありました。コロナがいつまで続くか予想もできなかった当時、人を動かせなければモノと情報を動かそう</strong>と考えいろいろ試しましたが、成功もあれば失敗もたくさん…。今回その中からどの自治体でも比較的実践しやすく、且つ、インバウンド復活の布石にもなりそうな事例を紹介したいと思います。</p>
<h4 id="Friendshipbox図書館交流"> <span style="color: #ff0000;">Friendshipbox図書館交流</span></h4>
<p>Friendshipbox図書館交流はコロナ禍以前から台南市が進めていた「<strong>経費がかからず、お互いの市民・町民に広く関わってもらえる国際交流</strong>」で、人の往来が必要ないのでコロナ禍には完全に実力を発揮した情報発信事業です。</p>
<figure class="figure-image figure-image-fotolife mceNonEditable" title="図書館交流">
<p><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/y/y-onuma/20230414/20230414161955.png" width="1200" height="438" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<figcaption class="mceEditable"><span style="font-size: 80%;"><strong>図書館交流の様子。左は台南市から寄贈された図書等、右は台南市の副市長（中央の女性）とみなかみ町、群馬県、沼田市、館林市、甘楽町の関係者</strong></span></figcaption>
</figure>
<p>この図書館交流については連載が終わった後の2020年3月頃に同じくこの自治体通信Online上で緊急寄稿として紹介させていただきました。興味ある方はそちらを読んでいただければ幸いです。<br /><span style="font-size: 80%;"><strong><a href="https://www.jt-tsushin.jp/article/kokusaikoryu-minakami-abe/" target=" blank">（参照：新型コロナに打ち勝つ国際交流「3つの実践」）</a></strong></span></p>
<h4 id="ランタン交流神様交流"><span style="color: #ff0000;">ランタン交流・神様交流</span></h4>
<p>台南市内の居酒屋で知り合った消防局第七分隊大隊長との出会いから生まれた企画が「ランタン交流・神様交流」です。台南市は市内至る所に廟（お寺）があり「神様の住む街」とも呼ばれています。<strong>人が動けないなら神様に交流してもらい、その後は祭り交流＝インバウンド促進に繋げる</strong>という内容です。</p>
<p>「消防局と神様がどうやってインバウンドに繋がるんだ?」と当初は台湾側・日本側双方で周囲の理解をあまり得られませんでしたが、友好都市交流事業という位置づけで何とか実施。</p>
<p>3年経った今ではみなかみ町以外に甘楽町、前橋市もランタン交流を実施。群馬県内に広がっているほか、東北地方でもランタン交流が拡大しています。これをどうやって今後のインバウンドに繋げるかは別の機会に紹介させていただきます。</p>
<figure class="figure-image figure-image-fotolife mceNonEditable" title="ランタン交流">
<p><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/y/y-onuma/20230414/20230414162225.png" width="1200" height="450" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<figcaption class="mceEditable"><span style="font-size: 80%;"><strong>2022年1月に行われたランタン交流の様子。春節（旧正月）を前に厄よけの意味が込められたランタン約2,000個とともに（左）群馬県のみなかみ町や沼田市などから送られたちょうちん約130個が台南市の消防署に飾り付けられた</strong></span></figcaption>
</figure>
<h4 id="物産交流マンゴーパイナップル日本酒"><span style="color: #ff0000;"><span style="font-size: 80%;">物産交流～</span>マンゴー・パイナップル・日本酒</span></h4>
<p>みなかみ町と台南市の交流事業は2013年6月の「第1回台南市国際マンゴー祭り」から始まり、私の台南生活もここから始まりました。このように、台湾産マンゴーに関してはコロナ前から輸入しており、台湾産パイナップル購入は中国と台湾との貿易関係悪化をキッカケに2021年から実施しています。</p>
<p>これまでフルーツは台湾⇒日本の一方通行でしたが、それだけでなく日本⇒台湾という流れも作りたかったので<strong>「群馬の地酒」を台南市で販売。コロナのため「日本に行きたいけど行けない、ならばせめて日本のモノが欲しい」と購買欲が高まっていたタイミングもあり現地デパートで売り上げ記録</strong>も作れました。</p>
<p>ただ、みなかみ町には酒蔵がないので輸入したのは高崎市の酒。みなかみ町役場職員として立場上ちょっと苦労しました（汗）。</p>
<figure class="figure-image figure-image-fotolife mceNonEditable" title="物産交流">
<p><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/y/y-onuma/20230419/20230419135644.jpg" width="1200" height="324" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<figcaption class="mceEditable"><span style="font-size: 80%;"><strong>物産交流はコロナ禍後も継続。左は群馬県庁内で行われたマンゴー交流の模様（画像は2019年のもの）、右は台南市内のデパートで2022年8月に開催し、大人気を博した「群馬の地酒フェア」の様子</strong></span></figcaption>
</figure>
<p>「モノ」と「タビ」を繋げる企画は多岐に渡りますが、今年2月からJR東日本などの関係者の皆さんと台北で<span style="color: #ff0000;"><strong>*</strong></span>越境ECでも実験できたので今後の展開を考え中です。<br /><span style="font-size: 80%;"><strong><span style="color: #ff0000;">*</span>越境EC</strong>：国内から海外へ向けて商品を販売するEC（電子商取引）のこと。</span></p>
<p>ほかにも「旅行会社の組合、その他ライオンズクラブなど民間団体交流促進のお手伝い」もさせていただきました。これは「誰でもできる」とは断言できませんが、インバウンド復活に効果アリと確信しています。</p>
<p>以上、ご紹介した事業等は、コロナ禍でも実践でき、コロナ規制が緩和された今では問題なく実施できるものばかりです。</p>
<h4 id="中断しても遮断はしない"><span style="color: #ff0000;">中断</span><span style="color: #ff0000;">しても「遮断」はしない<span style="font-size: 80%;">!</span></span></h4>
<p>この文章を書いているうちにコロナが流行り始めた当初、台湾現地の状況を伝えるためWebセミナー等を何度か開催していたことを思い出しました。</p>
<p>その頃台湾では「日本一周」ではなく「日本“上空”一周」ツアーが流行っていると紹介したところ、日本側から「何ですかソレ?」と信じてもらえなかったこともありました。台湾で「疑似出国（海外へ旅行に行けない代わりに、台湾域内で海外旅行気分を味わえるツアーのこと。日本上空一周ツアーもそのひとつ）」という新しい単語が生まれたのも今となっては懐かしいです。</p>
<p>日本も台湾も、コロナ禍による出入国規制などを段階的に緩和・撤廃しています。日本は台湾人にとって人気の旅行先で、コロナ禍以前、総人口約2,400万人の台湾から日本に訪れる観光客数は年間450万人超にも達していました。</p>
<p>コロナ収束で、日本と台湾の間で人の移動を伴う“リアルな交流”が再び盛り上がるのは間違いありません。昨年12月には、みなかみ町の阿部 賢一 町長らが台南市政府の黄 偉哲 市長を表敬し、その気運を盛り上げました。</p>
<figure class="figure-image figure-image-fotolife mceNonEditable" title="表敬訪問"><center><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/y/y-onuma/20230421/20230421095055.png" width="80%" height="80%" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></center>
<figcaption class="mceEditable"><span style="font-size: 80%;"><strong>台南市政府の黄偉哲 市長（右から3番目）を表敬訪問するみなかみ町の阿部 賢一 町長（左から3番目）。左端が筆者の阿部さん（2022年12月）。黄 市長はコロナ後にはみなかみ町との人的な相互交流のほか観光・文化・物産などの交流もさらに強化したい意向を表明</strong></span></figcaption>
</figure>
<p>今回はコロナ禍から仕掛けてきた企画・構想を一気に書きつらねましたが、次回以降、各事例の掘り下げおよび昨年3月に私が帰国以降行ってきた活動を紹介したいと思います。</p>
<p><span style="font-size: 80%;"><strong>（続く）</strong></span></p>
<center>
<div style="display: inline-block; border: 1.5px #dcdcdc solid; padding: 10px; box-shadow: 0 2px 3px 0 #ddd; background: #fff;">
<div style="margin: 0;"><center>
<div style="line-height: 1.4;"><span style="font-size: 80%;"><strong>いち早く情報をお届け!</strong></span></div>
<span style="font-size: 80%;"><strong>メルマガ登録は<a href="https://go.jt-tsushin.jp/l/794483/2022-12-12/6k5vm" target="_blank">こちらから</a></strong></span></center></div>
<div class="jto-p-buttonGroup"><strong><a href="https://go.jt-tsushin.jp/l/794483/2022-12-12/6k5vm" target="_blank" class="jto-c-button jto-c-button__primary">　メルマガ登録をする　</a></strong></div>
</div>
</center>
<p><strong>自治体通信への取材のご依頼は<span style="text-decoration: underline;"><a href="https://go.jt-tsushin.jp/l/794483/2021-01-24/32hzr" target="_blank">こちら</a></span></strong></p>
<h5 id="阿部-真行あべ-まさゆきさんのプロフィール">■阿部 真行（あべ まさゆき）さんのプロフィール</h5>
<figure class="figure-image figure-image-fotolife mceNonEditable" title="出向していた台南市政府のデスクで">
<p><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/y/y-onuma/20230419/20230419135708.png" width="50%" height="50%" loading="lazy" title="" class="hatena-fotolife" itemprop="image" /></p>
<figcaption class="mceEditable"><span style="font-size: 80%;"><strong>出向していた台南市政府のデスクで</strong></span></figcaption>
</figure>
<p><strong>みなかみ町 観光商工課 観光振興係 インバウンド担当 ／</strong><br /><strong>台南市政府 対日事務相談顧問</strong><br />高校講師などを経て、2005年にみなかみ町（群馬）に入庁。2013年6月から台南市政府に出向。台南市政府から「台南市政府対日事務相談顧問」に任命され、日台間のブリッジコーディネーターとしての役割を担う。日台双方の国家資格などを取得し、インバウンドを主とした交流を推進中。<br />昨年3月に帰国。著書に上毛芸術文化賞を受賞した<a href="https://www.amazon.co.jp/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%83%BB%E5%8F%B0%E5%8D%97%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E5%AE%89%E5%B9%B3-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%85%AC%E5%8B%99%E5%93%A1%E3%81%AE%E9%A7%90%E5%9C%A8%E6%97%A5%E8%A8%98-%E9%98%BF%E9%83%A8%E7%9C%9F%E8%A1%8C/dp/4863522266/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&amp;crid=2GJQHEL0JQ30Y&amp;keywords=%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%83%BB%E5%8F%B0%E5%8D%97%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E5%AE%89%E5%B9%B3%21&amp;qid=1681879567&amp;s=books&amp;sprefix=%E5%8F%B0%E6%B9%BE+%E5%8F%B0%E5%8D%97%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E5%AE%89%E5%B9%B3+%2Cstripbooks%2C926&amp;sr=1-1" target=" blank">『台湾・台南そして安平! ～日本公務員の駐在日記～』</a><span style="font-size: 80%;">（上毛新聞社）</span>がある。</p>
<ul>
<li>連絡先<br />電話： 0278-25-5017 （みなかみ町 観光商工課）</li>
</ul>