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音声データを配信する仕組みで、町内外を問わず防災情報を伝達

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和歌山県広川町の取り組み

防災行政無線放送の多重化

音声データを配信する仕組みで、町内外を問わず防災情報を伝達

広川町 総務課 防災担当 主査 萩 友佑
[提供]株式会社サイバーリンクス

※下記は自治体通信 Vol.34(2021年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

全国で自然災害が頻発する現在、防災情報を発信する仕組みをデジタル化し、幅広く住民に伝達できる方法を模索する自治体が増えている。ただ、システムを導入する場合、自治体にかかる費用負担は大きい。そうしたなか、広川町(和歌山県)では、既設の防災行政無線設備を活用して情報配信の多重化を図り、町内外の住民に防災情報を伝達する実証実験を行っているという。同町の萩氏に、詳細を聞いた。

[広川町] ■人口:6,800人(令和3年9月30日現在) ■世帯数:2,840世帯(令和3年9月30日現在) ■予算規模:76億1,402万円(令和3年度当初) ■面積:65.35km2 ■概要:和歌山県の中央北寄りに位置し、町中央を広川が流れ、紀伊水道に注いでいる。安政元年(1854年)の「安政南海地震」による津波が発生した際、しょう油醸造業を営む家の当主だった濱口梧陵が稲わらに火をつけて津波の襲来を住民に知らせて避難を誘導した「稲むらの火」の話が有名。その教訓から、現在でも防災に対する意識が高い。
広川町
総務課 防災担当 主査
萩 友佑 はぎ ゆうすけ

いまの防災行政無線では、住民は町外で情報を得られず

―広川町ではどのような方法で防災情報を伝えていたのでしょう。

 台風や豪雨、地震などの災害が起こった際、町内全域に注意喚起や避難所開設といった情報を、防災行政無線放送による音声のみで発信してきました。ただ放送直後、高齢者を中心に「聞き取りづらかった」「聞き逃した」との問い合わせの電話が毎回10件以上あり、その都度職員が対応し、放送内容を伝え直す必要がありました。「すぐに避難してほしい」という状況も考えられるなか、伝達の迅速さは課題でした。さらに別の課題も感じていました。

―それはなんでしょう。

 防災情報は、放送が届く町内でしか聞けないため、仕事や所用で町外にいる住民は町の防災情報を確認できないことです。そのため災害時、町内にいる家族の置かれている状況を心配する声も。また、消防団所属の住民からは、「やむなく町外にいる場合、役場に確認しないと町の災害状況がわからない」との意見がありました。

―そうした課題をどのように解決しようとしたのですか。

 防災行政無線設備を改修し、メールやSNSなどのメディアで防災情報を町外にも幅広く届ける方法を検討しました。しかし、システムの導入に多大なコストがかかることが大きな障壁でした。そんななか、当町の防災行政無線設備の保守を行うサイバーリンクスから、『防災情報マルチメディア配信サービス』の提案を受けました。

―どのようなサービスですか。

 既存の防災行政無線設備の操作卓を活用し、複数のメディアに対して音声情報を配信できるサービスです。具体的には、音声放送自体をデジタル化させ、サイバーリンクスのサーバに保存。そのサーバにアクセスできるURLを、住民のスマートフォンやPCに送る仕組みです。URLをクリックすれば、放送内容が聞け、繰り返して再生も可能。これなら防災情報を確実に伝えられ、大がかりなシステム改修を行うことなく、多額の費用もかかりません。そこで、令和2年9月に実証実験を開始しました。

ボタン一つでデータを送り、職員の負担もかからない

―効果はいかがでしょう。

 住民から「町内外で防災情報を確認できるのでありがたい」という感想があったほか、放送内容を確認する問い合わせが減りました。こうしたことから、確実に防災情報が伝わっているとの効果を感じています。そのうえ、職員は操作卓のボタンを一つ押すだけなので、業務負担は増えません。

―今後の方針を教えてください。

 今回の『防災情報マルチメディア配信サービス』に利用登録した住民約100人から「実証実験後も使ってほしい」との要望があり、今年9月までの実証実験の結果を見極め、導入を検討したいと考えています。いまはメールとホームページのみへの配信ですが、今後はSNSにも送れるようにできればと思っています。


支援企業の視点

既存の防災行政無線のままで、情報配信手法のデジタル化は可能

株式会社サイバーリンクス 公共クラウド事業部 公共システム部 主任 鎌倉 禎彦
[提供]株式会社サイバーリンクス
株式会社サイバーリンクス
公共クラウド事業部 公共システム部 主任
鎌倉 禎彦 かまくら よしひこ

―防災情報の伝達における自治体の課題はなんですか。

 防災行政無線の音声による拡声放送のみの自治体が、まだまだ多いことです。その場合、住民は「屋外拡声子局」と自宅に設置した「戸別受信機」でしか放送を聞けず、結果として聞き逃しも。そのため、スマートフォンやPCで住民が確認できるデジタル防災行政無線システムを検討する自治体が増えています。一方で、費用の観点で導入が難しく、アナログ設備もまだ残っています。そこで当社では、そうした課題を解決できる『防災情報マルチメディア配信サービス』を提案しています。

―サービスの特徴を教えてください。

 防災行政無線で放送した音声を録音し、放送直後にデジタルデータとして当社のサーバに格納。そのデータにリンクしたURLを住民にメールやSNSなどで配信できることが特徴です。既存の設備を活用でき、システムの刷新は不要です。また配信時は、防災行政無線設備の操作卓のボタンを押すだけですむ特許技術を使っているので、難しい操作は必要ありません。住民は、どこでも確実に防災情報を得られるうえ、好みの再生スピードで繰り返し鮮明に聞けるのです。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 当社のサービスでは文字情報も送信可能なため、各自治体のニーズや予算に合わせて提案が可能です。また、防災情報だけでなく、たとえば熱中症や特殊詐欺の注意喚起など、幅広く行政情報の発信にも活用できます。ぜひお問い合わせください。

鎌倉 禎彦 (かまくら よしひこ) プロフィール
昭和52年、和歌山県生まれ。平成12年、株式会社サイバーリンクスに入社。平成14年より現職。おもに防災行政無線システムの保守・構築を担う。令和3年、長年の経験から得たノウハウをもとに「防災無線システムを活用した送受信システム」の特許(特許第6919048号)を取得。
株式会社サイバーリンクス
設立 昭和39年5月
資本金 7億9,200万円
売上高 127億7,700万円(令和2年12月期:連結)
従業員数 738人(令和2年12月31日現在:連結)
事業内容 官公庁クラウド事業、流通クラウド事業、トラスト事業、モバイルネットワーク事業
URL https://www.cyber-l.co.jp/
お問い合わせ電話番号 073-484-3610 (平日9:00〜18:00)
お問い合わせメールアドレス kikaku-eigyou@cyber-l.co.jp