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「自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本」

「自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本」

【自治体通信Online 寄稿記事】自著書評(秦野市 上下水道局 参事 経営総務課長・志村 高史)

これまで300以上の講演依頼があるなど、公共施設マネジメント実務の第一人者として著名な秦野市(神奈川)上下水道局 参事(兼)経営総務課長の志村 高史さんが自身の仕事を集大成した実務書「自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本」をこのほど刊行しました。いわゆる従来型の“ハコモノ行政”を一新した公共施設マネジメントの全体像を具体的に紐解いた同書の読みどころ、想いなどを著者の志村さんに解説してもらいます。
【目次】
■ とことん現場目線で
■ 貴重なデータを惜しまず公開
■ 高度な取り組みにも言及
■ 財政担当や議員など多くの関係者に役立つ書

 

とことん現場目線で

私は、地方公務員としては異例ともいえる11年間という時間を公共施設マネジメントの仕事に充ててきましたが、この時間は大変に有意義で、充実したものでした。

それは、この仕事にはそれだけのやりがいがあり、多くの成果を残すことができたからです。

そのような充実感を持ちながら2019年4月に現在の職場に異動しました。しかし、しばらくすると、すべてのことをやりつくしたのかといえば、そうではないのではないかと思うようになりました。そんなとき、今回ご紹介する私にとって初めての著作「自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本」(下写真参照)の執筆依頼を受けました。

自分自身、一冊の本を書き上げることは初めての経験であり、仕事をしながらそんなことができるのかと、大変不安がありました。しかし、本に書き残すことで、私の持つ知識と経験を余すことなく公共施設マネジメントに携わる全国の皆様に伝えることができるのであれば、それが私に残された最後の仕事だと思い執筆を決断しました。

~「自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本」の概要~
現場で使える知識とノウハウがこの1冊でまるわかり!
自治体の公共施設マネジメント担当者に向けて、必須の基礎知識と実務ノウハウを解説。初任者でも一からわかるやさしい説明で、公共施設マネジメントの状況や手法をはじめ、計画から実行までのコツや、担当者が持つべき心得・仕事術なども紹介。
初任者はもちろん、個別施設計画の策定や、所管課職員・住民への説明に悩む全ての担当者必携の書。(版元の学陽書房のサイトより)

したがって、この本は、「公共施設マネジメント」という、歴史は浅いながらも、今やどの自治体にも必ずといっていいほど担当者を置かなければならなくなった分野において、11年間にわたり中心となって実務に携わった地方公務員が、とことん現場目線にこだわって書いた担当者のための入門書となっています。

また、11年間にわたる仕事は、そのほとんどがコンサルティング会社を使わず、一から手作りで仕上げたものです。だからこそ、全く別の部署から配属になった人や新採用職員でもわかるように、基礎知識をやさしく解説し、現場ですぐに役立つ知識が満載のものとなっています。

貴重なデータも惜しまず公開

この本の中身を簡単にご紹介させていただきます。

第1章 公共施設マネジメント担当の仕事とは
そもそも「公共施設マネジメント担当」とはどんな仕事をするのか。また、担当者は、どんなスキルを磨くべきか、どんな心構えを持つべきかについてまとめています。

第2章 公共施設更新問題とは
あらためて「公共施設更新問題」の本質を確認します。

ここでは、他人事となりがちなマクロのデータではなく、ミクロのデータを用いていますので、それぞれの自治体での庁内や住民に対する説明にあたっての参考としていただくことができます。

第3章 客観的に見るハコモノ事情
自治体のハコモノ事情を、さまざまなデータから客観視することができます。自分の自治体のハコモノは多いのか、少ないのか、削減目標はどれくらいになるのかについて、簡易に計算して知ることができます。

面積と削減目標は、ともに全国ランキングも掲載しています。また、チェックしておくべき将来のハコモノ削減目標に影響を与える財政指標もまとめました。

第4章 エビデンスに基づき対策を
ここからは、いよいよ実務のための知識になります。まず真っ先に、エビデンス(証拠)に基づき対策を進めることの重要性を説きました。

人口や税収の減少が続く中での施策には、様々な反対意見がつきものになりがちです。その時に最も強い盾となるのは、「論より証拠」です。

また、エビデンスを用いた分析について、実在する具体的なデータを用いて解説しています。

高度な取り組みにも言及

第5章 更新問題に立ち向かうために
方針や計画を作る、あるいは見直す際に注意すべきポイントをまとめています。

特に事業費を平準化するための長寿命化については、その危険性を自治体の現場目線で説明しています。

また、多くの自治体との交流があったからこそ知ることができた失敗事例から学ぶことをまとめています。

第6章 持続可能なハコモノにするための手法
施策の立案や計画実行のための具体的な手法の解説となります。

まず、地方自治法のチェックポイントをしっかりと頭に入れてから、売却、貸付、複合化などの具体的な手法を学びます。様々な実践を基にした手法やアイデアは、きっと担当者のお役に立てると思います。

第7章 公民連携は必須アイテム
公民連携事業について特別に触れています。

公共施設更新問題に立ち向かうためには、公民連携事業は必須です。一般的な手順を解説しました。

しかし、公民連携事業は、失敗する事例も少なくありません。なぜ、失敗してしまうのか、その理由も知ることができます。

第8章 ワンランク上を目指すマネジメント術
第7章までは、初級者から中級者向けです。物足りない方のために、さらに高いハードルをクリアする必要がある取り組みをまとめました。

特に公営企業会計の考え方は、ハコモノの更新問題においても参考になると思います。

また、立地適正化計画を策定する自治体には、注意するポイントを解説しました。

財政担当や議員など多くの関係者に役立つ書

私が公共施設マネジメントに携わってから今までに、嬉しいことに300を超える自治体職員や議会の研修・セミナーに呼んでいただきました。また、同じくらい視察にもお越しいただきました。

志村さんの講演実績は300超にのぼる
志村さんの講演実績は300超にのぼる

この本は、講演の際に私がお話していたことを中心に、量、質ともに大幅にボリュームアップした内容になっています。講演などではお話ししきれなかった「エビデンスの大切さ」や、「公民連携事業の必要性」などにも、ページを割くことができました。

公共施設マネジメントを担当する自治体職員だけではなく、各公共施設の維持管理や財政担当の職員の皆様にもきっとお役に立てていただけるもの信じています。

また、議員の皆様には、それぞれの自治体の公共施設マネジメントの進め方をチェックする際の参考にもしていただけると思います。

すでにご購入いただいた皆様には、この場をお借りいたしまして、あらためてお礼を申し上げます。公共施設マネジメントという苦労も大きい分だけやりがいも大きい仕事を進めるにあたって、本書を大いに参考にしていただければ幸いです。

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志村 高史(しむら・たかし)さんのプロフィール

秦野市 上下水道局 参事(兼)経営総務課長

1964年神奈川県生まれ。東京水産大学(現・東京海洋大学)水産学部卒業後、1987年から秦野市職員。教育委員会や財産管理課で、公有財産の維持管理や賃貸・売払い等を担当。2007年に全国初となる庁舎敷地への独立したコンビニエンスストアの誘致を担当した後、2008年から2018年まで公共施設マネジメントに携わり、多くの公有財産の有効活用に取り組む。2019年4月から現職。
2020年4月に初めての著作「現場で使える基本と実務がまるわかり!~自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本」(学陽書房)を刊行。

<連絡先>
電話:0463-81-4113(秦野市 上下水道局 経営総務課)

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