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公務員が人事異動に悩んだら読む本

公務員が人事異動に悩んだら読む本

【自治体通信Online】
自著書評(伊勢崎市 総務部 職員課長・岡田 淳志)

「明日からは、知識や経験も、まして興味もない部署へ異動!」―。“ 自治体あるある”のヒトコマですが、こんな場面に遭遇して心から「これも天命」と泰然自若に構えられる人は少数というもの。とかく公務員の人事異動は悲喜こもごもで、モヤモヤがつきまといがち、と言われます。「だけど、そこには“その人に今まで以上にイキイキと活躍する職員になってほしい”という人事部門の想いがあるんです」と話すのは、伊勢崎市 職員課長の岡田 淳志さん。岡田さんは公務員の人事異動のモヤモヤ解消の一助にとの想いから『公務員が人事異動に悩んだら読む本』(学陽書房)を今春に上梓しました。人事異動を自己成長のきっかけにつなげてほしいと語る岡田さんに、本書の特徴や出版の想いなどを明かしてもらいます。

人生そのものに影響する人事異動

「また異動がなかった…」
「あの部署に異動したかったのに…」
「なんで自分がこの部署に…」

年末が近くなり、そろそろ来春の人事異動のことが頭の片隅でチラチラし始める時期ですね。そして、人事異動といえば冒頭のような思いをしたことがある方は多いのではでしょうか。

人事異動は自分自身のことに限りません。異動になれば仕事内容はもちろん、上司や部下、同僚が変わり、新たな人間関係の中で仕事をしていくことになります。時間外勤務が多い部署になるかもしれませんし、場合によっては勤務地や勤務日の変更もあり、家庭環境にも影響を与えます。自分自身のキャリア(過去・現在・将来にわたる、仕事を中心とした人生の生き方、表現の仕方)、つまりは人生そのものに影響を及ぼすのが人事異動といっても過言ではありません。

だからといって、人事異動は避けて通れないですし、自分で異動先を決めることもできません。人事は「ヒトゴト」、そう割り切ることができればよいのですが、それでも考えてしまうのが、実情ではないでしょうか。

この記事をお読みになっている公務員の方なら、人事異動について、モヤモヤしたり、不安になったり、不満を抱いたり、さまざまな想いを持っていると思います。その気持ちは、とてもよくわかります。私自身も若い頃、自分の名前が載っていない異動内示表を見て、モヤモヤしました。

そんなモヤモヤを少しでも解消できれば、との想いで上梓したのが本書『公務員が人事異動に悩んだら読む本』(学陽書房)です。

■本書の概要

本書の表紙カバー
【目次】
第1章 ベテラン人事が教える 公務員の異動のリアル
第2章 各部署の業務を押さえよう 自治体の仕事マップ
第3章 公務員が知っておきたい キャリアの基礎理論
第4章 異動・昇任という転機を活かす 自己理解のポイント
第5章 仕事の意義・やりがいを見出す ジョブ・クラフティング
第6章 働きがい・幸せを感じる キャリアデザイン

本書の特徴

本書ではまず、人事異動のロジックとリアルをお伝えしたうえで、公務員が異動と正しく向き合う方法を解説しています。また、自治体の仕事を深く理解したり、自分の仕事について意味付けをしたり、自らの能力を開発し、キャリアを切り拓いていくための方法をお伝えしています。

具体的なポイントを大きく次の4つに分けて書かせていただきました。

  1. 「仕事理解」。公務員として、やりたい仕事や行きたい部署を考える大前提として、自治体の各部署の業務について、理解を深めることが大切です。
  2. 「自己理解」。異動という転機をチャンスとして活かすためには、自分を俯瞰し、きちんと理解することが求められます。
  3. 「意味付け」。ときに不本意な異動をせざるをえない場合も、主体的に仕事を意味付けることで、モチベーションを自己調整することができます。
  4. 「キャリア・オーナーシップ」。キャリアを組織任せ、他人任せにするのではなく、自分のキャリアを自分らしく切り拓いていく意識を持つ必要があります。 

人事の想いを職員に伝えることが大切

多くの自治体で、人事異動は人事課、職員課の権限で行われていると思われています。だからこそ、自分の意に沿わない人事異動の不満の矛先は職員課に向かいます。私も、まさにそうだったのです。

しかし、そんな私が現在、職員課長として人事の業務に従事しているのは不思議なものです。これまで通算で10年以上職員課に在籍し、人事の業務に携わってきましたが、その中で感じることがありました。

それは、人事異動を含めた人事マネジメントの考え方を知ることで、人事異動を前向きに捉えていくことができるのではないかと。

多くの自治体では「人材育成基本方針」が策定されています。その方針では、人事異動を含めた人事マネジメントの考え方を知ることができます。具体的には自治体として、どのような人材が求められているのか、組織の中でどのような役割が求められており、必要とされる能力はどのようなものか、その能力を高めるための研修は何か、人事評価をどのように人材育成につなげていくのか、どのような人事異動ローテーションを踏まえながら人材育成していくのかといったことです。

しかしながら全ての自治体の人事担当者が職員に対してその方針に至った経緯や背景、理由などを自ら語りかけている自治体は少ないのではないでしょうか。やりたいのは山々だけど通常業務に忙殺されて、そのようなことをやる余力がないというのが事実かもしれません。

私が所属する伊勢崎市では組織としてその点を重視しており、私もこれまで研修の中で1,000人以上の職員に対してこのような話をする機会に恵まれていますが、全てを伝えられているわけではありませんでした。

本書を書くに至る経緯

自治体の中では「キャリアデザイン研修」を開催し、その中でキャリア全般について職員が学ぶ機会を提供しています。私も人事の仕事をしていく中で職員ひとりひとりが前向きに仲間と一緒に仕事をしながら、自分らしいキャリアを形づくり、豊かな人生になるための支援をしたいと考えるようになっていったのです。

そこで勤務時間外にキャリアに関する勉強会に参加していくと、キャリアコンサルタントに興味を持ちはじめ、とうとう資格取得に向けて、毎週休日に都内の専門学校に通うまでになっていました。現在、外で学んだ知識を組織に還元するべく、私自身が「キャリアデザイン研修」の講師になり、学んだことを中堅職員に伝えるようになっていますが、より多くの公務員に伝えられたら良いなあと漠然と思っていました。

そのような時、ご縁ありまして、本書執筆の依頼をいただきました。

今まで以上に職員ひとりが主体的に働き、生きていくことが大切です。本書が自らの仕事、自らの人生を豊かで価値あるものにするために自分らしいキャリアを形づくっていくためのヒントになれば嬉しいです。

《自己申告に関するイベントのお知らせ》
~公務員限定対話型イベント~
「自己申告」からキャリアを考える 2022
2022年11月19日(土曜日)
参加費無料

今回の自著書評コーナーの寄稿者・岡田 淳志さんが登壇する公務員限定対話型イベント「『自己申告』からキャリアを考える 2022」が開催されます。主催は、現役公務員でありながら国家資格キャリアコンサルタントとして活動している皆さんでつくる「公務員キャリアコンサルタント有志の会」。
自己申告について日頃考えていることを語り合い、その意味を捉え直す対話型のイベントです。

【日時】11月19日(土)14時~16時30分(定員:30名)

【場所】オンライン(zoomを想定)

【対象】国家公務員・地方公務員・その他公的機関職員
※人事担当者向けの内容ではありません

【参加費】無料

【プログラム(予定)

  1. 岡田さんのミニ講義「自己申告とキャリアデザイン」
  2. 参加者同士の対話(ブレイクアウトルーム)
  3. 対話の内容の全体共有
  4. 振り返り
  5. 個別キャリア相談(希望者のみ/事前予約制)

※ お申込みは下記URLから
https://jikoshinkoku2022ccpss.peatix.com/

以下のいずれかに当てはまる方は、きっと得るものがあるはずです。
  • これから春までに自己申告のタイミングがある
  • 自己申告について職場ではなかなか相談できない
  • 自己申告で何を伝えたらいいのか分からない
  • 自己申告やキャリアについて自分の考え方を更新したい
  • これからのキャリアについてちゃんと考えたい

自治体通信への取材依頼はこちら

■岡田 淳志(おかだ あつし)さんのプロフィール

伊勢崎市 総務部 職員課長
キャリアコンサルタント(国家資格)
群馬県伊勢崎市生まれ。伊勢崎市入庁後は保険年金課に配属され、その後、一部事務組合への派遣、企画調整課、合併推進課、職員課、自己啓発等休業(東京大学大学院)、財政課勤務を経て、現職。庁内の「人事評価研修」、「キャリアデザイン研修」の講師や職員を対象にした「キャリア面談」も実施している。
『月刊ガバナンス』(ぎょうせい)など雑誌への寄稿や大学での講義も担当。2000年に庁内で立ち上げた「自主研究グループ」活動をきっかけに、群馬県、さらには全国の公務員との交流を拡げ、現在は公務員のキャリア・オーナーシップに向けた支援活動や公務員のキャリアコンサルタント資格保有者とのネットワークづくりも行っている。
2022年3月に『公務員が人事異動に悩んだら読む本』(学陽書房)を出版。

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