自治体通信ONLINE
  1. HOME
  2. 首長インタビュー
  3. 国と自治体の連携で総力を結集し、将来世代につなげる国の基礎を築く
国家財政のかじ取りを担う財務省の自治体支援方針とは

国と自治体の連携で総力を結集し、将来世代につなげる国の基礎を築く

国と自治体の連携で総力を結集し、将来世代につなげる国の基礎を築く

※下記は自治体通信 Vol.73(2026年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

国内では、少子高齢化や人口減少の深刻化、足元では物価上昇も高進する一方、世界では各地での紛争激化など激しい環境変化が生じており、社会不安をより一層高めている。こうした難局にあって、国家財政のかじ取りを担う財務省では今後、いかなる政策を進めていくのか。本号では、財務大臣政務官を務める高橋氏に取材。同省の行政運営方針や自治体支援の内容などについて聞いた。
(インタビューは令和8年1月15日に行いました。)

インタビュー
高橋 はるみ
財務大臣政務官
高橋 はるみたかはし はるみ
昭和29年、富山県生まれ。昭和51年に一橋大学経済学部を卒業後、通商産業省(現:経済産業省)に入省。北海道経済産業局長、経済産業研修所長などを歴任し、平成15年に退職。同年4月に北海道知事に初当選し、その後連続4期務める。令和元年7月に参議院選挙において北海道選挙区から初当選。令和7年7月に再選し、2期目。現在、財務大臣政務官、財政金融委員会委員、沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会委員を務める。

二律背反にも思える命題を、ともに実現する

―令和7年10月、財務大臣政務官に就任されましたが、現在どのような課題認識をお持ちですか。

 現下の激しい環境変化に触れないわけにはいきません。国内では、まさに「国難」ともいえるレベルの人口減少が国全体で進行しています。出生率を高める政策に加えて、外国人との共生など日本社会の再構築を考えなければいけないという中長期的な課題に直面しています。一方、足元では物価高が進み、そこに賃上げが追いつかず、経済成長を国民が実感できない状況にあります。さらに世界に目を向ければ、各地での紛争激化や米国の関税政策など日本を取り巻く国際政治・経済情勢は厳しさを増しており、国内の社会不安を高めているといえます。

 こうした厳しい環境のなか、財務省に対してはこれまで、なにをおいても「財政規律重視」というイメージを持たれていたと思います。しかし、「責任ある積極財政」を政策の柱に掲げて発足した高市政権のもと、財政の持続可能性を担保する「財政規律」と、健全なかたちでの「経済発展」という、一見すると二律背反にも思える命題のバランスをとりながら、ともに実現する。その中心的な役割を担うのが、現在の財務省の使命だと考えています。

―今後の行政運営にあたり、大事にすべき視点はなんでしょう。

 いかに「現場感覚」を持てるか、だと思っています。私がかつて職員を務めていた時代から、中央省庁に対する民間の方々からいただく批判には、「現場を知らないのに」というものがありました。そうした背景もあり、私が北海道知事を務めていた当時も、この「現場感覚」は大切にしてきた視点で、179を数える北海道内の多様な市町村を何巡も回らせていただいた経験があります。

 こうした経験をもとに、政策に「現場感覚」を反映させることは重要であり、そこでは財務局や国税局・税務署、税関といった財務省が全国に持つ出先機関との連携、そしてなにより住民の間近で行政を担っている自治体のみなさんとの連携は、非常に重要だと考えています。

政策分野によって考えるべき、国主導と地方分権のバランス

―自治体とは、どのような協力関係が必要だと考えますか。

 自治体のみなさんは、山積する社会課題を解決していくうえでの対等なパートナーと認識しています。北海道知事時代には、「地方分権」という言葉が持つ「中央から権限を与えてもらう」というニュアンスを避け、「地域主権」という言葉を好んで使っていたものですが、地方への権限移譲を推し進め、住民ニーズにきめ細かく対応していくことが行政において重要なことは間違いありません。

 その基本的な考え方は、国会議員に転身してからも変わっていませんが、昨今の社会情勢をみると、国を挙げて政策展開をしていかなければならない課題が増えていることについても、国民的な認識が広がっていると感じています。

―たとえば、どのようなことでしょう。

 従来から指摘される外交・防衛以外では、冒頭で触れた少子化対策や、先般の新型コロナウイルス感染症のような感染症対策はその典型で、自治体間で財政事情の違いが大きいなか、国によるリーダーシップが強く求められています。社会課題の多様化、複雑化が進んでいる昨今、そうした政策分野が少しずつ広がっていると感じる部分もあります。そのような国民的な要請に応え、政策テーマによって国のリーダーシップと地方分権のバランスをとりながら、自治体のみなさんとの密接な協力関係を構築し、自治体の現場を支援していくことが、今後の行政運営での重要なポイントになると考えています。

各自治体の裁量が大きい「地域未来交付金」を新設

―具体的に今後、どのような自治体支援を展開していきますか。

 すでに閣議決定までは行われている令和7年度補正予算や令和8年度当初予算案においては、従来の「地方交付税交付金」に加え、新たな交付金として「地域未来交付金」を新設しています。これは、各自治体の裁量のもとで独自の創意工夫に基づく取り組みを行っていただくための予算措置です。たとえば、地場産業の付加価値向上や、地域発の産業クラスターの形成といった地域特性を活かした施策を推進することで、「強い経済」と「地方の暮らしの安定」を実現したいと考えています。さらに、令和7年度補正予算として、「デジタル基盤改革支援基金」を559億円積み増しして、これまでで総計7,742億円を計上しています。

―自治体のDX推進にも大きな予算を確保した背景はなんでしょう。

 デジタル庁が主導して、これまでも自治体情報システムの標準化・共通化が進められてきましたが、それぞれの自治体の事情で取り組みの遅れも一部で見られます。標準化作業はすべての自治体で完了してこそ、真の連携効果が発揮できるものですから、ここは足並みを揃えられるように予算措置を通じてこの動きを強く後押ししていく考えです。

 この予算措置を、自治体のみなさんにはぜひ有効に活用していただきたいです。デジタル化の動きは確かに国が主導して進めている政策ではありますが、むしろこれを地域課題解決の好機と捉え、それぞれの創意工夫を主体的に発揮する機会に変えていただきたいのです。ときに広く企業や団体、大学といった民間の新しい知恵やリソースも取り込みながら、国の予算を戦略的に活用して、魅力ある持続可能な地域づくりを自治体のみなさんにけん引していただきたいと願っています。

「日本に生まれてよかった」と、思える国づくりの基礎を築く

―最後に、今後の行政運営ビジョンについて聞かせてください。

 「責任ある積極財政」という政権方針のもとで、将来世代が「日本に生まれてよかった」と思える国づくりの基礎を築いていきます。その中核を担うのは、最前線で一人ひとりの住民と対峙し、その声をもっとも理解している自治体のみなさんだと思っています。自治体のみなさんはその声をぜひ中央に届けていただきたいのです。財務省としてもその声に真摯に向き合い、政策へと反映していきます。

 将来を悲観する予測は多々ありますが、それを防ぐための一手を打てるのは「今」をおいてほかにありません。国と自治体との相互連携によって日本の総力を結集し、ぜひともにこの難局を乗り切っていきましょう。

電子印鑑ならGMOサイン 導入自治体数No.1 電子契約で自治体DXを支援します