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広島県 の取り組み

モノづくりに強い広島県だからこそ取り組むべき施策とは

「イノベーション」を生み出すには人材の確保・育成・蓄積が不可欠です

広島県知事 湯﨑 英彦

人口減少・少子高齢化やグローバル化が進むなか、広島県では新たな県づくりを推し進めるため、平成22年に「ひろしま未来チャレンジビジョン」を策定。その柱として、取り組んでいるのが「イノベーション立県」だ。旗振り役である知事の湯﨑氏に、「イノベーション立県」を掲げた背景や、具体的な取り組みなどを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.14(2018年8月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

モノをつくるだけでなく新しい価値を生むことが重要

―就任以来「イノベーション立県」を掲げ、さまざまな取り組みを行っている背景を教えてください。

 ベースにあるのは、広島は戦後から「消費県から生産県へ」という構想を掲げて取り組んできた結果、非常にモノづくりが強い県だという点。ただし近年は、技術革新が目まぐるしく、県内の基幹産業である自動車や鉄鋼、造船、半導体などあらゆるジャンルがグローバル競争にさらされています。

 したがって、これからはただモノをつくるだけでなく、新しい価値を生み出す必要がある。そのために必要な要素こそがイノベーションであり、それを発現させる環境条件、いわゆる「イノベーション・エコシステム」を整えていかなければならないのです。

―具体的にどのような取り組みを行っているのでしょう

 医療機器や環境関連産業といった新たな産業を育成するため、研究開発やネットワークづくりなどの支援に取り組んでいます。医療機器でいうと、開始当初は年間90億円だった生産額が平成28年度は200億円に。環境関連産業は、1000億円から1236億円に増大しています。

 また、AIやIoTといった「インダストリー4.0」により、これまでにない新しいソリューションをつくり出すため、今年度から『ひろしまサンドボックス』事業を開始。企業や自治体、大学などのもつアイデアや技術、人材を呼び込み、共創して試行錯誤できるオープンな実証実験の場を構築するのが目的です。この3年間で、10億円規模を投資する予定です。

 さらに、創業を支援する『オール広島創業支援ネットワーク』を構築。県内の市町や経済団体、金融機関などの協力をえて、創業まで伴走します。ネットワークの核となる『ひろしま創業サポートセンター』にて、この5年間で累計1745件の創業を支援しました。

 また、イノベーションに取り組む多様な人材が交流できる拠点『イノベーション・ハブ・ひろしまCamps』を平成29年に開設。当初は年間3000人の利用を目標としていましたが、1万人以上の方にご利用いただいています。

人材関連の事業には投資を惜しまない

―そのほかに取り組んでいることはありますか。

 人材育成です。たとえば、『イノベーション人材等育成事業補助金』。県内の中堅・中小企業が、社員を国内外の大学や研修機関などへ派遣する場合、経費の一部を県が補助するもの。最大で、年間400万円を補助します。また個人に対しても、県内で働けば返済免除になる条件で貸しつけを行う『広島県未来チャレンジ資金』で補助を行っています。

 『イノベーターズ100(ハンドレッド)広島』も特徴的ですね。県内企業の比較的若手の方に集まっていただき、これまでイノベーションを実践してきた人から、直接アドバイスを受けながら「実際に社内でイノベーティブな事業を提案しましょう」という取り組みです。「同じ志をもつ仲間に会えた」と、参加者同士が刺激を受けあっているようです。また、サービス業の生産性向上に向けて、社内のチーム力で革新的なサービスや付加価値の高いサービスを創出するために必要な知見や技法を習得する、『チームイノベーション道場 in 広島』も開催しています。

 さらに人材紹介会社と連携し、首都圏を中心に優秀な人材を広島に呼び込む『プロフェッショナル人材マッチング支援事業』を平成27年度からスタート。3年間で326人のプロフェッショナル人材を県内企業で雇用しています。

 イノベーションを生み出すには、人材の確保や育成、蓄積が必要不可欠。人材にかんしては、力をいれて取り組んでいます。また、人材関連の事業として、来年度から新しい取り組みがスタートします。

広島発の新学校設立で❝脱学歴❞の教育をめざす

―それはなんでしょう。

 全寮制中高一貫の『広島県立広島叡智学園』が、平成31年4月に開校します。この学校は❝社会の持続的な平和と発展に向け、世界中のどこにおいても、地域や世界の「よりよい未来」を創造できるリーダーを育成する。❞がビジョン。中学は1学年40人。高校は、外国人留学生20人をくわえた60人を予定しています。

 いまの時代は、「正解のない課題」に対して、自ら考えて、ほかの人と協働しつつ、リーダーシップを発揮しながら解決策を見出していく力が求められています。しかも、グローバルな視点も必要。ただ、それを現状の教育現場で一朝一夕に全面展開することは難しい。そこで、そうした教育を徹底的かつ純粋に取り組む学校をつくり、そこでえた成果を全県に広げていく。それをこの学園で体現していくのです。先月行った県内の説明会では、約2000人の応募がありましたし、県外からも相当な関心があると思います。

 地域社会やグローバルに関係なく活躍できる子どもを育成することを目的とし、「あの大学に何人合格しました」といった学歴だけを求める価値観から超越した学園をめざしていきます。

決して当たり前ではない3つの視座を重視

―湯﨑さんが行政で大事にしていることはなんでしょう。

 「県民起点」「現場主義」「予算志向から成果志向への転換」という3つの視座です。これは私が就任した当初から、職員のみなさんにも「これが広島県庁で働くうえでの視座です」と伝えました。文字にしてみると「当たり前じゃないか」と思うかもしれません。実際、職員の反応がそうでしたから(笑)。ただ、これをつね日頃から念頭に置きながら実践していくのは難しいもの。ですから、決して当たり前ではないのです。私は新年のあいさつや研修など、ことあるごとに3つの視座の話をします。さらにこれをもとに、職員全員で議論したうえで、「広島県職員の行動理念」を新たに策定しました。そうすることで、私を含め全職員が「どうすれば真の成果につながるか」をつねに考えて行動することをめざしているのです。

―今後のビジョンを教えてください。

 大きくいうと、人口減少とグローバル化。この2つの課題に対応する必要があると考えています。そのための「イノベーション立県」なのです。そうした取り組みを行い続けることで、「将来にわたって『広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かった』と心から思える広島県」の実現をめざしていきます。

湯﨑 英彦(ゆざき ひでひこ)プロフィール

昭和40年、広島県生まれ。平成2年に東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現:経済産業省)に入省。平成7年にスタンフォード大学経営学修士および資源エネルギー庁原子力産業課課長補佐、平成9年に通商政策局米州課課長補佐を経て、平成10年に米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるイグナイト・グループに出向。平成12年、ネットベンチャーの株式会社アッカ・ネットワークスを創業する。平成21年、広島県知事に就任。現在は3期目を務める。

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