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難局へのかじ取りを支える財務省の行政運営方針

官民連携で日本の総力を結集し、将来世代につなげる国の基礎を築く

官民連携で日本の総力を結集し、将来世代につなげる国の基礎を築く

※下記は自治体通信 中央省庁特別号(2026年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

国内では、国難とも呼べる少子高齢化や人口減少の深刻化、足元では物価上昇も高進する一方、世界では各地での紛争激化など激しい環境変化が生じており、社会不安をより一層高めている。こうした難局のなか、国のかじ取りを担う中央省庁では今後、いかなる行政運営が求められるのか。ここでは、国の財政運営を担う財務省において大臣政務官を務める高橋氏に取材。財務省としての行政運営方針や進める変革、そこで必要となる官民連携のあり方などについて話を聞いた。

(インタビューは、令和8年1月15日に行いました。)

インタビュー
高橋 はるみ
財務大臣政務官
高橋 はるみたかはし はるみ
昭和29年、富山県生まれ。昭和51年に一橋大学経済学部を卒業後、通商産業省(現:経済産業省)に入省。北海道経済産業局長、経済産業研修所長などを歴任し、平成15年に退職。同年4月に北海道知事に初当選し、その後連続4期務める。令和元年7月に参議院選挙において北海道選挙区から初当選。令和7年7月に再選し、現在2期目。財務大臣政務官、財政金融委員会委員、沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会委員を務める。

二律背反にも思える命題を実現する

―令和7年10月、財務大臣政務官に就任されましたが、現在どのような課題認識をお持ちですか。

 現下の激しい環境変化にふれないわけにはいきません。国内では、まさに「国難」ともいえるレベルの人口減少が国全体で進行しています。出生率を高める政策に加えて、外国人との共生など日本社会の再構築を考えなければいけないという中長期的な課題に直面しています。一方、足元では物価高が進み、そこに賃上げが追いつかず、経済成長を国民が実感できない状況にあります。さらに世界に目を向ければ、各地での紛争激化や米国の関税政策など日本を取り巻く国際政治・経済情勢は厳しさを増しており、国内の社会不安を高めているといえます。

 こうした厳しい環境のなか、財務省に対してはこれまで、何をおいても「財政規律重視」というイメージを持たれていたと思います。しかし、「責任ある積極財政」を政策の柱に掲げて発足した高市政権のもと、財政の持続可能性を担保する「財政規律」と、健全なかたちでの「経済発展」という、一見すると二律背反にも思える命題のバランスをとりながら、ともに実現する。その中心的な役割を担うのが、現在の財務省の使命だと考えています。

―そうした課題認識に立って行政運営を進めるにあたり、今後どのような視点が重要になりますか。

 社会課題が複雑化、多様化している現在にあっては、中央省庁や自治体といった行政だけのリソースで解決できることには限界があります。そこで、広く民間企業や団体、大学といった外部の新しい知恵やリソースも結集して課題にあたることがこれまで以上に重要になってくると考えています。

 官民連携で進めるべき代表的な社会課題の1つが、「デジタル化」だと思います。人手不足に伴い、行政運営の持続可能性に懸念が生じているのは中央、地方を問わずいまや共通の課題であり、デジタル化による業務効率の向上は急務です。これは行政、民間を問わず、すべてのセクターに共通する日本の課題といってもいいでしょう。そのため、財務省でも最新の開発成果や先進的な民間の知恵を積極的に導入し、さまざまなデジタル改革を実践しています。

国税や税関で進む、財務省のデジタル改革

―具体的にどのような取り組みが進んでいるのでしょう。

 たとえば、私の横にいる緑の「イータ君」(本記事最下部の写真参照)がキャラクターになって普及促進に力を貸してくれている国税電子申告・納税システム(e-Tax)があります。ご存じの通り、国税に関する確定申告、申請・届出、納税などの各種手続きをインターネット上で完結できる仕組みですが、来庁せずに自宅や事務所で手続きを行えるため、納税事務の省力化やペーパレス化につながっています。現在では、マイナンバーカードを使って個人認証を行える仕組みも利用が広がることで、多くの納税者の利便性も高めながら社会全体のデジタル化を後押ししており、これは波及効果のきわめて高い取り組みだと捉えています。さらなるe-Taxの利用が進むことで、全国各地の国税局や税務署などに勤務している約5万6,000人の職員の業務効率も大きく向上することになります。

 また、隣の黄色い「カスタム君」がイメージキャラクターを務めている税関業務についてもデジタル改革を進めています。

―詳しく教えてください。

 財務省では現在、世界最先端の税関、いわゆる「スマート税関」の実現をめざす税関行政の中長期ビジョンを推進しています。そこでは、税関業務にAIなどの先端技術を積極的に取り入れ、税関手続きにおける新たな利便性を創造すること、また一層の先進的な取り締まりの実現など業務の高度化をめざすことが掲げられています。

 実際に、検査担当職員が「スマートグラス」を装着して、遠隔の審査担当職員や専門知識・経験が豊富な職員とリアルタイムに連携するといった試み、X線CT装置におけるAIを活用した不正薬物の自動検知についても官民双方の知見や技術を活かした調査・研究が行われています。こうした先端技術の活用を通じたデジタル改革によって、人材育成や、業務そのものの見直し、職場環境の改善を図ることも重要だと考えています。

中央省庁でも課題となる「行政運営の持続可能性」

―財務省が進めるデジタル化施策では、いずれも職員の「働き方改革」といった視点も重視しているようですね。

 業務量の増大、人材確保の難しさといった観点から「行政運営の持続可能性」が今後の課題になってくるのは、全国の自治体と同様に我々中央省庁についてもいえることです。ここについては、特に課題感をもって注視しているところです。近年では、ビデオ会議システムの活用が進み、拠点間のミーティングもオンライン化がかなり進んできています。現在では、職員の負担軽減を考え、政治家へのレクもオンラインで実施されるケースも増えています。かつて文部科学省の大臣政務官を務めていた際には、育児に励む女性職員が私へのレクを自宅からオンラインで行ったケースもありました。私が育児をしながら省庁で勤務していた時代とは、働き方が大きく様変わりしているようです。また、財務省には年末に大臣とともに職場を回る恒例行事があるのですが、その際、ある職員のデスクに「本日は18時に帰る予定です」とメッセージが掲げられていたのを目にしました。この風景からも、最近の働き方の変化を実感しました。

 職場環境が魅力的でなければ、優秀な人材を確保することもできませんし、行政運営の持続性もままなりません。外部の知見や技術を積極的に導入し、中央省庁自体も変化を遂げていくことが必要になるとあらためて感じています。

「日本に生まれてよかった」と思える国づくりの基礎を築く

―最後に、今後の行政運営ビジョンについて聞かせてください。

 「責任ある積極財政」という政権方針のもとで、将来世代が「日本に生まれてよかった」と思える国づくりの基礎を築いていきます。その中核を担うのは、財務省をはじめとする中央省庁だと思っています。ですから、職員には目の前の仕事一つひとつが、必ず将来世代からの感謝につながっているという自信と自覚を共有しながら励んでもらいたいです。

 将来を悲観する予測は多々ありますが、それを防ぐための一手を打てるのは「今」をおいてほかにありません。民間との相互連携によって日本の総力を結集し、ぜひともにこの難局を乗り切っていきましょう。

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